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受配電設備用絶縁物余寿命診断技術の開発と実用化

 電気設備の事故を未然に防止するとともに設備投資の抑制や固定費削減を実現するには、余寿命診断技術を確立し適切な更新時期を判定することが必須である。変圧器、高圧ケーブル等の余寿命診断方法は各種提案されているが、受配電設備に対する有効な診断方法はないのが現状である。開発者らは受配電設備の寿命を決定する絶縁物に着目し、業界で初めて余寿命診断技術を開発し実用化した。

 受配電設備の絶縁劣化はトラッキングが支配的であり従来から表面抵抗値の管理が行われてきたが、表面抵抗は湿度に依存するため劣化傾向を正確に判断することが困難であった。この問題を解決するために品質工学で提案されているマハラノビス・タグチ法を初めて適用し、表面抵抗と相関が強い付着イオンや色彩等のパラメータから新規の劣化指標を考案した。
 
 受配電設備は放電の発生を許容していないので、放電が発生した時点を寿命と定義した。余寿命は、(1) 湿度等の影響が少ない化学的評価と複数の結果を総合判断するマハラノビス・タグチ法を適用し絶縁物表面のイオン付着量等から算出した劣化度 (表面抵抗率)、(2) 放電開始条件の数値化を行い各種パラメーターとの関係を数式化して導出した放電が発生する表面抵抗率 (放電聞値)、及び (3) 経過年数の実数値と湿度 50%における表面抵抗率の対数値より求めた経年劣化直線から推定した。

 これらのパラメータは湿度の影響を受けないため、診断精度は抵抗値管理と比較して飛躍的に向上した。約1500設備の絶縁物の経年劣化傾向を把握するとともに、劣化傾向と余寿命との関係について試験・検証することで本診断法の妥当性を確認し、業界で初めて受配電設備の余寿命診断技術を確立した。本技術はポリエステル、フェノール、エポキシの各絶縁物を対象として7社187事業所(19~22年)で適用され、事故の未然防止や適切な延命対策に繋がった事例が確認されており、有効性・新規性・進歩性が認められている。上記のように、受配電設備の余寿命診断を可能とした本技術は既存診断技術の枠を超えた画期的な技術である。

 本研究の成果に対して、電気学会は、2011年、三木 伸介 (三菱電機株式会社)、岡澤 周 (三菱電機株式会社)、長谷川 武敏 (三菱電機株式会社)に電気学術振興賞 進歩賞を贈った。

文献

[1] 三木伸介、岡澤周、他8名、「受配電設備絶縁物の余寿命診断技術」、電気学会論文誌B、 Vol.127、.No.7、pp.863-869、 2007.
[2] 三木伸介、岡澤周、「受配電機器絶縁物の劣化診断・余寿命推定技術」、技術総合誌「OHM」、Vol.12、pp. 40-45、 2007.
[3] S.Miki, et al、「Remaining Service Life Diagnostic Technology of Phenol Insulators for Circuit Breakers」, Dielectrics and Electrical Insulation, IEEE Transactions on, Vol.15, No.2, pp. 476-483, 2008.
[4] 岡澤周、三木伸介、他3名、「絶縁物の経年劣化評価」、 平成20年電気学会A部門大会、 2008年3月.
[5] 三木伸介、岡澤周、他3名、「受配電機器用紙基材フェノール絶縁物の劣化進展メカニズム」、 電気学会論文誌A、Vol.130、No.3、pp.232-238、2010.

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絶縁物余寿命診断技術、マハラノビス・タグチ法、新規劣化指標
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