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冷媒回収再生機の開発

冷媒回収再生機

図1 冷媒回収再生機

回収方式

図2 回収方式

回収部の構造

図3 回収部の構造

再生部の構造

図4 再生部の構造

性能評価結果

図5 性能評価結果

冷媒成分分析結果

図6 冷媒成分分析結果

1.概要

 地球環境の保護,とりわけオゾン層の破壊防止の観点から,CFCガスの生産量の段階的削減と近い将来に向けての全廃方針が打ち出される中,カーエアコンに使われている冷媒も新車用は従来のCFC12(R12)から代替冷媒〔HFC134a(R134a)〕に切り替えられている.いっぽう,既存車のカーエアコン中のCFC12は,大気放出量低減と補給用確保の二つの面から回収,再利用が急務であった.

 上記の背景に対し,我々は冷媒を圧縮機で吸入・昇圧して大形ボンベに回収するのではなく,小形の容器を冷凍機で冷却し低圧にすることにより回収する方式を開発し,安全で取り扱いの容易な冷媒回収再生装置(図1)を製品化した.

2.技術の内容

 2・1 回収方式  カーエアコンの冷媒を回収する方法は,図2に示すように大きく分けて二つある,一つはコンプレッサでエアコンから冷媒を吸引し高温高圧のガスに圧縮した後,常温で冷却液化して容器に貯める吸引式である.もう一つは,冷凍機で発生した低温で冷媒を冷却液化し容器に貯める冷却式である.

回収時の圧力が低く安全であること,および,回収経路に機械部品がなくオイル管理が不要などメンテナンスの容易さから後者の冷却式を採用した.

 2・2 回収部の構造  図3に示すように,回収部は冷媒を冷却液化させる冷却室と取り外し可能なタンクからできている.冷却室は内部にコイル状の冷却器を,下部にストップバルブとモータにより回転するカムを持ちタンクを引張りあげる機構を備えている.回収タンクは冷却室についているのと同じストップバルブとバルブガイドを備えている.タンクを引張り機構により冷却室の下部に装着してから,カムを回転させることにより上下のストップバルブを押し開き,その結果,冷却室で液化した冷媒が重力により回収タンク内に落下する.落下した液冷媒の一部は,タンクの温度が液冷媒の温度よりも高いため,再び蒸発しタンクの温度を下げる.蒸発した冷媒はバルブガイドとタンク側壁とタンク上壁とで囲まれたスペース(図中ハッチングで示されている)に停滞する.その結果,回収タンクは液冷媒であふれることはない.

 2・3 エア放出機構  カーエアコンの構成部品にはゴムホースがあり,長年の使用によりそれを通してサイクル内にエアが混入する.そのエアが回収時に冷却室内に流入すると,冷媒の凝縮を阻害し回収にかかる時間が長くなり,また,回収冷媒に不凝縮ガスが含まれることになる.

 そこで,本システムでは図3に示すように冷媒流入口を冷却室の下部に,電磁弁とキャピラリチューブで構成されたエア放出機構を上部に設置した.これにより,冷却室内上層に蓄積されるエアを効率よく外部に放出できる.

 2・4 再生部の構造  冷媒の再利用のためには,不凝縮ガス・オイル・水分の除去が必要である.不凝縮ガスについては冷媒回収部のエア放出機構により除去される.オイル・水分は,回収部に流入する前に図4に示す再生部で除去するシステムとした.

 再生部本体は内径φ64の円筒容器で,本体下部より流入した冷媒は気液分離部にて蒸発し,液冷媒中のオイルが分離される.その際のオイルの飛散に対しては,ワイヤエレメントとその上部に設けたフェルトにてろ過する構造とした.さらに気液分離部の液面が冷媒流入口より高くならないように液面センサで制御した.オイルが除去された冷媒はゼオライトにて水分が除去される.ゼオライトは回収を500回行っても回収冷媒中の水分濃度が再生冷媒基準値である15ppm以下になるように500g充てんした.

 2・5 性能評価  図5に実験室で行った回収実験での冷却容器内の圧力と冷媒の回収率の変化を示す.太線はエアが1000cc混入してエア抜き機構を作動させた場合であり,一点鎖線はエア抜き機構を作動させない場合の結果である.エア抜き機構を作動させた場合は,エア抜き直後から冷却容器内圧力は低下し回収速度は再び向上し,10分後の冷却室内圧力はエアなしの場合に比べてわずかに0.02MPa高いだけで,回収率は90%まで改善された.

 図6にフィールド試験により得られた冷媒の成分分析結果を示す.本システムで回収した冷媒(A~M)は,廃車冷媒(1~7)に比べ各不純物の含有率が低くSAEの再生冷媒基準に適合していることが検証できた.

3.まとめ

 冷凍機を用いて冷媒を冷却液化する方式の回収機構および回収と同時に作動する再生機構とを併せて開発した.

 本製品は,安全でかつ容易な操作で回収可能な装置として,自動車関連分野において,補給用の確保を含めCFC12の大気放出量の削減に大きく貢献している.

 本研究の成果に対して、日本機械学会は、1996年、佐藤英明(日本電装(株))、藤原健一(同左)、小久保尚躬(同左)、財前禮二(同左)、森悟(同左)に日本機械学会賞(技術賞)を贈った。

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キーワード

カーエアコン、オゾン層破壊防止、CFCガス削減、冷媒回収・再生、冷凍機、冷却液化、再利用
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