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MOS型集積回路の製造プロセス・デバイス設計支援技術の開発

国際半導体技術ロードマップ(ITRS)によると、近々、32nmのテクノロジーノード超高密度集積回路を量産する時代に突入する。ここに至るまで、数え切れないほどの技術者が関与した累々たる失敗の歴史がある。1980年以前は集積回路の製造プロセス条件の最適化には技術者の蓄積した経験が大いに役立ったが、それ以降は集積回路のプロセスやデバイス構造が複雑になりすぎて、人間が製造条件を最適設定することはできなくなってきた。この問題を打開するため、膨大なデータベースから普遍的な形式知を抽出(モデリング)し、それを使って計算機上でプロセス条件やデバイス構造を最適化するTCAD(Technology Computer Aided Design)技術が登場してきた。その後、試行錯誤の実験回数を減らして開発コストを削減する目的で、多くの半導体メーカーは率先してこのTCAD技術を導入した経緯がある。谷口はTCAD黎明期の1978年ごろから二次元のプロセスシミュレータを世界に先駆けて開発し、その精度向上のために、酸化誘起増速拡散や不純物原子の増速拡散のモデル開発を行ってきた。これらのプロセスモデルと二次元プロセスシミュレータは微細のMOSFET、メモリセル、CCDやCMOSイメージセンサのピクセル構造などの開発に生かされている。
更に、MOSFETの電気的特性はシリコン基板中の不純物原子濃度分布に加え、キャリヤ移動度、衝突電離率などに大きく影響される。受賞者らはシリコン基板中のキャリヤ輸送のメカニズムを明らかにするため、電子の波動関数を用いたフルバンドモンテカルロシミュレータの開発を行った。この合わせ込みパラメータのないシミュレータの開発により、広いエネルギー範囲のキャリヤに対するインパクトイオン化のモデル式が明らかになった。このモデル式は最先端のMOSFETのみならず、IGBTやパワーMOSFETなどの高耐圧パワーデバイスの開発に貢献している。なお、シリコン基板に適用したフルバンドモンテカルロシミュレータの手法は、GaAs、GaN、ダイヤモンドなどの研究者にも展開・波及し、新材料デバイスの電気的特性のシミュレーションが可能になった。


 本研究の成果に対して、電子情報通信学会は、2010年、谷口研二、鎌倉良成に業績賞を贈った。

文献

[1] K. Taniguchi, K. Kurosawa, and M. Kashiwagi, "Oxidation Enhanced Diffusion of Boron and Phosphorus in (100) Silicon," J. Electrochem. Soc.: SOLID-STATE SCIENCE AND TECHNOLOGY, Vol. 127, No. 10, pp. 2243-2248, 1980.
[2] K. Taniguchi, M. Kashiwagi, and H. Iwai, "Two-Dimensional Computer Simulation Models for MOSLSI Fabrication Processes," IEEE Trans. Electron Devices, Vol. ED-28, No. 5, pp. 574-580, 1981.
[3] 恩賀伸二, 谷口研二, "3次元プロセスシミュレータの開発とその応用," 電子通信学会論文誌C, Vol. J68-C, No. 12, pp. 1016-1023, 1985.
[4] K. Taniguchi and D. A. Antoniadis, "Lateral extent of oxidationenhanced diffusion of phosphorus in <100> silicon," Appl. Phys. Lett., Vol. 46, No. 10, pp. 944-946, 1985.
[5] T. Kunikiyo, M. Takenaka, Y. Kamakura, M. Yamaji, H. Mizuno, M. Morifuji, K. Taniguchi, and C. Hamaguchi, "A Monte Carlo simulation of anisotropic electron transport in silicon including full band structure and anisotropic impactionization model," J. Appl. Phys., Vol. 75, No. 1, pp. 297-312, 1994.
[6] Y. Kamakura, H. Mizuno, M. Yamaji, M. Morifuji, K. Taniguchi, and C. Hamaguchi, "Impact ionization model for full band Monte Carlo simulation," J. Appl. Phys., Vol. 75, No. 7, pp. 3500-3506, 1994.
[7] H. K. Jung, K. Taniguchi, and C. Hamaguchi, "Impact ionization model for full band Monte Carlo simulation in GaAs," J. Appl. Phys., Vol. 79, No. 5, pp. 2473-2480, 1996.
[8] T. Watanabe, T. Teraji, T. Ito, Y. Kamakura, and K. Taniguchi, "Monte Carlo simulations of electron transport properties of diamond in high electric fields using full band structure," J. Appl. Phys., Vol. 95, No. 9, pp. 4866-4874, 2004.

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