1. HOME
  2. 機械関連(専門)
  3. 研究情報(登録番号1954)

超精密非球面加工機の開発

超精密非球面加工機

図1 超精密非球面加工機

1.概要

 300年以上の歴史を持つレンズは,カメラ,望遠鏡,顕微鏡など昔から身近にあるものの他,ステッパ,プリンタ,CD,DVD,カメラ付携帯電話,ディジタルカメラなど近年の電子機器にも不可欠な光学要素である.

 古典的な製法で作られる球面レンズには,完全な球面であっても各種の収差があり,高級な光学機器では,数枚の球面レンズを組み合わせて収差を極力減らす努力がなされてきた.最近,収差を減ずるために,球面をわずかに補正した非球面レンズの採用が急増し,低価格,小型化が進んでいるが,これは超精密非球面加工機および加工技術の進歩によるものである.これに対して,受賞者らは1984年から,まず非球面研削に必要な超精密機械要素一直動および回転案内やNC制御装置一の開発,改善からスタートし,失敗を重ねながらも精度,安定性,経済性に富んだコンパクトな非球面加工機と加工技術の開発に成功し,非球面レンズ加工関連業界への貢献が高く評価されている.

2.技術の内容

 これまで球面レンズ,レンズ金型の加工に使用されてきた超精密非球面加工機は,大口径放物面鏡などにも対応するために開発された高価な機械であった.国内では主な用途が民生用,産業用であり,それらの超精密部品に見合った高精度,小形で自由度の高い低価格機の開発が待ち望まれていた.図1は受賞対象となったこれらのニーズを満たしたユニークな超精密非球面加工機である.最大ワーク径300mmが加工可能で,高精度,小形,低価格の機械とするため,次のような機械要素で構成した.

 ワークスピンドルと研削スピンドルには空気静圧軸受を採用し,高精度,高安定性,高速性を満たしている.直動案内には高精度,高剛性で,有限形V-Vころがり軸受を採用した.油静圧案内,空気静圧案内に比べ,ベッド,テーブル等の部材を小形,軽量化することができ,重量移動によるたわみ,熱変形に対して非常に有利であり,1cc/日の潤滑油の供給だけで使用できることから省エネ性に優れている.

 従来,制御単位10nm以下の超精密加工機の位置制御の基準にはレーザ測長器が用いられてきたが,本機は光学スケール使用を試みた最初の超精密加工機となった.この方法は,小型化,安定性の点で非常に有利であり,その後のスケールの性能,品質向上にともなって,スケールフィードバックが世界的に主流となってきた.

 また本機には,軸対称非球面のみならず,X,Y,Z同時3軸制御によりf-θレンズのような自由曲面,更にC軸使用により軸非対称非球面加工が可能で,自由度に富んだ基本構成となっている.

3.おわりに

 受賞対象となった超精密非球面加工機の開発は,光学部品だけでなく,特殊形状部品の超精密研削が可能となり,新しい分野への拡大が期待できる.例えば,4軸制御で10nm単位以下の加工が可能なことから,マイクロマシンの要素部品加工にも道が開けるものと思われる.

 本研究の成果に対して、日本機械学会は、1999年、田中克敏(東芝機械(株))、勝木雅英(同左)、河上邦治(同左)、西岡昌彦(同左)、三浦健司(同左)に日本機械学会賞(技術)を贈った。

文献

[1] 田中克敏、木村誠司、鈴木清、植松哲太郎、「超精密加工機械の高精度化の研究 第1報:自成絞り方式空気静圧スピンドルの高性能化」、砥粒加工学会誌、Vol.51, No.5, pp.302-307, 2007.
[2] 田中克敏、福田将彦、覚張勝治、鈴木清、植松哲太郎、「超精密加工機械の高精度化の研究 第2報:リニアモータ駆動方式有限形V-Vころがり案内の検討」、砥粒加工学会誌、Vol.51, No.8, pp.482-487, 2007.
[3] 田中克敏、福田将彦、甲斐義章、鈴木清、植松哲太郎、「超精密加工機械の高精度化の研究 第3報:超精密非球面加工機の開発と性能」、砥粒加工学会誌、Vol.51, No.9, pp.553-558, 2007.

関連する研究を検索

分野のカテゴリ

ものをつくる(生産・加工)
(機械材料・材料加工)
生活を支える機械(産業・物流・宇宙)
(産業・化学機械)

関連する出来事

データなし

世の中の出来事

データなし

Webページ

データなし

博物館等収蔵品

データなし

キーワード

収差、非球面レンズ、空気静圧スピンドル、有限形V-Vころがり案内、レンズ金型、油静圧案内、空気静圧案内、スケールフイードバック、自由局面
Page Top