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高温の不活性ガス噴流を用いた無酸化加熱装置の開発

N[sub]2[/sub]ジェットヒータの概略図

図1 N2ジェットヒータの概略図

1.概要

 高温の不活性ガス噴流を用いた無酸化加熱装置(N2ジェットヒータ)は,従来の技術では困難と考えられていた1000°C以上において,鋼などを無酸化雰囲気下で加熱することを目的として開発された装置である.その初号機は,川崎製鐵(株)水島製鉄所No.4連続鋳造設備において,熱間再使用タンディッシュの加熱装置として1995年に稼働を開始した.

2.技術の内容

 N2ジェットヒータの技術的特徴は,図1に示すように,燃焼室内在型の蓄熱式熱交換システムを採用したヒータ,バルブレスの高温ガス吹込み機構,および加熱炉内の雰囲気制御技術などである.本装置はN2ガスやArガスなど不活性ガスおよびその他のガスを加熱する際に広く適用できる.以下にN2ガス加熱へ適用した場合を例にとり,主要な技術について述べる.

 ① 燃焼室内在型の蓄熱式熱交換システム

 常温のN2を高温かつ効率良く加熱するために,燃焼室を内在した蓄熱式熱交換システムを考案し,採用している.この方式では,燃焼室と蓄熱体を内在したヒータ2台を一組として使うことにより,N2ガスを最高1500°Cまで加熱し,炉内へ連続的に供給する.その運転方法として,各ヒータには「燃焼モード」と「N2ジェットモード」の二つの状態があり,これらを30~100秒の周期で交互に繰り返す.「燃焼モード」では,燃焼ガスと加熱炉から回収する高温のN2ガスにより蓄熱体を高温に加熱する.「N2ジェットモード」では,高温の蓄熱体にN2ガスを通して,N2ガスを加熱し加熱炉内へ噴出させる.これにより,高温N2ガス噴流の対流熱伝達によって,被加熱物を無酸化雰囲気下で加熱する.

 ② バルブレスの高温ガス吹込み機構

 本装置では,ヒータ内の燃焼ガスが加熱炉内へ侵入することを防止するために,加熱に用いた後の高温N2ガスを加熱炉からリサイクルすることにより,高温用の切替えバルブが不要な高温ガス吹込み機構を採用している.これにより,高温用バルブの寿命上の問題を回避することができる.また,本方式の採用により,加熱に使用した後のN2ガス顕熱を回収することが可能になり,燃料の燃焼熱を98%という高い熱効率でN2ガスの高温顕熱へ転換できる.これにより,総合の加熱効率(=被加熱物の加熱量/燃料の燃焼熱)は従来の直火バーナと同等の効率が得られる.

 ③ 加熱炉内の雰囲気制御技術

 各ヒータのモード切替え時には,加熱炉からのリサイクルN2ガスによるヒータ内のパージと各流量制御連動型シーケンス制御を採用している.また,高温の不活性ガス吹込み時には,加熱炉内の圧力制御と連動させたリサイクルN2ガス流量制御を採用している.これにより,ヒータ内の燃焼ガスや外気が加熱炉内へ侵入することを防止できる.

3.まとめ

 上記の技術により,従来の技術では困難とされていた1000°C以上において,鋼などを無酸化雰囲気下で,安全かつ低コストに加熱できるN2ジェットヒータを開発し,実用化した.今後,無酸化雰囲気下での加熱が必要な他分野への適用が期待される.

 本研究の成果に対して、日本機械学会は、1998年、中川二彦(川崎製鐵(株))、原一晃(同左)、小山内寿(同左)、刀根功(同左)、北村有(中外炉工業(株))に日本機械学会賞(技術)を贈った。

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キーワード

無酸化加熱装置、高温、不活性ガス噴流、ガスジェットヒータ、蓄熱式熱交換システム
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