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車両安定性制御システム(VSC)の開発

システムの構成

図1 システムの構成

VSCの作動(車体スピン抑止時)

図2 VSCの作動(車体スピン抑止時)

VSCのスピン抑止効果

図3 VSCのスピン抑止効果

1.はじめに

 日本の自動車事故の死亡者数は,依然として多く,これまでのドライバーの注意,モラル等に頼った事故の低減には限界がある.車の安全性を考える上で最も大切なことは,事故が起こり難くすること,即ち予防安全である.この内の事故回避性能向上を目的としてVSCシステム(Vehicle Stability Control system)を開発した.

2.開発の狙い

 社内で収集した事故データを基に,重大事故の要因を調べると,車の横すべりなどにより操縦不能に到るケースが1/4程度と多く,横すべりの原因には,路面状況の変化の読み違いや緊急回避時の急操舵などが多いことが分かった.また,実車での調査結果から,一般ドライバーがいったん発生した横すべりを抑えることは非常に難しいことなども確認された.

 すでに実用化されているABS(Antilock Brake System)やTRC(Traction Control system)が制動,駆動方向での限界ガード的機能であるのに対し,車両の横すべり防止のための旋回方向の限界ガードを設けるのがVSCの狙いである.

3.システム概要

 VSCのシステム構成を図1に示す.

 車体のスピン時には,ヨーレート,横Gなどのセンサから推定した車体スリップ角β及びdβ/dtの位相平面から車両の不安定程度を算出し,これに応じて前輪の旋回外輪をアクティブに制動し,スピン抑止方向のモーメントを発生させる(図2).また,ドリフトアウト時には,操舵角に対するヨーレートの出方に基づいて各輪を制動し,減速および回頭方向のモーメントを増加させる.

 なお,制御に先立ち,車両が限界に近づいたことをランプおよびブザーでドライバーに予知させるようにしている.

4.システムの制御効果

 図3は滑りやすいウエット路面でのダブルレーンチェンジ試験時の車両挙動を比較したもので,VSCありでは車両のスピンが抑えられている.

5.まとめ

 事故の調査,解析に基づき,車体の横すべりを抑止するVSCシステムを開発し,クラウン系,マークⅡ系の一部の車種に採用している.この開発を通して新しい運動状態推定技術と位相平面を用いた安定化制御手法を開発した.

 本システムはコスト/パフォーマンスに優れているので,今後急速な展開が予想される.

 本研究の成果に対して、日本機械学会は、1997年、川口裕(トヨタ自動車(株))、来栖俊郎(同左)、岡田亜起夫(同左)、稲垣匠二(同左)、深田善樹(同左)に日本機械学会賞(技術)を贈った。

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キーワード

予防安全、横滑り、スピン抑制、ヨーレート、横G
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