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自律型海中ロボットの開発

アールワン・ロボットの一般配置図

図1 アールワン・ロボットの一般配置図

海面へと吊り降ろされるロボット

図2 海面へと吊り降ろされるロボット

1.概要

 海中へは,人間は容易に近づけない.したがって,未知の領域が広がっている.ここを観測・調査する自律型海中ロボットは,新しい観測プラットフォームとして期待されている.本技術は,幾つかある自律型海中ロボットの形式の内,航行型とよばれる長時間長距離にわたり潜航可能なロボット技術である.本技術開発においては,水中エネルギー源として,小型軽量閉鎖式ディーゼルエンジン・システム(CCDE:Closed Cycle Diesel Engine System)を開発し,プロトタイプとして「アールワン・ロボット」を完成させ,これを実海域において連続12時間38分約70km潜航させることに成功した.

2.アールワン・ロボットの概要

 CCDEを耐圧容器の中に入れ,ここから供給される電力で,主推進器の電動機などのアクチュエータ,制御装置,センサ類,あるいは観測機器類を駆動させるひとつのロボットにまとめあげた.最大潜航距離100km,最大潜航深度400m,最大速力3.6ノットの性能を持つロボットで,全長約8m,空中重量約4tである.慣性航法装置やドップラー流速計などを利用したハイブリッド航法装置を開発し,1996年に田辺市沖の太平洋で連続4時間約20kmの潜航に初めて成功した.電池以外をエネルギー源とする自律型海中ロボットとしては世界初の潜航である.その後,機器の信頼性とソフトウェアの改良を重ね,1998年6月に同海域で,緯度,経度および深度として予め与えられた航路点を経由して,連続12時間38分約70kmの潜航に成功した.

3.閉鎖式ディーゼルエンジンシステムの概要

 CCDEとは,ディーゼルエンジンの排気側と吸気側とをつないで系を閉じ,排気を冷却浄化して酸素を加えた人工の吸気を作り,再びエンジンに供給する排気循環機構により,空気のない所で稼働できるようにしたシステムである.開発したCCDEは,出力5kW,容量60kWhで,市販の小型4サイクルディーゼル発電機をべ一スとし,燃料は軽油,燃焼により発生する炭酸ガスを水酸化カリウム水溶液で化学的に吸収する方式を採用している.酸化剤は液体酸素を使用している.エンジン部分は,防振支持をして完全密閉の遮音カプセルに格納し,これを更に防振して艇体に取りつける二重防振方式を採用し,水中放射雑音の低減を図っている.

4.これから

 アールワン・ロボットは,自律機能の利点を生かし,海底火山活動が活発な伊豆小笠原海域の明神礁海域の調査に赴く予定である.明神礁海域は,半径10マイル(18km)の円内が海底活火山危険区域に指定されていて,一般の船舶は通常立ち入らない.そのために,調査はいきとどいていない.このような海域は他の種類の潜水機を展開できないため,自律型海中ロボットがその利点を最大限に発揮できる場所と考えられる.

 本研究の成果に対して、日本機械学会は、1999年、浦環(東京大学生産技術研究所)、小原敬史(三井造船(株))に日本機械学会賞(技術)を贈った。

文献

[1] 浦環、小原敬史、永橋賢司、中根健志、酒井章次、大藪佑司、坂巻隆、高川真一、川野洋、蒲生俊敬、高野通明、土井高史、“航行型海中ロボット「アールワン・ロボット」による手石海丘観測”、海洋調査技術、Vol.13, No.1, pp.11-251, 2001.
[2] 浦環、小原敬史、「(3)自律型海中ロボットの開発」、日本機会学会誌、Vol.102, No.966, p281, 1999.
[3] 浦環、小原敬史、“航行型海中ロボット「アールワン・ロボット」の田辺市沖の自律潜航と海水観測”、海洋調査技術、Vol.9, No.1, pp.15-22, 1997.

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