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高性能電気自動車の開発

主要諸元・性能

表1 主要諸元・性能

EVユニット搭載図

図1 EVユニット搭載図

1.概要

 従来,電気自動車(EV:ELECTRIC VEHICLE)は,環境問題と将来の化石燃料枯渇対策の有力な解決策の一つとして期待されてきたが,実用に耐え得るEV性能が得られず市場性を獲得するに至らなかった.トヨタ自動車(株)はガソリン車のRAV4をベースに,量産EVとして,世界で初めてニッケル水素バッテリと交流同期型モータを採用する等,飛躍的EV性能を向上させた車両(RAV4EV)を開発し,1996(平成8)年9月より3ドア車を国内で,1997(平成9)年10月からより高性能で使用性の良い5ドア車を日米で販売開始した.

2.技術の内容

 RAV4EVの車両主要諸元・性能は表1に示す通りである.

 車両の主な特徴は以下の通りである.

 (1)一充電走行距離・動力性能等,都市内や短距離都市間高速移動用として実用に供せるレベルのEV性能.

 (2)ガソリン車と同等の車両パッケージング.

 (3)パワーステアリング・エアコン等快適装備の充実と,ガソリン車と違和感のない操作性および使用性.

 (4)車載充電器による家庭用電源での容易な充電と,エコステーション対応.

 (5)高性能・長寿命,かつ,メンテナンスフリーな駆動用バッテリの採用.

 図1にEVユニットの搭載図を示す.

 以下にEV主要ユニット・システムについて述べる.

 (1)駆動用バッテリ

 鉛バッテリに比し,出力が安定しており,1.5倍以上のエネルギーと約3倍の寿命を有するニッケル水素バッテリを開発.樹脂製バッテリキャリヤに一括収納し車両床下に配置.さらに,シール型構造の採取によりノーメンテナンス性を実現.

 (2)パワートレーン

 高耐熱Nd系磁石や弱め界磁制御等の採用で,低速高トルク域から高速高回転域まで幅広い領域をカバーする交流同期型モータを開発.さらに,モータと同軸に配したステップドピニオンプラネタリギヤ式トランスアクスルとの組合せで高い総合高率と小型・軽量化を実現.

 (3)回生ブレーキシステム

 減速時に駆動用モータを発電機としてエネルギーをバッテリヘ回収.RAV4EVでは,制動初期に回生ブレーキを優先するシステムを開発.市街地走行時,約30%の大幅なエネルギー回収を実現.

 (4)空調システム

 室外器にスクロールコンプレッサによる高性能ガスインジェクション方式ヒートポンプエアコンを開発.また,室内器に内外気二層流システムを採用することとあわせて,低温から高温まで幅広い温度領域に対応する空調システムを開発.冷媒にはHFC134aを採用.

 (5)高電圧安全

 車両サービス時および衝突時の高電圧系安全性に対応した.

3.まとめ

 RAV4EVは,飛躍的に向上させたEV性能と車両の使い勝手より,日米で好評を博している.EV実用化への手がかりを達成したと確信する.

 本格的なEV普及に向け,よりいっそうの性能向上とコスト低減を図るとともに,新たなEV市場創出の提案を行っていきたい.

 本研究の成果に対して、日本機械学会は、1998年、木下雅夫(トヨタ自動車(株))、藤井雄一(パナソニックEVエナジー(株))、宮谷孝夫(トヨタ自動車(株))、木村良雄(同左)、関森俊幸(同左)に日本機械学会賞(技術)を贈った。

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1998
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キーワード

EV、電気自動車、交流モータ、ニッケル水素バッテリー、回生ブレーキ
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