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大容量小型磁気ディスク装置の開発

本装置の主な仕様

表1 本装置の主な仕様

装置の外観写真

図1 装置の外観写真

装置断面図

図2 装置断面図

1.はじめに

 近年ノート/ブック型パソコンが急速に伸長してきたが,その高性能化が進むにつれて,記憶装置として使われている2.5インチ形磁気ディスク装置(2.5インチHDD)に対する大容量.高性能化の要求が高まってきた.この期待に答えるために,340Mバイトの大容量を持つ2.5インチHDDを開発し商品化した.

 現在,磁気ディスク装置の主流は3.5インチ形であるため,2.5インチと小形になっても,装置に求められる容量,機能,性能は3.5インチ形のそれと同等またはそれ以上の水準が要求される.このことは3.5インチ形に比して,記録密度を約2倍に,実装体積密度を約3倍に引き上げる必要があることを意味する.このため,高密度記録技術,高密度実装技術,高速スピンドルモータ,高推力VCM,高抗磁力磁気ディスク,小形薄膜ヘッドなどの新技術と新部品を開発し採用することによって小形ながら3.5インチ並の大容量・高速データアクセス性能を実現した.

2.装置仕様と特徴

今回商品化した装置の仕様を表1に,外観写真を図1に示す.また,この装置の主な特徴は次のとおりである.

(1)高密度記録による340Mバイトの大記憶容量

(2)高性能VCMによる平均12msの高速シーク

(3)高速回転スピンドルによる高速データ転送

(4)キャッシュ機能による高データスループット

(5)高速・高性能エラー訂正等による高信頼性

3.技術の内容

 3・1 高密度記録技術  高密度記録のために円周方向の線記録密度(ビット密度)と半径方向のトラック密度の両方の高密度化を図り340kビット/mm2の面記録密度を実現した.ビット密度を上げるために表面平滑度の秀れたガラスディスクを採用し,磁気ヘッドの浮上量を0.075μmに下げかつディスク上の内周から外周まで浮上量変化を10%以内に抑えている.これによりディスクの全面にわたってほぼ同じ線記録密度でデータの記録が可能になった.

 一方トラック密度を向上させるためにセクタサーボ方式(位置決め情報であるサーボデータをデータトラックの中にある間隔で記録する方式)を採用し熱による歪の影響を除去したり,軸固定両端支持方式のスピンドルモータの採用によるディスク回転時の振動抑制等によってヘッドの位置決め精度を上げ,139トラック/mmの高トラック密度を達成している.

 3・2 高密度実装技術  本装置では,磁気ヘッドに50%縮小マイクロスライダと新形ヘッド支持機構を組み合わせた薄膜ヘッドを採用し,各ディスクの間隔を従来機の75%に縮めた.また,印刷回路基板(PCB)上の電気部品の高さも従来機の75%以下に薄型化した.これらにより3枚のディスクと6本のヘッド,1枚のPCBを従来機と同じ19mmの厚さに納めている.装置の断面図を図2に示す.

 3・3 高速化  主に3種類の高速化が図られている.一つは,スピンドルモータの振動,騒音を抑えながらディスクの回転数を70回転/秒と高速にし,データの高速転送と回転待ち時問の短縮を実現している.二つ目はヘッドを搭載したキャリッジを駆動するVCM(Voice Coil Motor)に最大エネルギー積の最も高い希土類磁石を使って推力を上げかつマイクロプロセッサによる制御で,平均12msの高速シークを達成している.三つ目として,本装置ではリードアヘッドキャッシュと8セグメントのセグメント化キャッシュを併用し高データスループットを実現している.

 3・4 高信頼性化  マイクロプロセッサによってディフェクト処理,トラックスキュー,データ書き込み時のヘッド位置確認,データ読みだし時のリトライなどが装置内部で自動的に行われる.更に,88ビット長のエラー訂正符号の採用とハードウエアーオンザフライ機能により高速エラー訂正ができる等,装置として高い信頼性を実現している.

4.まとめ

 磁気記録の高密度化技術としてさまざまな研究・開発がすすんでいる.今回の小形大容量装置で開発された技術が基になり,更に新技術の採用により,2.5インチHDDの大容量化はますます加速され,ノート/ブック型パソコン以外の分野でも広く使用されるようになっていくものと予想される.

 本研究の成果に対して、日本機械学会は、1994年、白石文武((株)東芝)、川上親久(同左)、鈴木博(同左)、久保田裕二(同左)、大坪康郎(同左)に日本機械学会賞(技術賞)を贈った。

文献

[1] 川上親久、「2.5インチ型340Mバイト磁気ディスク装置」、東芝レビュー、Vol.48, No.7, pp.551-554, 1993.

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キーワード

磁気ディスク装置、2.5インチ型、ガラスディスク、高密度実装技術、高速スピンドル、高推力ボイスコイルモータ、小型薄膜ヘッド
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