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パワーモジュール用高性能小型沸騰冷却器の開発

パワーモジュール用高性能小型沸騰冷却器

図1 パワーモジュール用高性能小型沸騰冷却器

沸騰冷却器の構造と仕様

図2 沸騰冷却器の構造と仕様

1.概要

 近年,IGBT等のパワーモジュール(半導体電力制御素子)はますます高集積化,高容量化,高速化の傾向にあり,これを使用するインバータ・昇降機・無停電電源等の電子機器・電力制御機器の発熱量や発熱密度も増大し,よりコンパクト・高性能な冷却器が望まれている.このような背景の下,パワーモジュール用高性能小型沸騰冷却器を開発し,1997年より産業用インバータの冷却用として製品化した.

2.技術の内容

 図1にパワーモジュール用高性能小型沸騰冷却器の外観,図2に構造と仕様を示す.冷媒には低沸点・低飽和蒸気圧の特徴を有するフロロカーボンを用いている.また,冷却性能は発熱量2kWでΔT=38°Cである.

 この冷却器の特徴は,①独自の冷媒流自然循環制御技術により大幅に冷却性能を向上したこと,②積層型放熱コアと押出し型冷媒槽との組み合わせ構造により異なる発熱量とパワーモジュールの数に対応できること,である.

 ①冷媒流自然循環制御技術

 押出し型冷媒槽内に沸騰蒸気流路と凝縮液戻り流路を設け,また両端に冷媒流路孔を設けた放熱コアを積層することにより,極めて簡素な構造で循環流路を構成している.さらに冷媒流制御板を設けて,蒸気流路内において冷媒を一方向に循環させ,沸騰蒸気と凝縮液の干渉を防止することにより,冷却性能を大幅に向上できる.

 ②積層型放熱コアと押出し型冷媒槽の採用

 自動車用の高性能コルゲートルーバフィンを用いた積層型放熱コアからなる凝縮器と,アルミ製の薄型押出しチューブからなる冷媒槽とを一体ろう付けすることにより,気密性に優れるとともに,積層コア数と冷媒槽の長さを変えることにより,発熱量の違いやパワーモジュールの数にフレキシブルに対応できる.

3.まとめ

 以上の特徴を有することにより,従来のヒートパイプ方式と比較して,飛躍的な小型化(放熱コア,-80%)・軽量化(-75%)・パワーモジュール取付面温度のばらつき低減(-83%)を実現した.

 本研究の成果に対して、日本機械学会は、1998年、鈴木昌彦((株)デンソー)、川口清司(同左)、大原貴英(同左)、長賀部博之(同左)に日本機械学会賞(技術)を贈った。

文献

[1] 長賀部、ほか4名、「冷媒流制御を用いた小形熱サイホン」、日本機械学会論文集B編、Vol.64, No.619,pp.843-848, 1998.
[2] 門田、ほか4名、「積層形放熱コアを用いた冷媒流制御式熱サイホン」、日本機械学会論文集B編、Vol.64, No.623, pp.2238-2243, 1998.
[3] 門出、ほか2名、「垂直流路内における自然流動沸騰の限界熱流束」、日本機械学会論文集B編、Vol.47, No.423, pp.2181-2185, 1981.
[4] 岡本、ほか3名、「沸騰冷却方式パネルクーラ(冷媒循環と冷却性能)」、日本機械学会論文集B編、Vol.66, No.645, pp.1447-1452, 2000.
[5] 小林、ほか4名、「冷媒流制御を用いた小形熱サイフォン(素子多段取付け時の放熱性能)」、日本機械学会論文集B編、Vol.63, No.615, pp.3641-3646, 1997.
[6] 鈴木、ほか3名、「自動車用積層放熱コアを用いた小形沸騰冷却器 : ヒートパイプ方式との比較」、日本機械学会論文集B編、Vol.64, No.623, pp.2244-2249, 1998.
[7] 寺尾、ほか4名、「コンピュータチップ用小型沸騰冷却器」、日本機械学会東海支部総会講演会講演論文集、No.003-1, pp.97-98, 2000.
[8] 川口、ほか3名、「沸騰冷却方式パネルクーラ(他冷却方式との比較)」、第36回日本伝熱シンポジウム講演論文集、I-1123, pp.267-268, 1999.

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キーワード

熱流動制御、沸騰冷却機、冷却性能向上技術、パワーモジュール、フロロカーボン、積層型放熱コア、循環流制御
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