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高速・超大容量光記憶装置(光MSS)の開発

主な仕様

表1 主な仕様

3ビーム光磁気ディスクドライブの構成(2ヘッド3ビーム制御系)

図1 3ビーム光磁気ディスクドライブの構成(2ヘッド3ビーム制御系)

3ビーム光磁気ディスクドライブの高速書き込みシーケンス

図2 3ビーム光磁気ディスクドライブの高速書き込みシーケンス

光MSSライブラリ装置の構造

図3 光MSSライブラリ装置の構造

1.概要

 光ディスク装置は,きわめて高い記録密度をもつので,イメージ情報などを蓄積するマルチメディアデータベースや高速バックアップファイルなど,次世代の記憶装置として期待されている.

 しかしながら,従来の光ディスク装置(光磁気ディスクドライブ)では,データを書込む場合に,前のデータの「消去」,「記録」,記録データの確認のための「再生」の3行程にディスク3回転が必要なため,書き込み速度(記録時のデータ転送速度)が遅く,大幅な性能向上が望まれていた.このため,第2世代の光磁気ディスクドライブには,「消去」,「記録」,「再生」の3行程をディスク1回転で実現するオーバーライト/即時リード機能と,高速回転記録の実現が必須となっていた.

 このような観点から,第2世代の光磁気ディスクドライブとして,3ビーム光磁気ディスクドライブを開発し,これを搭載した最大1テラバイトの記憶容量をもつ高速・超大容量光記憶システム(光MSS)を開発した.主な仕様を表1に示す.

2.技術の内容

 2・1 3ビーム光磁気ディスクドライブ

 (1)2ヘッド3ビーム制御系  ISO規格の130mm径標準媒体を用いて,オーバーライトおよび即時リードの機能を実現するため,図1に示す2ヘッド3ビーム制御系を開発した.これは,消去用の光ヘッドと記録再生用の2ビーム光ヘッドを同一のポジショナに搭載するものである.

 新しく開発した記録再生用の2ビーム光ヘッドでは,波長選択ミラーによって,波長の異なる記録ビーム(λ=830nm)と再生ビーム(λ=780nm)を合成あるいは分離し,さらに,可動ミラーによって,ディスク半径方向の相対位置を微調整する.

 この2ヘッド3ビーム制御系により,同一トラック上に消去・記録・再生の3ビームを近接して位置決めすることが可能となり,オーバーライト/即時リード機能を実現した.

 (2)高剛性レンズアクチュエータ  さらに,ディスク高速回転を実現するため,対物レンズに非球面プラスチックレンズを用いるなど,可動部を小形軽量化した高剛性レンズアクチュエータを開発した.この結果,フォーカスおよびトラック方向のサーボ制御帯域は共に約3倍(5~6kHz)に向上し,従来は
1800~2400rpmで用いられていた130mm径標準媒体を用いて,5400rpmの高速回転記録を実現した.

 以上,図2に示すように,3ビーム光磁気ディスクドライブでは,従来の7~9倍にあたる書き込み速度2.1MB/秒を達成した.

 2・2 ライブラリ装置  最大1テラバイトの超大容量記憶装置を実現するため,3ビーム光磁気ディスクドライブと併行して,媒体(カートリッジ)のハンドリング(保管・移送)を全自動化したライブラリ装置を開発した.図3に,記憶容量250GBの基本モデルの構造を示す.この中に,最大6台の3ビーム光磁気ディスクドライブと,最大390枚のカートリッジが搭載できる.

 このようなライブラリ装置では,システム規模に柔軟に対応するため,①小形大容量(媒体実装効率の向上)と,②高速ハンドリング(ハンドリング時間の短縮)が特に重要となる.

 このため,図3に示した回転収納庫型のライブラリ構造に加えて,ハンドと収納セルとの2次元相対位置決め制御を導入し,従来の磁気テープMSSの4倍以上の実装効率250GB/m2を実現した.すなわち,床面積を従来の1/4以下に削減する大幅な省スペース化を実現した.

 さらに,ハンドリング機構の位置決め制御に,外乱オブザーバを用いた摩擦補償制御を導入し,平均ハンドリング時間5秒の高速ハンドリングを実現した.

3.まとめ

 本装置は,新聞社や出版社が保管するドキュメントや写真,工場の製造図面,あるいは病院が保管するレントゲン写真など,膨大な文書や画像などを蓄積するマルチメディアデータベース・ファイル,さらには,従来の磁気テープMSSに替わる高速バックアップ・ファイルとして期待され,導入が進められている.

 本研究の成果に対して、日本機械学会は、1993年、山田一郎(日本電信電話(株))、佐々木政照(富士通(株))、渡部昭憲(日本電信電話(株))、加藤喜久次(同左)、金子和政(同左)に日本機械学会賞(技術賞)を贈った。

文献

[1] 山田、渡部、山本、「マルチメディアデータベースに向けた第2世代の光記憶技術-大容量光記憶システム(光MSS)の開発」、NTT技術ジャーナル、4-7, pp.66-68, 1992.

[2] 山田、斉藤、松本、「光MSSの概要とシステム設計」、NTT R&D、41-3, pp.345-352, 1992.

[3] 金子、高柳、山田、加藤、「光MSSの高速媒体ハンドリング技術」、NTT R&D、41-3, pp.353-362, 1992.

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キーワード

光記憶システム、光磁気ディスク装置、多ヘッド・多ビーム方式、オーバーライト即時リード機能、高剛性レンズアクチュエータ
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