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500系新幹線電車の開発

500系新幹線電車の高速化技術

図1 500系新幹線電車の高速化技術

1.概要

 500系新幹線電車は,営業列車で日本初の300km/h運転を実現し,世界最高速度に並んだ鉄道車両である.住宅密集地が多い新幹線の沿線環境を考慮し,環境への影響を従来車両以下に抑え,また乗り心地向上を図り,しかも大幅な動力費低減を実現した.1997年3月から新大阪~博多間で営業開始され,1997年11月からは東京~博多間で営業運転を行っている.

2.技術の内容

 沿線人口が多く,かつトンネルが総延長の半分を占める山陽新幹線で高速化を実現する上での技術的な課題は,騒音・トンネル微気圧波・地盤振動等の環境保全,乗り心地向上,運転経費節減,信頼性向上などがあった.高速試験電車「WIN350」での開発成果を基に,これらの諸課題の解決を図り,16両編成の営業車両として仕上げたのが500系車両である.この車両の技術的特徴を図1に示し,主要技術について以下に簡単にまとめる.

 ① 翼型パンタグラフ

 従来の山陽新幹線の最高速度は270km/hであり,速度が向上しても沿線騒音を従来車並みに抑えるため,いちばん大きな騒音源となっていたパンタグラフの断面を翼型(実際には方向性を持たないだ円形)とした.また,これによりパンタグラフ自体の騒音が低減できたため,屋根上は,小さな碍子覆いだけとすることができた.

 ② セミアクティブサスペンション

 高速新幹線車両は地盤振動対策のため,徹底した軽量化を行っているが,このため,トンネル内で,空力の影響を受け左右動揺が起こりやすくなった.この対策のため,車体間を結ぶダンパを採用し,また一部車両にセミアクティブサスペンションを導入し,乗り心地を改良した.

 ③ 先鋭化した先頭形状と車体断面縮小

 高速に伴って3~10乗則で増えるトンネル微気圧波と速度の二乗で増えるすれ違いでの列車側方への圧力の低減を考慮し,先頭形状を従来車の2倍以上に先鋭化し,かつ円型断面として断面積を従来車より1割低減した.室内寸法の見直しにより,従来車並みの定員を確保しながら,どちらも従来車以下に抑えることができた.

 ④ アルミニウムハニカム構体

 トンネル内で増大する車内騒音を防ぐため,車体の一部にロー付けアルミハニカム構造を採用した.これにより軽量化と車内騒音低減を両立させることができた.

 ⑤ ボルトレスの車体カウリング

 走行抵抗低減,床下構造の信頼性向上を目指して,床下機器を完全に覆った車体カウリング構造とした.床下機器配置を変更し,ボルトレス構造の側点検方式に変更したため,床下機器の冷却性能が向上するとともに車両保守費低減も図られた.

 また,空力特性改善のため,車両全体に徹底した平滑化を施したことにより,従来車より走行抵抗を35%程度軽減することができた.全電動車方式の回生ブレーキを採用したこともあいまって,電力消費量は速度向上にもかかわらず,従来型「のぞみ」より15%程度低減し,新幹線車両の中でいちばん速度が高いのにいちばん電力消費量が少ない車両となった.

3.まとめ

 500系は,沿線人口が多く,また,トンネルが多い山陽新幹線の特情に合わせて,徹底した空力特性改善等により,大量輸送・沿線環境保全・乗り心地向上・動力費低減を実現した,日本の鉄道車両技術を集結した世界最速列車である.

 本研究の成果に対して、日本機械学会は、1998年、吉江則彦(西日本旅客鉄道(株))、野口裕弘(同左)、下村隆行((財)鉄道総合技術研究所)、服部晃(川崎重工業(株))、中村正武((株)日立製作所)に日本機械学会賞(技術)を贈った。

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キーワード

新幹線、パンタグラフ、セミアクティブ、走行抵抗、回生ブレーキ、アルミパネル
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