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蒸気温度593°C1000MWタービンの開発・完成

タービン組立断面図

図1 タービン組立断面図

タービン外観写真

図2 タービン外観写真

1.概要

 火力発電プラントを高温,高圧化して効率向上をはかる超々臨界圧(USC)発電方式は,埋蔵量の豊富な石炭を有効に利用する方式の一つである.USCに必要なブレークスルーは温度の壁の克服であるとの認識のもとに,超高温に耐える材料と構造を開発し,電源開発(株)の若松超高温タービン実証試験によってこれを検証した.この成果を適用して,電源開発(株)松浦2号向けに,従来の超臨界圧プラントの蒸気温度を593°Cに向上した1000MWタービンを開発・完成した.

2.技術の内容

 電源開発(株)松浦2号1000MWタービンは蒸気条件24.1MPa,593/593°Cで,容量では国内火力で最大,蒸気温度では大容量機として世界で初めて,主蒸気/再熱蒸気とも593°Cの高温蒸気条件を達成した.蒸気条件の向上による効率向上に加え,国内火力タービンの低圧最終段翼としては最長である46インチ翼による排気損失低減,最終段翼も含めた反動段全段への完全三次元流れ設計インテグラルシュラウド翼採用によるタービン内部効率の向上をはかり,従来の24.1MPa,538/566°Cの1000MWタービンに対し,相対値で約3.3%の効率向上を達成した.

 松浦2号タービンの組立断面図を図1に,外観写真を図2に示す.タービンは,高圧,中圧タービンをプライマリー軸,二つの低圧タービンをセカンダリー軸とするクロスコンパウンド型である.

 高圧,中圧タービンでは,新12Cr鍛鋼,12Cr鋳鋼,9Cr鍛鋼等のフェライト系の耐熱鋼を広範囲に使用した.高温部の動翼にはオーステナイト超耐熱合金を,ロータには593°Cでの運転に十分なクリープ破断強度を持つ新12Cr鍛鋼(TMK1)を使用した.TMK1は(1)低C,(2)1.5%Mo,(3)ESR造塊法を特徴としており,従来の12Crロータよりクリープ破断強度が高くなる.

 高圧ロータ中央部は,調速段ディスクに設けた冷却孔のポンピング効果によって,調速段出口の低温蒸気を複流ノズル室の内周に導き,ノズル室中央に設けた穴から調速段出口部に循環させることによって冷却する構造とした.また,3枚の動翼を一つのブロックから放電加工で製作し,3本のピンでロータに固定することによって振動強度,クリープ強度を向上する調速段トリプルピン動翼や,反動段インテグラルシュラウド翼など,若松超高温タービンで開発し,大容量商用機へ適用しながら確立してきた超高温タービン技術を採用した.

3.まとめ

 電源開発(株)松浦2号タービンは1997年7月運開,1998年の初回定検を経て,高効率で順調に運転中である.初回定検でタービンを開放点検した結果,各部に異常はなく,蒸気温度593°Cの1000MWタービンの高性能,高信頼性が確認された.

 本研究の成果に対して、日本機械学会は、1999年、大野正道(電源開発(株))、平井武夫(同左)、藤川卓爾(三菱重工業(株))、佃和夫(同左)、松隈雅治(同左)に日本機械学会賞(技術)を贈った。

文献

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[3] 藤川卓爾,山本哲也,金子祥三,山本健次郎,和仁正文,「1000MW超高温タービン・ボイラの最新技術」,火力原子力発電,Vol.50,No.12,pp.42-51,1999.
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火力発電、石炭火力、蒸気タービン、超々臨界圧、超高温、流れ解析、内部効率向上、インテグラルシュラウド翼、新12Cr鍛鋼
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