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圧延設備用オンラインロールプロフィル計測装置と利用技術の開発

OPM付きORG全体構造

図1 OPM付きORG全体構造

超音波式変位計による変位量測定

図2 超音波式変位計による変位量測定

ロールプロフィル測定系の概要

図3 ロールプロフィル測定系の概要

データ処理手順の概要

図4 データ処理手順の概要

制御ブロック図

図5 制御ブロック図

OPM付きORG研削システム構成

図6 OPM付きORG研削システム構成

1.概要

 近年鉄鋼製品に対する需要家からの品質要求は多様化,厳格化を呈している.熱間圧延にて帯状鋼材を製造するホットストリップヘの要求も例外ではなく,とくに板厚精度(長手,幅手方向)の要求が厳しくなっている.

 ホットストリップにおける板厚精度(長手,幅手方向)の確保は,複数に連なる圧延機(一般に7基)各スタンドの速度・ロールギャップで支配され,これを決定する因子すなわち圧延される材料状態(変形抵抗・温度降下)及びロール状況(熱膨張・摩耗)はある仮定に基づく理論式により決定される.この理論式は最近ではかなり高度化されたものが採用されており,板厚精度の向上は飛躍的に図られてきたもののバラツキが依然として存在しているのが実態であった.このバラツキは仮定に基づいて構築された理論式に起因しており,とくに圧延中のロールの状況が把握できていないことが最大の要因であった.バラツキを最少に抑えるためには,圧延中のロールの状況を正確に把握する必要性が生じ,このために今回熱間鋼帯圧延設備内でロールプロフィルを高精度に測定する装置(On-line Roll Profile Meter=OPM)とその利用システムを開発した.

 このOPMは複数個のロール表面凹凸測定用変位計での測定値に3点法真直度測定法を応用した演算処理を行う方法であり,測定装置の運動誤差,測定中のロール振れ回り等の影響を受けることなくロールプロフィルを高精度に測定することができる.

 ロールの状況が正確に把握できることでロールギャップ装置にタイムリーに反映させ,またORG(オンラインロールグラインダー)を駆使してロール表面の急峻な変化を除去することで板厚精度(長手,幅手方向)の大幅な向上を計ることが可能になったと同時にロールの摩耗に起因するロール替えの頻度を少なくすることができた.

 図1にOPM付きORGの全体構造を示す.

2.技術の内容

 2・1 OPMの特徴  熱間鋼帯圧延設備内という苛酷な環境下(熱・粉じん・水・衝撃)での高精度計測を実現させるため,以下の特徴を有している.

 2・1・1 超音波式変位計  測定環境を考慮してロール表面凹凸測定用変位計として超音波式水距離計(変位計)を採用した.本変位計は,圧電素子を内蔵したプローブとロール間に水柱を生成し,プローブから発射されたパルス状の超音波がプローブとロール間を往復する時間Tからロールとの隔たり量Dを測定する装置である.構成および測定法の概要を図2に示す.

 2・1・2 測定系の構成  3点法真直度測定法を応用したOPMの概要を図3に示す.変位計取付台(移動台)に複数個の変位計をロール表面との隔たり量を測定するように設置し,移動台をロール軸方向に移動させながらロール回転に同期したトリガ信号をもとに,ロール円筒面上の一直線上のロールプロフィルを複数個の変位計によって分割して測定する.

 2・1・3 データ処理手順  図3に示したように,移動台の左右両端部に3点法真直度測定法のために測定計(変位計1・2・3および8・9・10)を構成し,これら変位計での測定値から3点法演算によって移動台両端部の真直度運動誤差を求め,剛体としての移動台運動誤差を求める.こうして求めた移動台運動誤差をもとに,図3中の変位計2・4・5・6・7・9での測定値を,移動台が真直に移動した状態での値に修正し,これらを連結して全体のロールプロフィルを求める.データ処理手順の概要を図4に示す.

 2・2 OPMの利用技術  圧延中のロールプロフィルが高精度に計測できたことで,この結果をORG(オンラインロールグラインダー)研削および圧延制御へ適用する技術を開発した.

 2・2・1 ORG研削システムヘの適用  OPMによる実測ロールプロフィルをもとにロール研削するフィードバック研削アルゴリズムを開発した.このフィードバック研削の制御ブロック図を図5に示す.ロールプロフィルのフイードバック方法は,数製品延毎に実施するOPMによる実測値を常時計算しているロール摩耗モデル推定値で補間する形式となっている.これはロールの摩耗は1製品圧延毎に2~4μmと極めて小さいこと,他方,OPM計測精度は±8μmであるため1製品圧延毎にロール摩耗実測-研削を繰り返す必要性が低く,むしろきめ細かな研削を可能にするためには,数製品圧延の間はロール摩耗モデル推定値による研削を行い,この後OPMによるロール摩耗実測を実施してこの間の誤差を修正研削する方法を採用している.図6にはORG研削システムの構成を示す.

 2・2・2 圧延制御への適用  圧延製品の板厚の実現精度は,圧延機の初期ロールギャップの設定精度に大きく依存している.初期ロールギャップの設定精度は,圧延機を連成ばね系に模した数学モデルとロールプロフィルの推定(摩耗・膨張)モデルに支配される.今回ロールプロフィルをOPMで実測できるようになったため板厚精度は,従来のものに比べて約30%改善された.(σ=32→20μ)

3.まとめ

 本装置は,熱問鋼帯圧延設備内という苛酷な環境下でロールプロフィルを高精度に計測することを可能とした.この実現により鋼帯製品の寸法精度の一層の向上およびロール替え頻度の延長・省略ができたことで省エネルギー・省要員等の経済効果を達成することができた.

 本研究の成果に対して、日本機械学会は、1995年、中村丈人(NKK鉄鋼技術センター)、関根宏(NKK京浜製鉄所)、岡崎慎二(同左)、竹野耕一(三菱重工業(株))、島筒博章(同左)に日本機械学会賞(技術賞)を贈った。

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キーワード

ホットストリップミル、板厚精度、オンラインロールプロフィル計測、超音波変位計、オンラインロールグラインダー
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