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自動車用高性能ナビゲーションシステムの開発

自動車用表示装置の新旧比較

表1 自動車用表示装置の新旧比較

新CDピック構造とアクセスタイムの比較

図1 新CDピック構造とアクセスタイムの比較

経路計算用道路ネットワークの階層構造

図2 経路計算用道路ネットワークの階層構造

最短経路計算原理

図3 最短経路計算原理

リンクコスト一覧表

表2 リンクコスト一覧表

音声案内の効果

図4 音声案内の効果

1.概要

 自動車情報の多用化,高齢者/女性ドライバの増加といったニーズの変化から,自動車に要求される情報表示内容は,年々増加の傾向をたどっている.

 一方,官民一体となった交通渋滞の緩和のための交通情報提供システムの実用化実験,公開実験が世界各国で盛んに推し進められている.今後,車外情報の多様化,自動車交通環境の複雑化によって,さらに多量の情報を車室内に取り入れる必要性が増大してくるものと予測される.

 これらの道路交通環境変化に対して自動車用ナビゲーションシステムの果たす役割は安全性,経済性,省資源の確保という観点から非常に重要になっている.

 これらの状況に対して,判読性/視認性を確保し,画面タッチ機能を含んだスイッチ配置,窓映り防止などを織り込んだ省スペースタイプの自動車用6in液晶ディスプレイと,GPS(Groval Positioning System)車速等のセンサおよびマップマッチング技術を駆使した高精度な自車位置標定技術およびCD-ROMに大容量の地図データをディジタル化技術と圧縮化技術によって収録し,誤操作誤認識などを防止するための表示方法と人間工学に配慮した音声経路案内機能を備えた,画期的な次世代高性能ナビゲーションシステムを開発した.これらの技術は,今後のマルチメディアなどの高度情報化社会の先駆けとなる技術である.

2.技術の内容

 2・1 自動車用カラー液晶ディスプレイ装置  自動車用のカラー液晶表示装置を実用化するためには,ダッシュボードの狭いスペース内に収納できるよう液晶ドライバの省スペース設計,自動車用としての使用条件下(昼夜の照度変化,広範囲な温度変化,電源電圧変動など)における表示画面の安定動作,信頼性確保が重要である.今回のカラー液晶表示装置では,

 ・液晶ドライバの省スペース化

 ・プレヒート回路

 ・バックライトの高輝度化

 ・LCF(Light Control Film)フィルタ

にポイントを絞り開発した.

 自動車用の表示装置として,高輝度で,6inの大型画面を有し,画面上で赤外線タッチスイッチを構成させ「容易な操作性」と「高い判読性」を備えた,表示装置を開発し,当初の目標を達成できた.表1に,従来品との性能比較を示す.

 2・2 高速メモり読み出しCD-ROMチェンジャー  CD-ROMチェンジャーの構造は,音楽用CDチェンジャーの構造,レイアウトをもとにして,高速モータの採用とともに,ラック&ピニオン方式を採用して耐久性を向上し,ピック送りモータとして立ち上がり及び慣性モーメントの小さいコアレスモータを,また,停止位置精度の向上を図るためロータリエンコーダを採用した.その構造図・アクセスタイムの比較を図1に示す.

 2・3 現在位置評定&ハイブリッド方位処理  現在地精度向上のために,従来技術の地磁気センサ,GPSセンサ,車速センサにステアリングセンサ,車輪速センサを加え,それらのデータを複合的に演算して新しい方位と位置データを算出する新規処理ロジックを開発した.さらに,ディジタル道路地図データに照らし合わせるマップマッチング手法と組み合わせて精度の向上を図った.

 2・4 経路探索処理  本システムでは,自動車用として初めて「経路案内」機能を導入した.経路案内とは,現在位置から目的地までの推奨経路をCD-ROMに納められた地図データベースから算出する機能である.本機能は,車載システムが交通情報と合体し,実用的な交通流制御の実現を可能とすべく開発を行い,この結果,経路案内用の地図データベースを用い,高速処理して地図へ表示する探索アルゴリズムを新規に開発,採用した.目的地までの経路を探索する方法として変形ダイクストラ法を用いており,経路計算時間を短縮するため道路ネットワークを3段階の階層構造とする概念を採用した(図2).

 また,最良な経路を計算する場合,リンク(単位道路)コストが重要な要素となる.コスト項目を表2のように設定し,経路対象道路すべてについてもっとも値が小さくなる道路の組み合わせを求めている(図3).

 2・5 音声案内処理  経路の案内,運転の安全性,安心度合,経済的運転を向上することを目的に,それを音声と交差点拡大図を併用して実現する方式を開発した.音声の種類は,交差点名,道路名,インターチェンジ名,看板の行き先名等で構成しており,音声発声タイミングは,道路の車線数,速度等を考慮して行い,新しい処理ロジックを開発した.これにより,運転中の画面視認回数と時問及び心拍数が図4のように低減でき,目標を達成できた.

3.まとめ

 本システムは,自動車用ナビゲーションシステムとして,ほぼ基本的な技術の開発が達成できた.近年の市場拡大傾向の下,将来の交通情報提供システムとの合体でさらに交通安全への寄与が期待される.

 本研究の成果に対して、日本機械学会は、1995年、近藤弘志(トヨタ自動車(株))、東重利(同左)、木村賢治(同左)、加藤隆章(日本電装(株))、角谷孝二(アイシン・エィ・ダブリュ(株))に日本機械学会賞(技術賞)を贈った。

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キーワード

ナビゲーション、カラー液晶、在地精度、経路探査
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