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オートフォーカス機能付き工業用超音波映像装置の開発

オートフォーカス機能付き工業用超音波映像装置外観

図1 オートフォーカス機能付き工業用超音波映像装置外観

Sイメージ(オートフォーカス)の原理

図2 Sイメージ(オートフォーカス)の原理

平面走査映像

図3 平面走査映像

1.概要

 工業用超音波映像装置は,音響レンズ付き超音波センサを機械的に平面走査させて各種材料の内部クラック等を非破壊で映像表示する.高分解能が必要なために医療用診断装置に比べて10倍以上の高周波を使用しており,昭和60年頃から半導体パッケージの耐熱性評価を初めとして,ろう付け面の接合強度評価にも広く利用されるようになった.

 しかし,超音波映像法では点集束型の超音波センサを使用するために焦点合わせ作業が必要となり,測定試料から得られる多数の反射エコーをオシロスコープ上で観察しながら,音響特性値や断面形状等に基づいて,測定すべきエコーを判断した上で,超音波センサと試料との距離を徐々に接近させながら,そのエコー振幅が最大となるセンサ~試料間距離を焦点位置として求めねばならないなど,専門技術者や熟練者以外は,事実上,超音波映像装置を扱うことができないことが装置普及の障害であった.

 本機は,世界初のオートフォーカス機能に加え,豊富な実績に基づく測定ノウハウを組み込むことで,熟練者以外でも簡単に高品質な超音波映像を得ることを可能とした.

2.技術の内容

 2・1 フロントローディング式試料台  超音波映像装置としては世界初のフロントローディング式試料台を製品化した.一般に,工業用超音波映像装置では媒質として水を使用するため,測定のたびに試料を水中にセットしなければならない.本機は,超音波センサを走査させるXYZ3軸テーブル,前後往復移動機構付き試料台,そして上下機構付きの水槽を連動させたことにより,測定試料を試料台に置いて収納ボタンを押すだけで水中の所定位置に試料セットが完了する.

 2・2 タッチスクリーンによる簡易操作  本機は,電源と試料台収納ボタン以外は操作部が無く,すべての測定操作は静電容量式タッチスクリーン付きCRTディスプレイの画面タッチだけでよく,装置の取扱いが大変容易である.

 2・3 映像をインデクスとした測定条件記録  走査機構の制御内容や超音波探傷器の設定値など,すべての測定パラメータが測定結果の縮小映像を見出しとして記録されているので,再測定や繰返し測定の際に,同一条件や類似条件の検索が視覚的に行え,作業性がすぐれている.

 2・4 オートフォーカス機能  Sイメージ法と名付けたオートフォーカス機能は,本機の最大の特長である.図2にSイメージと呼ぶ超音波映像と半導体パッケージの断面図を示す.

 まず,超音波センサに固有の焦点距離に基づき,測定試料である半導体パッケージ表面に焦点を合わせて平面走査と映像化を始める.すなわち,超音波センサは前後に走査しながら右に移動(XY走査)して半導体パッケージの表面直下を帯状に映像表示する(Sイメージの左端映像).この時,帯状映像に対応させて,測定に必要な各パラメータを制御装置において記憶保存する.次に,超音波センサと測定試料との距離をわずかに接近させて,同様の走査と映像表示を行う.これを繰り返すことによって,半導体パッケージ内部を階段状にカットしたような映像が得られる.

 測定者がSイメージの中から観察したい深さが鮮明な映像部分を選択すると(本機ではラインカーソルを合わせる),その映像部分に対応して記憶保存されていた測定パラメータが再生設定され,焦点合わせ作業が完了する.すなわち,カメラにおけるファインダーがSイメージであり,フォーカスフレームがラインカーソルに相当する.図3が焦点合わせ後に測定して得られた平面走査映像である.

3.まとめ

 本機は,半導体パッケージの内部観察用として開発し,十分な効果を確認したものであるが,セラミックス,金属,複合材料についても容易に接合面等の焦点合わせが可能で,測定作業性が著しく向上することが分かった.本機の開発がきっかけとなり,今後,工業用超音波映像装置が急速に普及拡大し,さまざまな工業製品において超音波映像を接合強度評価等に利用する試みが加速されるものと考えている.

 本研究の成果に対して、日本機械学会は、1992年、山口武(日立建機(株))、有馬幸男(同左)、柳本裕章(同左)、國友裕一(同左)、西塚建(同左)に日本機械学会賞(技術賞)を贈った。

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キーワード

超音波映像、音響レンズ、焦点合せ、オートフォーカス、材料内部構造、接合強度
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