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給電技能訓練用リアルタイムシミュレータの開発

 東京電力の給電技能訓練センターは、 1934年に設置されて以来、 電力系統を運用管理する給電所員の系統運用技術・技能の向上、習熟、蓄積、継承に寄与してきた。 しかし、同センターの訓練システムは、 当時の計算機性能の限界のため、 潮流計算をベースとした定常状態を断面的に計算し、それらを時系列的に並べた系統模擬方法であり、 過渡現象を忠実に表現できる機能は有していなかった。 近年、 ライフラインとして電力会社が担う社会的責任の増大に伴い、給電所員に求められる技術一技能はますます高度化しており、 実規模での各種電気現象を忠実に模擬できる訓練システムへのニーズの高まりがあった。
 この度、 同訓練システムを更新するにあたり、より実践的な訓練が可能となるよう、電力系続で発生する各種現象を、 実規模、 精密かつリアルタイムで計算する過渡安定度計算をベースとした系統計算機能と、 実適用されている保護・制御装置モデルを搭載した、世界最高レベルの訓練シミュレータを自社開発により開発・適用した。 本シミュレータは2009年10月に運用を開始し、順調に訓練が実施されている。
 東京、東北の実規模系統(約30 0 0母線、30 0発電機)で発生する過渡的な現象を、10ミリ秒刻みで詳細かつ、リアルタイム(実時間より短時間)での計算処理を実現するため、過渡安定度計算をベースに、樣々な工夫・改善を行い本シミュレーターを開発した。
 電力の回路網計算量の削減の工夫、 また各種保護制御装置の動作模擬を、その応答速度に適する時間領域により安定度計算内部と外部に分けて処理分担すること、さらに計算機の並列化処理機能を活用することなどにより計算処理速度の向上を実現した。
 「電圧・潮流」「周波数」「系統安定度」など、過渡的な現象を含め、すべての系統計算を同時にリアルタイム処理可能としたため、これまで困難であった保護リレー装置や系統安定化装置モデルの適用が可能となり、遮断器や各制御装置を含めた時系列かつダイナミックな動きを実現できている。
 これらにより、給電所員が系統状況(周波数・電圧・潮流・安定度)の変化や保護・制御装置の応動を正確に把握して的確に対処できる実践力の強化と、複雑な事故や大規模災害にも臨機応変に対応できる応用力の向上など、 高度な給電技術・技能の習得が期待できる。

 本研究の成果に対して、電気学会は、2011年、漆川正利(東京電力(株))、千喜良英則(東京電力(株))、鈴木守(東京電力(株))に電気学会振興賞(進歩賞)を贈った。

文献

[1]栗原 重雄、鈴木 守、他、 給電技能訓練のためのリアルタイムシミュレータの開発、平成22年電気学会B部門大会、平成22年8月.
[2]千木良 英則、箱守 康隆、他、 給電技能訓練センターシステム(訓練シミュレータ)の開発、平成22年電気学会B部門大会、平成22年8月.

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キーワード

訓練用シミュレータ、大規模系統過渡現象、リアルタイム計算
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