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広視野角・高速液晶ディスプレイモードの研究開発およびその高精細フルハイビジョン液晶ディスプレイへの応用

加法混色型カラーLCD(セル内カラーフィルタ方式)

図1 加法混色型カラーLCD(セル内カラーフィルタ方式)

OCB方式を用いた高速LCD

図2 OCB方式を用いた高速LCD

フィールドシーケンシャル型カラーLCD(カラーフィルター無し)

図3 フィールドシーケンシャル型カラーLCD(カラーフィルター無し)

セル内カラーフィルタ方式とフィールドシーケンシャル方式のカラーLCDの比較

図4 セル内カラーフィルタ方式とフィールドシーケンシャル方式のカラーLCDの比較

開発した15型および6.5型フィールドシーケンシャル・カラーLCD

図5 開発した15型および6.5型フィールドシーケンシャル・カラーLCD

 通信インフラの広帯域化、カメラや情報処理機器の高性能化等により、大容量・高品位の映像が、放送・マスメディアをはじめ社会に広く活用されて不可欠なものになりつつある。これと同時に電子ディスプレイ、中でも液晶ディスプレイは薄型・軽量・低電力・長寿命という優れた特長を有するためますますその重要性が増しており、次世代の表示デバイスとして更に高密度で高品位の動画像を低電力で表示することが求められている。本研究は、このような課題に対する液晶ディスプレイの高性能化を追及し、実用化を目指した研究成果である。
 液晶ディスプレイのカラー化という点で、本研究では1981年に赤(R)、緑(G)、青(B)のマイクロカラーフィルタを用いる方式が考案され、カラー液晶ディスプレイとして広く実用されている[1,2](図1)。しかし、この方式は、カラーフィルタによる光の吸収でエネルギー損があること、三色の画素で1絵素を構成するため高解像度化の点で不利であることなどの課題を有していた。このため、液晶ディスプレイの低電力化、高解像度化には、このマイクロカラーフィルタを除く必要があった。
 また、本研究では液晶テレビの開発期に動画表示特性の向上のために、従来の液晶の数十倍の高速動作を実現したディスプレイモードであるOptically Compensated Bend(OCB)モードが考案された[3-11](図2)。これはベンド配向させた液晶セルの複屈折性を二軸性位相差フィルムで三次元補償したものである。これにより動画像の表示性能は大幅に向上し、2004年には東芝松下ディスプレイテクノロジー(株)がOCBパネルを製造し、(株)ナナオが23型の高品位液晶テレビを市販するに至っている。その後、低温での高速応答性が着目され、自動車用ディスプレイとしての実用化が進んでいる。
 このOCBモードの高速応答性を利用して、カラーフィルタを使わない新しいカラー液晶表示であるフィールドシーケンシャル(FS)カラー液晶が1997年に発表された。この方式は、カラーフィルタによる着色に代えて、R,G,B,の色で発光する3種類のバックライトを組み込み、それらを順次点灯させ、それに同期して液晶パネルの表示画像を切り換えるというものである(図3,4)。このとき、バックライトの点滅を人間の目が感じない程度の高速で切り換えることにより、R,G,Bを混色させてフルカラー表示を実現することができる。
 この方式を確立する上で、液晶の一層の高速化のための分子配向制御とデバイス設計、波長特性を制御する光学素子の設計、光源とディスプレイの駆動条件の確立などの多くの研究が行われた。これらの研究結果を基にして、2001から2006年に行われたJSTの青森県地域結集型プロジェクトの研究統括としてその具現化に挑戦した。この結果、15型XGA、次いで6.5型のフルスペックハイビジョンである超高精細FSカラー液晶ディスプレイモニタの開発・試作に成功し、鮮明かつ高品位のフルカラー動画像表示を実現している[14-16](図5)。これらによって、FS方式の低電力化、超高精細化を実証し、次世代の低電力・高性能ディスプレイの可能性を示した。これらの研究成果は、国内外の学会等で発表され、高く評価されている。


