1. HOME
  2. 機械関連(専門)
  3. 研究情報(登録番号1936)

大容量LNG地下式貯槽の開発と建設

20万klLNG地下式貯槽の構造概要

図1 20万klLNG地下式貯槽の構造概要

1.概要

 我が国の基幹エネルギーとして液化天然ガス(LNG)の使用量が増大するなか,土地の有効利用と建設コスト低減のため,さらなる貯槽の大容量化が求められるようになってきた.

 -162°Cの極低温,可燃性の液体であるLNGを安全に貯蔵するため,LNG地下式貯槽の大容量化にあたっては,土木構造と並行して,液深度増大に対応したメンブレン構造・保冷等,機械構造についてさまざまな技術開発を行ってきた.

 これらの成果として,1982年に13万kl貯槽(当時,世界最大)を,また1995年には現在世界最大の20万kl貯槽(図1)を完成させることができた.

2.技術の内容

 図1に示すように地下式貯槽は液密,気密材としての厚さ2mmのSUS304製メンブレン,液圧を受ける硬質ウレタンフォーム製の保冷材,耐圧部材であるコンクリート壁より構成されている.貯蔵液位は周辺の地表面以下としている.

 大容量化にあたって,取り組んだ主な技術開発の内容を以下に述べる.

 ① 液深度増大に対応したメンブレン構造

 大容量貯槽では,従来の貯槽に比べ液圧が増加し,メンブレン,特にコルゲーションに作用する応力レベルが増大する.このため,低サイクル疲労設計を中心とする設計法を確立するとともに,不安定崩壊を起こしにくいコルゲーション形状,分割挙動型の側部メンブレンを開発した.

 ② 液深度増大に対応した保冷材

 保冷材の硬質ウレタンフォーム(PUF)は,従来,発泡剤として特定フロンが使用されていた.フロン規制を踏まえ,発泡剤としてHCFC141bを使用し,かつ液圧増大に対応すべく圧縮・クリープ強度の高いPUFを開発した.また,設計面では,クリープ強度評価を含めた設計手法を確立した.

 ③ メンブレン高機能自動溶接機

 薄板でコルゲーションを含む複雑形状のメンブレンの自動溶接に対し,大容量化に伴い高速化が要求された.従来,パルスTIG溶接法が採用されていたが,新方式の回転TIG自動溶接機を開発した.

 アーク自体をセンサーとする独特の開先倣い制御機構を採用することにより,高速化および装置の軽量,コンパクト化を達成した.

 ④ 保冷パネル段差の高機能計測装置

 メンブレン疲労強度に影響を与える保冷パネル段差を精度よく効率的に測定するため,レーザ変位計を用いた自動計測装置を開発した.

 ⑤ 新屋根構造の開発

 地震時のスロッシングに対する安全性の向上を図るため,屋根内面に多層構造の保冷材を設置する屋根内面保冷構造を開発した.また,比較的市街地に近接して建設される貯槽の飛来物等に対する安全性にも配慮し,コンクリート覆工屋根構造を開発した.

3.まとめ

 LNG地下式貯槽の技術は,我が国で開発した独自技術であるが,近年,国際的な評価も高まり海外における建設実績も増えつつある.

 本研究の成果に対して、日本機械学会は、1997年、鍵山一郎(東京ガス(株))、御子柴隆夫(石川島播磨重工業(株))、河井清和(三菱重工業(株))、山鹿素雄(日本鋼管(株))、平田幸廣(川崎重工業(株))に日本機械学会賞(技術)を贈った。

関連する研究を検索

分野のカテゴリ

エネルギーと環境(エネルギー・環境)
(動力エネルギーシステム)
ものをデザインする(設計・CAE)
(機械要素)

関連する出来事

データなし

世の中の出来事

1997
消費税の税率が引き上げられる。
1997
長野新幹線が開業する。

Webページ

データなし

博物館等収蔵品

データなし

キーワード

LNG、大容量貯槽、保冷材、自動溶接機、屋根構造
Page Top