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浮体式液化石油ガス(LPG)冷却・貯蔵・積出し設備の開発

浮体式LPG冷却・貯蔵・積出し設備概念図

図1 浮体式LPG冷却・貯蔵・積出し設備概念図

稼働中の浮体式LPG冷却・貯蔵・積出し設備

図2 稼働中の浮体式LPG冷却・貯蔵・積出し設備

1.概要

 近年の地球環境保全,エネルギー有効利用の動きを受け,石油生産時の随伴ガス放出(燃焼によるCO2放出)規制の動きが活発化している.既存の石油生産基地での随伴ガス処理や新規石油・ガス田開発において,プロジェクト成立に不可欠な高い経済性をもつ処理設備が求められる中でコンパクトさ,インフラ未整備地域や遠隔生産地への設置の容易さ,などの利点を生かした浮体式設備が注目を集めている.

 本設備は,プロジェクト向けに新造された鋼製浮体式液化石油ガス(LPG)設備として世界初の建造物であり,1号機がナイジェリア沖合に設置された.石油・ガス生産に伴って発生する随伴ガスから分離されたプロパン・ブタン等の液化石油ガスを本設備上にて冷却し,貯蔵・積出しを行うもので,石油・ガス生産国の側から地球環境保全に取組んだプロジェクトの中核をなすものである.

2.技術の内容

 石油生産設備で分離された高温・高圧のLPGが連続的に浮体式設備に送給され,浮体上の冷凍装置によって低温常圧状態にまで冷却されたのちタンクに貯蔵される.同時に,熱侵入によってタンク内で蒸発したガスは再液化装置によって液化され,タンクに戻される.貯蔵されたLPGは定期的にLPG船に積み出され消費地に輸送される(図1図2).

 浮体は造船所で建造され,貯蔵タンク,貨物設備などを搭載し各種テストを済ませた後に現地に曳航され,あらかじめ現地にアンカリングされた係留チェインに繋がれて係留される.浮体の上甲板下には貯蔵タンク,諸タンク,機械室等が配置され,上甲板上には居住・制御区画,冷却装置や再液化装置などの貨物取扱い設備一式,消火設備,LPG荷役設備,LPG船係船設備などが配置されている.高温・高圧のLPGは海底配管を通して本設備に供給される.

 常時風波の影響を受ける洋上で,プロジェクトの稼働期間中安定して連続運転をすることが条件であるため,メンテナンスフリーの貯蔵タンクや動揺する浮体間での低温液体移送などの高度な技術が必要とされる.

 貯蔵タンクは低温用鋼材でつくられた自立角形のタンクで,全詳細構造にわたる強度解析や稼働期間に応じた疲労設計により「タンクにき裂が発生しない」,「初期に見逃した欠陥があってもタンクの一生の間にき裂がタンク板を貫通せず,液の漏えいにつながらない」などの信頼性・安全性が保証されたタンクである.このLPG貯蔵技術は液化ガス分野において最も厳しい規制の一つとされるアメリカ規則の承認を世界に先駆けて取得し,国際的に高く評価されたもので,本浮体式設備1号機に初めて適用された.

 荷役装置では,低温の液化ガス分野で世界初の設備となるマイナス50°CのLPG液を移送できる洋上フローティング・ホースを開発した.波周期の長いうねりに遭遇する海域などでは,浮体式設備とLPG船は図2に示すごとく適当な距離を保って係船される.従来のアーム式荷役設備などは短距離で相対運動量の少ない場合の使用に限定されていたが,今回の開発でより多くの海域での洋上荷役を可能とすることができた.

3.まとめ

 経済的で長期信頼性を有する浮体式設備が完成し,稼動を開始したことで,今後の同種のガス放出抑制プロジェクトの実現,浮体設備による石油・ガス田開発促進が期待される.

 また,本文中に述べた利点のほか,浮体であるため設備全体の移動が容易で,二つ以上のプロジェクト向けにも使用できるなど,従来の経済性評価基準を大きく変える可能性も有しており,今後の発展が期待される.

 本研究の成果に対して、日本機械学会は、2000年、国府田康雄(石川島播磨重工業(株))、山岸直人((株)アイ・イー・エム)、青木栄治(石川島播磨重工業(株))、安部昭則(同左)、渡辺一夫(同左)に日本機械学会賞(技術)を贈った。

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キーワード

LNG貯蔵、浮体式、貯蔵タンク、低温用鋼材、メンテナンスフリー
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