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低炭素化社会の実現に向けた大型プロセス用遠心圧縮機の開発

Wedge翼と従来翼

図1 Wedge翼と従来翼

性能計測結果(W-A&C-A)

図2 性能計測結果(W-A&C-A)

レーザスロット溶接概要

図3 レーザスロット溶接概要

固有振動数計測結果と計算結果の比較

図4 固有振動数計測結果と計算結果の比較

1.概要

 Oil&Gas分野で用いられる遠心圧縮機は,低炭素化社会に向けて動力低減が大きなテーマとなっている.この要求に応えるべく,圧縮機高性能化と高性能化達成のための羽根車製造方法確立により,多くの納入実績を得て,地球規模での二酸化炭素削減に大きく貢献した.さらに高密度ガス環境下で回転羽根車の固有振動数が変化する新たな知見を得,世界に先駆けてそのメカニズムを解明し,羽根車破損事故防止の観点から信頼性向上を全世界に発信することができた.

2.技術の詳細な説明

(a)解決すべき課題

1)流力性能とその実現手段

 遠心圧縮機の性能面での課題は,高効率化と広作動範囲化の両立である.一般に遠心圧縮機は多段で構成される場合が多いため,低流量~高流量の広流量範囲に対応した高効率かつ広運転範囲の羽根車をシリーズで開発しなくてはならない.また高精度の全体性能が求められるため,複雑形状の羽根車の高精度加工技術が必要である.

2)高信頼性羽根車設計

 遠心圧縮機では羽根車損傷を避けるため,動静翼干渉によって生じる圧力変動周波数と,励振される羽根車固有振動数との共振を回避するが,そのためには実運転時の羽根車固有振動数の把握が必要である.現状,圧縮性流体を扱う遠心圧縮機の羽根車固有振動数に関する研究報告は少なく,高圧・高密度ガス中では羽根車固有振動数が大幅に変化すると考えられ,実機信頼性向上のためには現象把握と羽根車固有振動数の予測精度の向上が必要である.

(b)解決方法

1)流力性能の高性能化

 高流力性能化に関しては,低~高流量域における効率向上と作動範囲大幅拡大に取り組んだ.
低流量域:流路摩擦損失低減型Wedge翼採用(図1)(図2
中流量域:羽根車3次元化
高流量域:新負荷分布採用

2)狭流路幅3次元羽根車製造技術の確立

 狭流路幅の3次元羽根車を製作するため,シュラウド外表面から羽根車の溶接組立できるレーザスロット溶接法(図3)を開発した.本溶接方法の手順は下記となる.
(第1工程)一体機械加工した羽根とディスクに,羽根に沿って溝加工をしたシュラウドを重ねる.さらに溝底部にレーザ光を照射し,羽根先端部とシュラウド流路面側を融合.
(第2工程)レーザ肉盛溶接で溝部分を埋め戻し.

3)高密度ガス中における羽根車固有振動数予測技術

 動静翼干渉によって生じる圧力変動周波数と,励振される羽根車固有振動数との避共振設計が必要である.このため,羽根車と周囲ガスとの構造‐流体連成振動系モデルを構築し,付加質量効果だけでなく圧縮性ガスの振動特性を考慮した羽根車固有振動数予測技術を開発した.さらに高圧試験遠心圧縮機で,運転時の羽根車固有振動数を計測した.その結果,羽根車の固有振動数がガス密度とともに上昇することを確認した.開発した予測技術による計算/計測結果は一致しており,本開発技術の有効性が実証された.(図4

3.まとめ

 上記の開発成果については,すでに圧縮機製品に適用されており,いずれの圧縮機も順調に運転されている.

 本研究の成果に対して、日本機械学会は、2012年、野際日出人((株)日立プラントテクノロジー)、前田義尚(同左)、柴田貴範((株)日立製作所)、塚本武志(同左)、真柄洋平(同左)に日本機械学会賞(技術)を贈った。

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高効率、レーザスロット溶接、羽根車避共振
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