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高齢者の日常生活の自立を支援する歩行支援技術の開発

歩行訓練機

図1 歩行訓練機

歩行支援機

図2 歩行支援機

1.概要

 高齢者の日常生活の自立の基盤である「歩行」を支援する歩行支援技術を開発した.高感度な力制御システムにより,高齢者の特性に合わせた自然な補助を行い,制御パラメータの設定により,多様な症状に対応できる.本技術に基づき,病院・施設等で歩行機能回復訓練を行うための歩行訓練機,および,施設・在宅における自由な歩行を支援する歩行支援機を開発し,リハビリテーションの現場で有効に活用されている.

2.技術の内容

 社会の急速な高齢化により,高齢者の生活を支援する技術の開発が強く要請されている.特に,「歩行」は,高齢者の日常生活の自立の基盤となる機能であり,可能な限り自分の力で歩けるように支援することが,生活の質の向上と健康の維持のために極めて重要である.

 加齢により歩行機能の低下した高齢者を対象とし,日常生活の自立を支援する歩行支援技術を開発した.高感度で安定な力制御システムにより,高齢者の特性に合わせた自然で滑らかな補助動作を実現している.補助力の特性は制御パラメータにより容易に変更することができ,一つの装置で多様な症状に対応することができる.また,歩行時の力・速度等を記録することにより,リハビリテーション効果の客観的な評価を可能とする.

 本技術に基づき,病院・老人保健施設等における機能回復訓練のための歩行訓練機,および,施設・在宅における生活動作の自立の支援を目的とする歩行支援機を開発した.

 (1)歩行訓練機:歩行訓練機は,可動ベルト式歩行面,使用者の介助を行う体重支持要素,および使用者の前方に設置された映像表示装置から構成される(図1).歩行面には,インピーダンス制御が適用されており,使用者の蹴り力に応じてベルトが進む.歩行面の負荷は自在に変更でき,使用者に適したペースで訓練を行える.体重支持部は,使用者を支持する力を制御することにより,使用者の負荷軽減と姿勢の矯正を行う.映像表示装置は,歩行速度に比例した速度で,屋外の小道を歩行している映像などを使用者に提示することにより,訓練意欲を高める.このシステムにより,使用者に合わせた,安全で効果的な歩行訓練を行うことができる.

 (2)歩行支援機:歩行支援機は,電動車輪で駆動される本体と,使用者の体を支持するサポータを備えている(図2).力入力によるパワーアシスト制御を用いており,使用者がサポータを前方に押すと,力に応じた速度で装置が前方に進み,曲がりたい方向に力を加えると,装置が旋回する.力に対する動きやすさを使用者の状態に合わせて設定することにより,様々な症状に対応できる.サポータは,電動で昇降し,起立・着座の補助を行える.また,傾斜センサを用いた傾斜面対応制御,片麻痺症状に対応する補償制御,赤外線センサによる障害物接触防止など,扱いやすさ・安全性を高める機能を備えている.

 歩行訓練機は,1996年の発売以降,全国の拠点施設に導入され,延べ2万人・日以上利用されている.また,歩行支援機は,病院・老人保健施設等において,様々な症状の人により試用されており,支援機能の有効性が確認されている.

3.まとめ

 高感度な力制御システムにより高齢者の特性に合わせた補助を行い,多様な症状に対応できる歩行支援技術を開発した.今後の高齢社会において,本技術がさらに広く活用されることが期待される.

 歩行訓練機の開発にあたっては,(社)シルバーサービス振興会から委託を受けた.歩行支援機の開発にあたっては,新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)から医療福祉機器技術研究開発制度による委託を受けた.

 本研究の成果に対して、日本機械学会は、2000年、藤江正克((株)日立製作所)、根本泰弘(同左)、酒井昭彦(同左)、柄川索(同左)、和田紀彦(同左)に日本機械学会賞(技術)を贈った。

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キーワード

リハビリテーション、歩行支援技術、歩行機能回復訓練、力制御、歩行訓練機
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