1. HOME
  2. 電気・情報関連(専門)
  3. 研究情報(登録番号1987)

高度昼光利用型オフィスにおける照明計画とその検証— 
いちい信用金庫新本店

いちい信用金庫の執務空間

写真1 いちい信用金庫の執務空間

梁脇照明コンセプト

図1 梁脇照明コンセプト

昼光利用シミュレーションの設定

図2 昼光利用シミュレーションの設定

昼光入射概念図

図3 昼光入射概念図

昼光シミュレーション結果

図4 昼光シミュレーション結果

[従来技術]
『昼光の制御不足、過剰になりがちな人工照明』
 従来型のオフィスビルでは、ブラインド開閉での昼光制御が主流である。そのため、ブラインドが開いているときは、窓際のみに直射光が入ることで窓際の明るさの急激な変化や、室内奥側の暗がりの発生といった現象がおきてしまう。ブラインドを閉じているときは、昼光を利用できないので室内全体で人工照明による照度の補完が必要となり、過剰なエネルギーを利用してしまう傾向にある。
明るさ感の少ない照明計画』
 天井埋込の全般照明タイプの器具を使用するオフィスが多い。これは効率的に均斉度の高い照度を確保しやすいという利点はあるものの、見た目の明るさ感が少なく暗い印象になりやすいため、明るく見えるよう必要以上に照度を出してしまい、エネルギーを消費してしまう場合がある。

[解決すべき課題]
『昼光の有効利用』
 昼光を適切に利用し人工照明の過剰エネルギー消費を抑える技術の採用が必要であった。そのために昼光を最大限に活かすことのできる、太陽光制御の仕組みと、それに見合った人工照明の制御をCGシミュレーションにより検討した。
『明るさ感の創出』
 明るさ感をつくるために、天井や建築の特徴である露出した梁に輝度を持たせながらも、執務空間に必要な均斉度の高い照度を確保できるような照明手法ならびに配光設計を検討した。

[課題を解決するための手段と結果]
『昼光の有効利用』
 建築形状による採光をCGシミュレーションにより分析した。昼光で得られる室内照度分布を求め、不足分を人工照明で補う計算を行った(机上面平均の維持照度700 lx と設定)。季節や時刻による日照の変化に天候の影響を加味し、実際に使用され得る人工照明の使用電力量を算出した。いちい信用金庫の建物の特徴として、ライトシェルフの設置された大きな開口部(窓)と傾斜天井、PC床板梁があげられる。ライトシェルフで直射光を遮り、大きな開口部と傾斜天井により柔らかな反射光が室内に導かれる。省エネルギー効果を比較するための比較モデルは今日のオフィスビルにおいて最も一般的なシステム天井の設計例を採用した。その結果、いちい信用金庫の建物では、昼光を有意義に利用できており、一般的なオフィスと比べて年間30%以上の省エネルギーを実現できることが確認できた。
 また、採光面での工夫を活かすために、昼光シミュレーションの結果をもとに昼光センサーによる制御区分を一般的な部屋奥へ2区分ではなく、3区分と細かく分け、更なるエネルギーの適正化を実行した。(比較検討のシミュレーションでは、条件を揃えるためどちらのモデルも3区分で計算)

『明るさ感の創出と配光の制御』
 梁の両脇に設置した照明器具は、ベース照明の確保とともに、梁を照らすことで明るさ感にも寄与している。設置間隔はおよそ3.6mと比較的広いが、柔軟なレイアウトに対応できるよう専用の反射鏡を設計することで机上面照度の均斉度(0.6以上)を確保した。執務者へのグレアを防ぐため、グレアカット角は45度とした。本施設の執務空間は比較モデルよりも明るく開放的な空間に感じられる。

[応用]
 太陽光を有効に利用し消費電力を抑えることのできる建築形状ならびに細かな照明制御は、これからの建築設計の重要なポイントとなる。設計段階においてCGシミュレーションで昼光利用効率の想定をすることは、照明設計や空調設計でエネルギーを抑えるための重要な要素である。蛍光灯から細かな制御が容易なLED光源への転換期である現在、昼光、人感など各種センサ-と組み合わせた昼光利用により、ますますの発展が期待できる。


 本研究の成果に対して、照明学会は、2008年、能田孝昌(いちい信用金庫)、富樫亮、佐藤聡(株式会社日建設計)、垣見正則(株式会社垣見設計事務所)、澤田隆一(有限会社サワダライティングデザイン&アナリシス)、早川亜紀(同左)、田中あい美(同左)に日本照明賞を贈った。

関連する研究を検索

分野のカテゴリ

照明
(照明技術)

関連する出来事

データなし

世の中の出来事

2008
後期高齢者医療制度がスタートする。
2008
米投資銀行リーマン=ブラザースが経営破綻する(リーマン=ショック)。

Webページ

博物館等収蔵品

データなし

キーワード

屋内照明技術、昼光利用、ライトシェルフ、昼光シミュレーション、昼光センサー、調光制御、明るさ感
Page Top