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連続亜鉛鍍金設備の合金化炉トップベンドフロータの開発

連続溶融亜鉛めっき設備

図1 連続溶融亜鉛めっき設備

フロータのガス流れ

図2 フロータのガス流れ

リブ

図3 リブ

リブによる圧損係数

図4 リブによる圧損係数

サイドプレートによる蛇行矯正

図5 サイドプレートによる蛇行矯正

ベンドフロータ外観

図6 ベンドフロータ外観

ベンドフロータ操業状態

図7 ベンドフロータ操業状態

1992-06-8

図8 

1.はじめに

 連続溶融亜鉛めっき設備において,めっきの品質に影響の大きい箇所として,合金化炉のトップロールがある.従来,トップロールはポット部で付着した溶融亜鉛が凝固する以前に接触しないようにポット直上約50mの位置に置かれており,次の問題点があった.

 (1)トップロールまでの板の冷却が不十分であると,ロール表面に亜鉛の付着たい積が多くなり,板に押しきず等が発生しやすくなる.

 (2)トップロールによる冷却むらのため,板の変形および蛇行が発生し,操業に支障をきたすことがある.

 (3)トップロールにおける板温度の上限に制限があるため,合金化のヒートサイクルによっては,生産能率が低下する場合がある.

 以上の問題点を一挙に解決するため,トップロールのかわりとして板を空気で浮揚させるベンドフロータを開発し,川崎製鉄(株)水島製鉄所の連続亜鉛めっき設備において実機化した(図1).

2.フロータの原理

 図2にベンドフロータの基本型である水平フロータを示す.板に対して角度を持ったノズルから噴出するガスの運動量変化により,板とフロータの間に圧力を発生させるものである.図2に示すように板の下に形成される圧力によりガスは板幅方向にも流出するためガス噴出速度υと板の下の圧力Pには(図8)の関係がある.

3.本フロータの特徴

 図2に示したフロータで板を浮揚させようとすると板幅方向へのガス流れにより板は非常に不安定となる.これは板下の流動抵抗がほとんどないため左右エッジから不均等にガスが流出することによる.

 図3には板幅方向の流動抵抗とするため設置したリブを示す.図4には板幅方向圧損係数の一例を示すが通常浮上量設定位置となる25~35mmで圧損係数2~1.5を得ている.

 さらに,板がフロータから外れることを防止するために図5に示すサイドプレートを設置した.これはフロータ最外部のリブを高くしたものであり,板がサイドプレートに接近した時に発生する流体力により板を中央に向かわせる機能を有している.このようにして,(1)運転動力の低減,(2)鋼板振動の少ない安定浮上,(3)蛇行防止の諸機能を有するベンドフロータの基本型である水平フロータの実現をみた.

4.ベンドフロータ

 連続亜鉛めっき設備のトップベンドフロータは前述の水平フロータを円周上に配したもので,その外観を図6に,操業状態を図7に示す.ベンドフロータには板に付与される張力が負荷としてかかるため水平フロータよりも運転動力が高くなるのでサイドプレートを板幅に応じて可変式とし無効風量を低減している.

5.おわりに

 鋼板きず撲滅を目指して開発した本技術は,川崎製鉄(株)水島製鉄所の連続溶融亜鉛めっき設備に導入され,高級自動車用鋼板をはじめ家電用鋼板の生産に大きく寄与している.

 本開発によるフロータは亜鉛めっき設備のほか,ロールとのすりきず,押きずが問題となっている多くのプロセスラインや,板の形状を重視するラインヘの適用拡大が期待される他,高速ライン,急加減速ライン,張力変動吸収などの用途にも適用が考えられる.一方,作動流体を液体とし,溶融塩,溶融亜鉛,酸洗液中での使用も有効と考えている.

 本研究の成果に対して、日本機械学会は、1992年、福島丈雄(三菱重工業(株))、柳謙一(同左)、三原一正(同左)、菅沼七三雄(川崎製鉄(株))、飯田祐弘(同左)に日本機械学会賞(技術賞)を贈った。

文献

[1] 高原茂、平井悦郎、谷崎桂二、神田行雄、立原知明、「製鉄プロセスライン用帯鋼浮上搬送装置の実用化」、三菱重工技報製鉄機械小特集号、Vol.29, No.1, pp.36-41, 1992.

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キーワード

亜鉛めっき、合金化炉、ベンドフロータ、サイドプレート、流動抵抗、蛇行防止
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