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スカイフックダンパ理論を実現した油圧制御アクティブサスペンションの開発

油圧系の構成

図1 油圧系の構成

スカイフックダンパの構成と特性

図2 スカイフックダンパの構成と特性

車両搭載図

図3 車両搭載図

各制御の車両性能向上への影響

図4 各制御の車両性能向上への影響

ロールレート周波数特性

図5 ロールレート周波数特性

平坦路走行時の車体上下振動

図6 平坦路走行時の車体上下振動

1.概要

 アクティブサスペンションは,自動車の走りの安全性や快適性を大幅に向上させる技術として注目されており,20年前から各社で研究開発が行われてきたが,消費エネルギー,信頼性,コスト,重量などの面で困難な課題が多く,量産技術として完成させるまでには至らなかった.

 このような課題を達成するため,低消費エネルギー型の油圧制御システムを開発し,制御方法では従来から理想的なダンパと言われていたスカイフックダンパを初めて実現し,この制御を基本にロール・ピッチ制御と周波数依存減衰特性を組み合わせ,快適な乗り心地と走りの安全性を大幅に向上させた.

 このシステムは1989年日産インフィニティQ45に初めて搭載し,以後日産プレジデント,シーマヘと順次拡大採用してきており,累計で2.5万台の量産化を達成しシャシー技術の向上に寄与している.

2.システムの構成

 2・1 油圧系の構成  図1に示す圧力制御バルブで油圧シリンダの圧力を連続制御して車両姿勢をアクティブに制御するとともに,路面からの高周波ショックはシリンダに付加した小さなアキュームレータで吸収する方式をとり,悪路走行時の消費エネルギーを最小限に抑えた.

 2・2 制御系の構成  車両のばね上共振を効果的に減衰しかつ路面入力の車体への伝達を低減させるためには図2に示すスカイフックダンパが合理的であり本システムでは電子-油圧制御でこの考え方を実現した.これを基本制御とし,旋回時のロールや制駆動時のピッチを抑えるロール・ピッチ制御を加えてあらゆる走行条件下で車体の揺れを抑えて安定させ,さらに周波数依存減衰特性の採用で路面入力の伝達を低減させて乗り心地を改善している.

 2・3 システムの車両搭載  図3に車両搭載図を示す.これらの主要ユニットはすべて,本システムのために新規開発したものであり,特にパイロット型圧力制御バルブ,ラジアルプランジャポンプ,フリーピストン型アキュームレータなどは従来の油圧機器の常識では乗用車に搭載することは考えられなかったが,開発の初期から関連メーカと当社開発・生産部門が一体となって開発を進め,本格的な油圧サーボシステムとして量産化に成功したものである.

3.アクティブサスペンションの効果

 3・1 制御の考え方  図4に示すように,スカイフックダンパ制御,ロール・ピッチ制御と周波数依存減衰特性の組み合せで車両の運動性能全般を向上させている.

 3・2 アクティブ制御の効果

 (1)スカイフックダンパとロール・ピッチ制御により,車両の揺動が抑えられるため(図5),ドライバの身体と視線が安定し,運転負荷が軽減される.

 (2)スカイフックダンパとロール制御により,ヨー安定性,横風安定性が向上するため,特に高速走行時の車両の安定性が大幅に改善される.

 (3)スカイフックダンパと周波数依存減衰特性により,ばね上・ばね下共振を抑えて,路面からの振動入力を低減するためソフトでありながらフラットでしっかりした乗り心地が得られる(図6).

 本研究の成果に対して、日本機械学会は、1992年、入江南海雄(日産自動車(株))、福島直人(同左)、高橋俊春(同左)、井上直彦(同左)、稲葉彰信(日産リサーチ&デベロップメント会社)に日本機械学会賞(技術賞)を贈った。

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キーワード

アクティブサスペンション、スカイフックダンパ、安定性、乗り心地、ロールピッチ制御
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