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UWB電波伝搬および既存ワイヤレスシステムに対する干渉の先駆的研究

 UWB(超広帯域)技術は、超高速ワイヤレス通信、高分解能レーダや高精度測位を可能にするだけでなく、実質的に新しい周波数資源をもたらすものとして期待されている。また、UWB技術を利用して、情報家電機器やパソコン周辺機器のワイヤレスネットワーク化をはじめとするワイヤレスパーソナルエリアネットワークや車載短距離レーダなどの市場が開拓されることも予想されている。本研究は、特にUWBの電波伝搬特性の解明や既存システムに対する干渉の影響評価の課題に着目し、その先駆的研究を推進するとともに、電波伝搬や環境電磁工学の分野に新しい局面を切り開いた。
 UWBワイヤレスシステムは従来のいわゆるブロードバンドワイヤレスシステムと比較してもはるかに広い周波数帯域(比帯域すなわち中心周波数で正規化した帯域幅が20%以上、あるいは帯域幅が500MHz以上、代表的には1GHz以上)を占有する。このことから、マルチパス(多重波)伝搬路においてもマルチパスを分離可能であり、超高速ワイヤレス通信が可能になる。しかし、その電波伝搬特性は十分に解明されているわけではなかった。本研究では、測定用のUWB高性能アンテナやUWB信号源を自ら開発することから始めて、日本国内の大学・研究機関としては初のUWB実験局免許を取得し、UWB電波伝搬特性の実測・評価に先鞭を付け、更に世界に先駆けて双方向でのUWB時空間伝搬特性の推定法を開発した。これは、従来のブロードバンド電波伝搬研究に比べて時間分解能を飛躍的に向上させ、伝搬研究に新機軸をもたらすものである。更に小林さん、高田さんらは共同して推定法を進化させ、様々な環境におけるUWB伝搬特性を測定・解析・モデル化して、多数の論文を公表するとともに、IEEE802.15.3、COST273などにおける標準化にも貢献した。
 また、UWBシステムは既存の狭帯域ワイヤレスシステムと不可避的に周波数を共用しなければならない。UWBシステムは拡散利得を大きくとることによって狭帯域システムからの干渉の影響を排除して得る上に、UWBシステムは後発のものであるから、狭帯域システムへの電磁干渉が問題となる。これを解決するための一つの考え方は、UWBシステムからの放射電力密度を雑音レベル以下に抑えればよいというものでもある。しかし、先行した米国における規制緩和は必ずしも十分な技術的検討に基づくものではなく、結果的に日本やヨーロッパ諸国においては米国よりも厳しい技術的条件が課せられることになった。本研究では早期からこの電磁干渉の問題にも取り組み、実験及びシミュレーションによる干渉の定量的評価やUWBデバイス測定法の提案などにおいて研究成果を生み出した。更に、ITU-R TG1/8における標準化に寄与するとともに、総務省情報通信審議会におけるUWB無線システムの技術的条件策定に大きな貢献をなした。


 本研究の成果に対して、電子情報通信学会は、2008年、小林岳彦、高田潤一に業績賞を贈った。

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キーワード

UWB、電波伝搬、干渉
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