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高品質・高生産性 金型鋳造システムの開発-職場環境の改善と産業廃棄物の低減-

本システムによるナックル・カムシャフト

図1 本システムによるナックル・カムシャフト

全自動金型鋳造ライン概略図

図2 全自動金型鋳造ライン概略図

金型構造

図3 金型構造

サイクル工程フロー図

図4 サイクル工程フロー図

組織比較

図5 組織比較

材料特性(本システムと砂型システムの比較)

図6 材料特性(本システムと砂型システムの比較)

職場環境・産業廃棄物量比較

図7 職場環境・産業廃棄物量比較

1.はじめに

 地球規模で関心が高まっている環境保護・省資源の要求に対する鋳鉄鋳造部門の課題は,薄肉軽量化と高性能化に対応できる鋳造技術と,砂に係わる産業廃棄物の削減技術である.

 一方「人に優しい車造り」を目指す自動車産業において,働く環境の改善が,労働力不足・製造業離れの状況で重要視され,鋳鉄鋳造部門の「3K+暑い」職場環境は,早急な対応がせまられている.これらの諸課題を解決するために金型鋳造システムを開発し,ダクタイル鋳鉄ナックルと合金チル鋳鉄カムシャフトの量産を開始した(図1).今回,開発したシステムは熱伝導率の高い銅合金金型を使った金型鋳造技術を基本とし,一貫自動化,前後工程の簡素化とCPU工程制御により製品の高精度化,軽量化と職場環境の改善,産業廃棄物の大幅削減を達成した.

2.システムの概要-全自動金型鋳造システム-

 本システムは,図2に示すように金型鋳造技術を基本とした,全自動一貫鋳造システムである.本システムの特長は,従来の砂型鋳造システムでは実現できなかった無人化操業を可能にしたことである.製品の品質管理に必要な鋳造条件管理,M/C・金型の保護に必要な作動管理,及びラインコントロールを各種センサとコンピュータの組合せにより無人化し,システムを完成した.

 金型鋳造工程は,溶湯処理,自動計量された材料が図3に示す金型に自動注湯され成形される.鋳造サイクルは,図4に示すように44秒である.キュアー時間は8秒で金型から離型され,アンローダにより自動的に後処理工程に搬送・セットされ,湯口部の切断と寸法矯正が高温状態(900°C~1000°C)で行われる.

 従来の砂型鋳造システムでは,鋳造後の冷却時間に40分を必要とし,その後砂型ばらし作業を必要とするため,大規模な自動化システムと粉塵・高熱対応が必要であり,無人化操業の障害となっていた.本システムでは,砂の使用を廃止したことにより全工程の一貫自動化を可能にした.後処理の完了した製品は,熱処理・ショットプラスト工程を経て,インライン超音波非破壊検査装置により,材料組織・内部品質が検査され払い出される.

3.技術の特徴

 3・1 金型鋳造技術  本技術の着想の基本は,複雑形状部品の精密金型鋳造のために製品表皮の凝固殻生成後,内部が凝固する前に離型し健全な製品を得ることである.表皮凝固殻生成量と離型タイミングが重要な要素であり,金型の冷却能力がその要因である.

 本開発においては,金型材料に高熱伝導材である銅合金を採用しナックル・カムシャフト等,複雑形状部品の金型鋳造を可能にした.

 その結果として,ショートサイクル化に伴う高生産性と精密化・金型の高寿命化,組織の微細化に伴う材料特性の向上を達成した.

 図5に金型鋳造品の組織を示す.

 3・2 CPU金型温度コントロール技術  金型鋳造用金型は,型温調節のための加熱ヒータと冷却水回路を持ち,金型各部の熱挙動をセンシングし,最適型温を維持するための型温予知制御をCPUにより行っている.

 3・3 鋳造自熱利用技術  金型鋳造後,高温での製品ハンドリングが可能になったため,後工程である湯口切断・寸法矯正・熱処理に鋳造自熱を利用することによる効率向上が可能になった.切断効率は10倍,熱処理エネルギー効率は2倍になり,寸法精度は0.35/300mm以下になり砂型品に比べ1/3の精度向上を達成した.

 3・4 インライン非破壊検査システム  超音波を利用した音速による黒鉛化率・フェライト化率と,反射エコーによる内部品質を同時判定する技術を確立し30秒で自動検査可能なシステムを造り製品の品質保証をインラインで行っている.

4.効果

 4・1 材料特性の向上  金型鋳造による凝固組織の微細化により機械的性質は,各性質とも向上し(図6)製品機能向上に効果がでた.ナックルでは13%の軽量化を達成している.

 4・2 職場環境の改善と産業廃棄物の低減  砂を使わない鋳造プロセスと自動化技術の開発により鋳造職場の「3K+暑い」が大幅に改善された.また産業廃棄物は1/4に低減した(図7).

 4・3 生産性の向上  ショートサイクル金型鋳造と工程削減・集約により,要員効率・スペース効率を2倍,投資効率を25%向上させた.

5.まとめ

 本システムで得られた品質・生産性,及び職場環境の改善,産業廃棄物の低減等の効果は,今後の鋳鉄鋳造部門の課題解決に寄与できると共に更なる鋳鉄技術の進歩に貢献することが期待できる.

 本研究の成果に対して、日本機械学会は、1993年、大崎清(ホンダエンジニアリング(株))、桜井久之(同左)、川口正敏(同左)、永田隆雄(本田技研工業(株))、安田正義(同左)に日本機械学会賞(技術賞)を贈った。

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金型鋳造、職場環境、産業廃棄物、鋳造技術、薄肉軽量化、環境保護、鋳造自熱
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