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通気性を有する遮音壁構造の開発

通気性を有する遮音壁構造

図1 通気性を有する遮音壁構造

計算モデル

図2 計算モデル

透過損失の実験と計算の比較

図3 透過損失の実験と計算の比較

周波数特性のコントロール

図4 周波数特性のコントロール

1.概要

 車両加速時の車外騒音では,エンジン要因が大きな寄与を占める.特に,本体騒音レベルの大きいディーゼルエンジンでは,エンジンルームの下面に設置したアンダーカバーなどでエンクロージャを構成し騒音低減を図っている.しかし,熱源であるエンジンの遮蔽は,排熱の要求から設置面積に制約を受ける.つまり騒音低減のための遮音性と,冷却風循環のための通気性にはトレードオフ関係を持つ.この背反問題は自動車に限らず,多くの産業機械が共通に抱えている.

 この問題の克服を目的として,通気のための孔部を有しつつも,透過音の音響的な反共振を利用することで遮音機能を得る,新しい遮音壁構造を開発した.

2.技術の内容

 2・1 構成と遮音原理  平行な2枚の有孔板を対向させ,孔部に形成される空気マスと板間に形成される空気バネで2自由度の振動系を構成する.さらに孔部の一部を連結し,貫通穴として空気マスを形成し振動特性の異なる2種類の孔部を有するパネル構造を考案した(図1).本構造により,2自由度振動系の透過音はその共振点以上で貫通穴の透過音に対し逆位相になる.この干渉効果,つまり透過音の音響的な反共振により遮音効果を得る.さらに高周波側では,空気マスの慣性力により遮音効果を維持する.

 2・2 シミュレーション  本効果を解析的に求めるため,図2に示すように一次元の波動モデルを置く.①~⑩の各境界条件において粒子速度の連続の式,音圧の釣り合いの式を立て,連立させて透過損失を算出する.

 エンジン騒音で支配的周波数帯である630~3.15kHzバンドにおいて,10dB以上の遮音効果を30mm以下の実用的な厚さで得られるように設計した樹脂製テストピースの透過損失を示す(図3).本結果から十分な精度でシミュレーションが可能であることがわかる.

 2・3 技術の特長  本構造は,パネルを構成するパラメータの変更により,任意にその周波数特性を変更できる.2種類の孔部の配分比率βを変化させた場合の特性変化を図4に示す.また本構造は,面直に通気用孔部を設置できることから空気の流れ形態を制御しやすく,通気抵抗を極限まで低減できる利点を持つ.

3.まとめ

 通気性と遮音性を両立させる,新しい要素技術を構築した.現在,次段階としてレイアウト等の成立要件が厳しい車両アンダーカバーへの適用技術を開発中である.また汎用性の高い本技術は,多くの産業機械分野において適用技術開発が進行中であり,工場設備,空調機等の騒音対策では既に適用が広がっている.

 本研究の成果に対して、日本機械学会は、1997年、巖桂二郎(日産自動車(株))、浅原康之(同左)、新保雄二(同左)、山崎一郎(同左)、屋代春樹(同左)に日本機械学会賞(技術)を贈った。

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通気性を有する遮音壁、通気性、遮音性
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