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世界初のY(イットリウム)系超電導線材を用いた電力用超電導変圧器の開発

 地球環境保護の推進、再生可能エネルギーの大量導入、省エネルギーの推進の進展の中で、電力の一層安定で高効率な供給を実現するため、超電導技術を用いた電力の安定供給や高効率な送変電技術の実現が期待されている。この中で、九州電力(株)は、九州大学と世界で初めてY系超電導線材による超電導変圧器(400kVA)を世界に先駆けて開発した。本変圧器にて電力系統の事故時等に発生する短絡電流と、その大電流に伴う強大な電磁力に耐えうる短絡性能を、世界で初めて実証し、Y系超電導変圧器の実用化に向けて大きく前進した。

 具体的には、超電導変圧器の短絡対策の独自技術として、① 20MVA 実用変圧器が検証できる最小容量400kVA、② 線材当たりの短絡電流は実用器と同等の389A(電磁力も同等)、③ Y系線材は銀と銅による独自の安定化層を付加、④ 線材は電流均一化のために転位 (線材配置を交互に配置)した。本変圧器(一次/二次)の仕様は、電圧6.9kV/2.3kV、電流58A/174A、線材1本/3本である。

 短絡対策技術の実証として、変圧器巻線をサブクール液体窒素温度(-207°C)に冷却し、電圧6.9kV を0.2秒間加える短絡試験を実施。短絡電流1040A(定格電流の約6倍)で良好な動作を確認した。また、試験後に変圧器巻線インピーダンスの測定結果は試験前と同等であり、巻線は健全であることも確認した。
 
 本開発の400kVA級超電導変圧器は、実用変圧器の技術を踏まえた上での、線材の耐短絡技術の開発(独自の安定化構成等)、電流均一化技術の適用など、各種技術が工夫されており、早期実用化に貢献している。
 
 今後は、この成果を基に、実用化技術の開発を一層進めるとともに、その導入効果等の検討も期待される。また、超電導変圧器は電力用はもとより、産業用(工場、オフィスピル)や輸送用(鉄道、船舶) など適用範囲が広い。

 本研究の成果に対して、電気学会は、2011年、林 秀美 (九州電力株式会社)、岡元 洋 (九州電力株式会社)、岩熊 成卓 (九州大学)に電気学術振興賞 進歩賞を贈った。

文献

[1] 林秀美、他、「Development of Coated Conductor based Superconducting Power Transform」、 CCA2009(International Workshop on Coated Conductors For Application、2010年11月.
[2] 林秀美、「世界初のY系超電導線材を用いた超電導変圧器技術の開発」、 超電導、2010年10月.
[3] 岡元洋、林秀美、他、「イットリウム系超電導変圧器の巻線技術開発(2) 過電流と曲げ特性」、 2009年度春季低温工学・超電導学会、2009年10月.
[4] 岡元洋、林秀美、他、「超電導変圧器の巻線技術開発」、平成22年電気学会全国大会、2010年3月.
[5] 岩熊成卓、岡元洋、林秀美、「M-PACC HTS Transformer in Japan」、 2010 Korea-Jap an Superconductivity Workshop、2010年4月.

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