 本研究の成果に対して、電子情報通信学会は、2009年、内田龍男に業績賞を贈った。

文献

[1] T. Uchida, “A Liquid Crystal Multicolor Display Using Color Filters”, Proc. European Display Res. Conf., pp. 39-42 (1981).
[2] T. Uchida, S. Yamamoto and Y. Shibata: “A Full Color Matrix Liquid Crystal Display with Color Layers on the Electrodes", IEEE Trans. ED-35 (5), pp. 503-507 (1983).
[3] Y. Yamaguchi, T. Miyashita, T. Uchida, “Wide-Viewing-Angle Display Mode for the Active-Matrix LCD Using Bend-Alignment Liquid-Crystal Cell”, SID Symp. Digest, pp.277-280 (1993).
[4] T. Miyashita, P.J. Vetter, Y. Yamaguchi and T. Uchida: “Wide-Viewing-Angle Display Mode for Active-Matrix LCDs Using a Bend-Alignment Liquid-Crystal Cell”, J. Society for Information Display, 3 (1), pp. 29-34 (1995).
[5] C - L. Kuo, T. Miyashita, M. Suzuki and T. Uchida: “Optimum Dark-State Voltage for Wide-Viewing-Angle Optically-Compensated-Bend-Mode Liquid-Crystal Displays”, Japan. J. Appl. Phys., 34 (10B), pp. L1362-L1364 (1995).
[6] C - L. Kuo, T. Miyashita, M. Suzuki and T. Uchida: “Crucial Influences of K33/K11 Ratio on Viewing Angle of Display Mode Using a Bend-Alignment Liquid-Crystal Cell with a Compensator”, Appl. Phys. Let., 68 (11), pp. 1461-1463 (1996).
[7] T. Miyashita and T. Uchida: “Optically Compensated Bend Mode (OCB Mode) with Wide Viewing Angle and Fast Response”, IEICE Trans. on Electronics, E79-C (8), pp. 1076-1082 (1996).
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[9] I. Inoue, T. Miyashita, T. Uchida, Y. Yamada and Y. Ishii: “A new solution for splay-bend transition in OCB mode a twisted area”.J. Society for Information Display, 11 (3), pp. 571-577 (2003).
[10] K. Kuboki, T. Miyashita, T. Ishinabe, T. Uchida: “The Transition from the Splay to Bend State in the OCB Cell”, Mol. Cryst. Liq. Cryst., 410, pp. 391-400 (2004).
[11] T. Ishinabe, T. Miyashita, T. Uchida, K. Wako, T. Kishimoto, K. Sekiya: "Improvement of Transmittance and Viewing Angle of Optically Compensated Bend Mode Liquid Crystal Display Using Wide-Viewing-Angle Circular Polarizer", Japan. J. Appl. Phys., 48 (9), pp.092403-1-092403-6 (2009)
[12] T. Uchida, K. Saitoh, T. Miyashita, M. Suzuki, “Field Sequential Full-Color LCD without Color Filter for AM-LCD”, Conf. Record of The International Display Research Conf., p.37 (1997).
[13] N. Koma, T. Miyashita and T. Uchida: “A Novel Driving Method for Field Sequential Color Using an OCB TFT – LCD”, J. Society for Information Display, 9 (4), pp. 331-336 (2001).
[14] T. Ishinabe, K. Wako, K. Sekiya, T. Kimoto, T. Miyashita and T. Uchida: “High Performance OCB-mode for Field Sequential Color LCDs”, J. Society for Information Display, 16 (2), pp. 251-256 (2008.).
[15] K. Kalantar, T. Kishimoto, K. Sekiya, T. Miyashita, T. Uchida: "Spatio-temporal scanning backlight mode for field-sequential-color optically-compensated-bend liquid-crystal display", Journal of Society for Information Display,14 (2), pp.151–159 (2006).
[16] 石鍋隆宏, 若生一広, 関家一雄, 岸本匡史, 宮下哲哉, 内田龍男: "高品位フィールド・シーケンシャル・カラー方式OCB モード液晶ディスプレイの開発", 日本液晶学会誌,15 (2), pp.117-124 (2011).

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液晶ディスプレイ、フルハイビジョン、二軸性位相差フィルム、カラーLCD、高精細ディスプレイ、OCB方式、フィールドシーケンシャルカラー
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