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筒内噴射ガソリンエンジン(GDI)の開発

筒内噴射ガソリンエンジンの基本技術

図1 筒内噴射ガソリンエンジンの基本技術

1.はじめに

 筒内瞬射ガゾリンエンジンは,部分負荷ではディーゼルエンジンの低燃費,高負荷では予混合ガソリンエンジンの高出力の特性を示すポテンシャルを持ち,その実現に向けて広範な研究が行われてきた.燃焼を成立させるための要件は点火プラグ周辺に混合気を集中させることにあるが,安定した火炎伝播を確保する一方で点火プラグの汚損を防ぐことが必要になるため,許容される混合気濃度の幅さ小さい.これを広い運転条件で実現することが困難であることが,筒内噴射を現実のものにすることを妨げていた.

 三菱自動車工業(株)は,噴霧構造,筒内流動,燃焼室形状のあり方について系統的な検討を加え,新しい混合制御法を見いだし,この問題を解決した.

2.基本コンセプトとその効果

 図1に示す新技術を採用した;

 (1)直立ポートで実現した従来と逆方向のタンブル,

 (2)噴霧の微粒化と分散を制御する電磁式スワール弁,

 (3)混合気の層状化を維持する球型ピストン燃焼室.

 部分負荷域では,圧縮行程後期に燃料を噴射し強い層状化をねらう「後期筒内噴射」を採用する.インジェクタを立て噴霧運動をピストン運動に方向させ,キャビティ壁面の反射を利用して噴霧を点火プラグの方向に運び,さらに,直立ポートで生成したタンブルによって噴霧をキャビティのなかに閉じこめる.噴霧が直接点火プラグに当たらないようにすること,噴射終了から点火までの間に十分な時間を置き燃料の気化と拡散を進行させることがポイントで,これによって広い条件で安定した燃焼を実現している.空燃比30~40に希薄運転を成立させ,30%を越える燃費低減を実現している.

 高負荷域では,吸気行程に燃料を噴射し均一混合をねらう「前期筒内噴射」を採用する.噴霧がピストンに衝突しない噴射タイミングを選び,噴霧にピストンを追いかけるような運動をさせることによって燃料を燃焼室全域に広げる.シリンダライナやピストンヘの衝突を避けながら広い範囲に燃料を分散させているので,蒸発潜熱は空気から供給され,吸気冷却が進行する.この結果12:1という高い圧縮比に設定することができた.吸気冷却による体積効率の向上,高圧縮化比,慣性過焼が効きやすく流量係数に優れた直立ポートの効果によって,ほぼ全域で10%の全負荷出力の向上を実現している.

 1996年8月のこのエンジンを搭載したギャラン・レグナムの発売以降,低燃費・高出力を同時に実現する筒内噴射ガソリンエンジンは,世界の自動車産業界によって,次世代エンジン技術の核としての位置づけを与えられるようになってきている.

 本研究の成果に対して、日本機械学会は、1997年、安東弘光(三菱自動車工業(株))、野間一俊(同左)、岩本裕彦(同左)、中山修(同左)、山内孝樹(同左)に日本機械学会賞(技術)を贈った。

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キーワード

自動車、ガソリンエンジン、筒内噴射、低燃費、高出力、直立吸気ポート、高圧スワールインジェクタ、球形ピストン燃焼室
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