1. HOME
  2. 機械関連(専門)
  3. 研究情報(登録番号1964)

高効率ローレンツサイクルヒートポンプの開発

冷媒サイクル

図1 冷媒サイクル

冷媒フロー

図2 冷媒フロー

ヒートポンプ外観写真

図3 ヒートポンプ外観写真

1.概要

 オゾン層破壊や地球温暖化に代表される地球環境問題の顕在化から,空調,冷凍機器には代替冷媒の使用や,さらなる高効率化が求められている.この要望にこたえるため,塩素を含まないHFC冷媒を用いた高効率ローレンツサイクルヒートポンプを開発した.ローレンツサイクルヒートポンプは,使用する非共沸混合冷媒に起因する伝熱性能低下が大きな技術課題であったが,新開発高性能プレート式熱交換器の採用,補助熱交換器による冷媒サイクル上の改良などにより解決した.

2.技術の内容

 熱力学的なヒートポンプの必要動力は,サイクルT(温度)-S(エントロピー)線図上で表したときに,サイクルが囲んだ面積となる.T-S線図上でローレンツサイクルは,従来ヒートポンプで用いられている逆カルノーサイクルの長方形内部に菱形を形成することができ,理論動力を低減できる(図1).

 このようなサイクルを実現するには,凝縮,蒸発時に温度変化する非共沸混合冷媒が必要だが,凝縮時には低沸点成分が,蒸発時には高沸点成分が伝熱阻害となり,同一熱交換器を用いると著しく伝熱性能を低下させる.このため,この冷媒に適した新開発の高性能プレート式熱交換器を採用した.同時に,従来のプレート式熱交換器の各流路をパッキンによってシールする構造を,片側流路の外周部をレーザ溶接構造とすることにより,冷媒に対して十分な耐圧性と気密性を確保した.

 また,蒸発器性能を向上させるためには,伝熱面の実効濡れ面積を大きくする必要がある.しかし,過度に濡れ面積を大きくすると多量の未蒸発液が圧縮機に吸引され,トラブルの原因となる.この問題を解決するため,蒸発器出口の未蒸発冷媒液を膨張弁手前の冷媒液で加温することにより蒸発させる冷媒熱交換器を設けて,熱交換器濡れ面積を大幅に向上させた(図2).

 結果として高効率な運転が可能となり,成績係数(COP)が従来機より約50%向上した.このため,温暖化係数の比較的高い冷媒(GWP1.360)を用いているにもかかわらず,エネルギー消費が少ないので,総合温暖化影響度(TEWI)で評価すると,温暖化影響度は従来機の70~50%と小さくなる.

3.まとめ

 開発した高効率ローレンツサイクルヒートポンプは,200冷凍トン~1000冷凍トンまでのシリーズ6機種として販売されている.年間を通じて高効率な運転が可能であり,冷暖房以外に工場のプロセス冷却などにも適していることから採用事例も増えてきている.今後,ますますの普及が期待される.

 本研究の成果に対して、日本機械学会は、2000年、渡邉澂雄(中部電力(株))、櫻場一郎(同左)、神崎奈津夫((株)神戸製鋼所)に日本機械学会賞(技術)を贈った。

文献

[1] 渡邉澂雄、櫻場一郎、“超高効率ヒートポンプ「ウルトラハイエフ」”、伝熱、38巻、153号、pp.2-12、1999年11月
[2] 渡邉澂雄、“プロジェクトQ「未利用エネルギーを活用した超高効率ヒートポンプシステムを実用化せよ!」”、伝熱、43巻、179号、pp.38-42、2004年3月

関連する研究を検索

分野のカテゴリ

エネルギーと環境(エネルギー・環境)
(環境工学)
機械を支える基盤学術(その他共通)
(熱工学)

関連する出来事

データなし

世の中の出来事

データなし

Webページ

データなし

博物館等収蔵品

データなし

キーワード

ヒートポンプ、ローレンツサイクル、非共沸混合冷媒、プレート式熱交換器、成績係数、COP
Page Top