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東海道新幹線における地震時の車両逸脱防止装置の開発

逸脱防止ストッパの機能

図1 逸脱防止ストッパの機能

逸脱防止ストッパの取付状況

図2 逸脱防止ストッパの取付状況

台車,逸脱防止ストッパ,軌道の位置関係図

図3 台車,逸脱防止ストッパ,軌道の位置関係図

逸脱防止ストッパ上下動の許容範囲

図4 逸脱防止ストッパ上下動の許容範囲

1.概要

 本開発は,地震により万一脱線した場合の車両の逸脱を極力防止するために開発した装置(逸脱防止ストッパ)に関する内容である.本装置は,東海道新幹線の脱線・逸脱防止対策として,脱線そのものを防ぐ脱線防止ガードとあわせて二重系の対策の一つとして位置づけられる.本装置の機能は,万一脱線した場合,車両の台車中央部に取り付けられた逸脱防止ストッパが,軌道に敷設された脱線防止ガードの背面と接触することにより車両の横移動を拘束し,極力逸脱を防止することである(図1).

2.技術の内容

 図2に営業車用の逸脱防止ストッパの取付状況,図3に車輪がレール上にある場合の,台車,逸脱防止ストッパおよび軌道の位置関係を示す.取付に関しては,台車から車体に前後力を伝達する牽引装置の台車取付部の近傍に2本のボルトで締結する方式であり,既存の台車に対しても対応可能である.

 逸脱防止ストッパの形状は,脱線防止ガードと接触走行時の耐摩耗性を考慮し,前後に比較的長くして脱線防止ガードとの接触面積を確保した.また,材質はクロムモリブデン鋼を採用した.質量は,軽量化と着脱作業性を考慮し約20kgとした.取付高さは,脱線状態での逸脱防止ストッパ下面がレール面とほぼ同じ高さに位置する設定とした.定員乗車(定員相当荷重)の場合は,車輪がレール上にある状態でレール面から172mmの高さに逸脱防止ストッパ下面が位置することとなる(図3).

 図4に脱線状態での逸脱防止ストッパと脱線防止ガードの位置関係を示す.逸脱防止ストッパが有効に機能するためには,ストッパ下面が脱線防止ガードの上面を越えず,且つ,脱線防止ガードの締結金具と支障せずに走行する必要がある.その時の上下動の許容範囲は45mmとなる.車輪がバラスト軌道上を脱線走行する場合,車輪が上下動するため,台車の上下並進とピッチングにともなう上下動が生じる.取付部は台車中央部のため,ピッチングによる影響は小さくなると想定できるが,実際の台車挙動を想定することは困難である.このため,試験車両(1車体2台車,実物台車使用)によるバラスト軌道上(試験線)での脱線走行試験を行い,逸脱防止機能の実証と構成の最適化を図った.また,脱線時の分岐器通過試験を行い,逸脱防止ストッパがリードレールと支障しないことを確認した.そして,2007年~2009年にかけて計20回以上の脱線走行試験を行い,取付高さ,形状,強度等の基本仕様を決定した.

3.まとめ

 試験車両による脱線走行試験による基本仕様の決定に加え,本線での長期走行試験,理論解析などを行い,機能と保守の両面から有効な逸脱防止ストッパを開発した.営業車の車種,台車種別に応じ,逸脱防止ストッパ構造の最適化を図り,2009年より700系とN700系の全編成への取付を実施中である.

 本研究の成果に対して、日本機械学会は、2012年、坂上啓(東海旅客鉄道(株))、足立昌仁(同左)、南善徳(同左)、角南浩靖(同左)、髙田伸久(日本車輌製造(株))に日本機械学会賞(技術)を贈った。

文献

[1] 角南浩靖、森村勉、石川栄、足立昌仁、坂上啓、南善徳、渡邊康人、曽田祥信、「脱線時の車両の逸脱防止に関する実台車走行試験」、日本機械学会論文集C編、Vol.76, No.770, pp.2462-2471, 2010.
[2] 角南浩靖、曄道佳明、森村勉、足立昌仁、「脱線走行時の車両の逸脱防止機能に関する理論解析」、日本機械学会論文集C編、Vol.77, No.781, pp.3237-3252, 2011.
[3] 角南浩靖、曄道佳明、足立昌仁、「車輪とまくらぎの衝突を伴う脱線走行車両の数値解析モデル」、第18回鉄道技術連合シンポジウム講演論文集、pp.191-194, 2011.
[4] 足立昌仁、角南浩靖、坂上啓、「地震時の逸脱防止ストッパの開発」、JREA, Vol.55, No.5, pp.36821-36824, 2012.

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