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乗用車用量産型ハイブリッドシステムの開発

THSのシステム構成

図1 THSのシステム構成

従来車との比較データ

図2 従来車との比較データ

1.開発の背景

 今日,省エネルギーと地球温暖化防止に資するため,CO2排出量の削減が国際的な課題となっている.自動車にとってCO2削減は,燃費を改善,向上することであり,排出ガス清浄化や安全性確保とも両立することが必要である.そこで本技術開発はハイブリッドシステムにその可能性を見い出し,「トヨタハイブリッドシステム(THS)」を完成させた.これは,ガソリンエンジンとモータを組み合わせた動力源で,EVのような外部充電を必要としないため,既存のインフラストラクチャーに適合しており,また,従来のガソリンエンジンのおおむね2倍の燃費達成が可能のシステムである.

2.技術の内容

 [システム構成〕

 THSは,エンジンとモータの特長を取り込んだシステムである(図1).エンジンは,コンパクトでも回転数を高めることにより,大きな出力を発する.一方,モータはスイッチオンで瞬時に最大出力を出すことができる.各々の長所を最大限に活かすために,エンジンの動力は遊星ギアの動力分割機構によって2分割される.直接タイヤを駆動する力と,発電機を回す力である.モータは,発電した電気やバッテリ電力を使って,駆動力を発生する.

 [要素技術]

 (1)THS制御/回生ブレ一キ制御

 THSは,各コンポーネントの現状の状況を判断し運転者の要求を満たしつつ,最適燃費が実現するように制御する.発進や低速時:エンジンの効率が悪いため,エンジンを停止してモータのみで走行.通常走行時:システムとして最良燃費効率となるようにエンジンの運転域を制御する.

 減速時や制動時:モータを発電機として作動させて運動エネルギーを電気変換してバッテリに回収(回生ブレーキシステム).

 (2)エンジン

 高膨脹比サイクルの採用,低フリクション化等により燃費効率向上を徹底的に追及した.

 (3)トランスミッション/発電機,モータ

 動力分割機構,発電機,モータをまとめてコンパクトに構成.小型軽量高効率な交流永久磁石式同期型モータを採用.

 (4)バッテリ

 高出力のハイブリッド用に高性能ニッケル水素電池を開発.

 (5)インバータ

 インバータには高性能半導体であるIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)を採用.

 [THS搭載車の性能]

 図2のように,THS搭載車プリウスは10-15モード燃費で28km/Lを得ており,同一クラスの車両に比べ約2倍の燃費向上を達成した.さらに,排出ガス中のCO,HC,NOxを規制値の約1/10に低減している.また,従来車と同等以上の加速性能とするとともに,従来車では味わえない,なめらかで力強い加速を実現した.

3.まとめ

 ハイブリッドシステムのデビューは,21世紀を目指した技術開発の始まりであり,究極ではない.しかし,クルマが21世紀にも人々の夢を乗せ走り続けるために,地球や社会のニーズを両立させるクルマ作りの一つの回答を示せたと確信している.THSのようなハイブリッド車が普及するためには,まだ多くの課題があり,克服する努力を続けて行く.従来車に搭載していないバッテリ,インバータなど電気関係部品の大幅なコストダウンが急務であり,同部品による130kgの重量増の軽減にも取り組んでいく.さらに,バッテリはリサイクル体制作りとリサイクルの実践を推進する所存である.

 本研究の成果に対して、日本機械学会は、1999年、佐々木正一(トヨタ自動車(株))、松井英昭(同左)、田上健(同左)、金井弘(同左)、佐々木良典(同左)に日本機械学会賞(技術)を贈った。

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キーワード

ハイブリッドシステム、回生ブレーキ、高膨張比、エンジン、発電機、インバータ
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