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コモンレール方式ディーゼル電子制御燃料噴射システムの開発

システム構成

図1 システム構成

パイロット噴射

図2 パイロット噴射

1.概要

 近年の厳しいディーゼル排ガス規制が施行される中,新たなディーゼルエンジンを世に出すためにはさらなる高圧噴射,自由度の高い噴射圧力,噴射率,噴射時期の制御性が燃料噴射システムに望まれている.

 かかる要求を受けてコモンレール方式は,サプライポンプにて生成した高圧燃料をパイプを経てコモンレール(蓄圧室)に蓄え,インジェクタ内の電磁弁によってノズル背圧を制御し,噴射の開始と終了を決めるという電子制御燃料噴射システムとした.すなわち,回転速度に依存しない最大120MPaまでの噴射圧力制御,ノズルリフトを直接制御して噴射率制御することにより通常噴射のみならず,パイロット噴射および多段噴射が可能となり,噴射圧,噴射量,噴射時期の完全独立電子制御を実現し,実用化した.

2.技術の内容

 本システムは図1に示すように,サプライポンプ,コモンレール,インジェクタとこれらを制御するためのECUおよびセンサ群から構成される.コモンレール内の燃料圧力はサプライポンプの燃料吐出量を電磁弁によってコントロールされる.燃料圧力はコモンレールに設置された圧力センサにより検出され,エンジンの回転速度と負荷に応じて設定された最適値に,サプライポンプの電磁弁によリフィードバック制御される.これにより,従来の列型ポンプやユニットインジェクタと比較して,低回転速度域での昇圧性が大幅に改善されるため,ディーゼルエンジン固有の黒煙を消滅させることが可能となる.

 一方,コモンレールの燃料圧力は,インジェクタのノズル側と,油圧ピストンを介してノズルの背後側に印加されている.噴射量と噴射時期はノズルの背後圧を電磁弁にてON-OFF制御することによりコントロールされる.電磁弁に通電するとノズル背後の高圧燃料が低圧側へ流出し,ノズル側の高圧によるノズル開弁力によってニードルが上昇して噴射が開始され,電磁弁への通電を止めると再びノズル背後に高圧が印加されノズルは開弁-すなわち噴射が終了する.したがって,電磁弁への通電時期により噴射時期が,電磁弁への通電時間により噴射期間が電子制御できる.さらに,図2に示すようにメイン噴射に先立って,今ひとつの微少な通電パルスを追加することにより,ノズル背後の制御油圧を2度上昇させ,微少量のノズル開弁に伴うパイロット噴射特性が得られる.これにより,予混合燃焼が抑制されて,ディーゼルエンジンのもう一つの課題である,NOxの抑制,燃焼音の低減ができる.

3.まとめ

 本コモンレール方式の噴射システムは,従来のディーゼルエンジンをよりクリーンな低騒音,低振動,高出力エンジンに変えたと言っても過言ではない.これにより,今後の中・大型トラックエンジンだけでなく乗用車エンジンを含めたディーゼルエンジン全体の開発に極めて,多くの貢献ができると思われる.

 本研究の成果に対して、日本機械学会は、1999年、伊藤昇平((株)デンソー)、宮木正彦(同左)に日本機械学会賞(技術)を贈った。

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キーワード

ディーゼルエンジン、燃料噴射システム、電子制御、サプライポンプ、コモンレール、インジェクタ
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