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管用テーパ転造ねじ及び管用ねじ転造加工機の開発

転造ねじと切削ねじの違い

図1 転造ねじと切削ねじの違い

新しい管用テーパおねじ

図2 新しい管用テーパおねじ

ワーク回転数と転造時間の関係(25ASGP)

図3 ワーク回転数と転造時間の関係(25ASGP)

転造加工機の基本機構

図4 転造加工機の基本機構

従来の転造加工機との違い

図5 従来の転造加工機との違い

1.概要

 新幹線車両をはじめとする,鉄道車両のブレーキ装置等の空気制御システム配管(空気配管)は,その大多数が鋼管に管用テーパおねじを加工し,めねじ付継手と接合するねじ接合方法で配管されている.

 従来この鋼管のおねじは,ほぼ100%切削加工によりねじ成形された切削ねじであった.ところがこの切削加工では,構成刃先の発生等から高精度のねじができず空気漏れの不安があり,その上鋼管の肉を削るため,ねじ谷底部は薄く,切欠部を構成することから応力集中が起り易く,金属の繊維組織を切断してしまうため,機械的強度の面にも不安があった.

 そこでこれらの問題を解決するため,従来不可能とされていた管用テーパおねじの薄肉鋼管への転造加工(塑性加工)技術を独自の方法で開発した.

 図1にその管用テーパ転造おねじ(転造ねじ)と管用テーパ切削おねじ(切削ねじ)の違いを示す.

 転造ねじは,ねじ精度が高く,品質が安定し,金属の織維組織を切断せずにねじ部が加工硬化するという特長を有しており,この転造ねじのねじ山形を,既に開発していた高い気密性を示す新しい管用テーパおねじのねじ山形(図2)にすることによって,気密性,機械的強度とも切削ねじに比べて数段優れた管用テーパおねじを開発することに成功した.

 この転造ねじは,新幹線車両の空気配管に全面採用されるとともに,各種鉄道車両の空気配管に採用され,その安全性確保に大きく貢献し,日本鉄道車両工業会制定の空気配管標準に採用されている.

 一方この転造ねじは,全く新しい配管接合として注目され,他分野の各種高圧配管にも使用されている.また,同時に開発した管用ねじ転造加工機は,各種薄肉管の塑性加工機としても注目され,建築設備,都市ガス,衛生機器,自動車,電気部品等の各分野にその利用範囲が拡大され,省資源,省エネ,省力化に寄与しはじめている.

2.技術の内容

 2・1 管用テーパ転造ねじ(おねじ)

 (1)開発の要点 従来,次のような理由で薄肉鋼管への管用テーパおねじの転造加工は,実用化が不可能と考えられていた.

・管の外周からの転造荷重により管が座屈を起こす.
・転造荷重により管断面全体が塑性変形を起こす.
・ダイスの押込みで局所的に管の内面が沈下する.これらを次のような対策で解決し,薄肉鋼管の管用テーパ転造ねじの実用化に成功,安定して量産できる技術を確立した.
・転造ダイスの数を3個または5個とする.
・転造前に管をテーパねじのテーパに合わせた絞り加工を行う(絞り加工後の管をワークという).
・ダイスの押付け力でねじ成形することより,回転加工力でより多くのねじ成形加工力を与えるようにする.ワーク回転数を従来の転造加工時の数倍~10倍に上げた(1000~3000rpm,図3).
・ダイス径とワーク径の相関関係を把握し,転造加工中の不安定な運動(歩み)が起こらないような,ダイス径とワーク径にする.

 (2)特長と適用例 管用テーパ転造ねじの特長と,その特長を生かした適用例を次に示す.

・振動等の機械的外力に対して耐久性がある.切削ねじの1.6~2倍の強度があり,転造ねじ部の強度は,鋼管本体の強度と同等かそれ以上である.そして破断しない限り漏れない.代表適用例は,鉄道車両の空気ブレーキ配内管等がある.
・高い内圧疲労に耐える.油圧0~350kgf/cm2の繰返し内圧疲労試験(200万回)に,漏れなしの気密性を示した.代表適用例は,射出成形機,油圧プレス等の高圧配管がある.
・管材の薄肉化が可能である.ねじ部強度が増加するので,管材の肉厚を薄くできる.適用例としては,薄肉鋼管による新幹線車両の軽量化,衛生機器配管における銅管,黄銅管の薄肉化がある.
・コスト低減ができる.高圧配管における溶接配管を転造ねじ配管におきかえると,1/3~1/4のコストに低減が可能である.また,銅管等非鉄金属管では,薄肉化と切粉を出さないことでコスト低減ができる.

 2・2 管用ねじ転造加工機

 (1)機構と特徴 管用ねじ転造加工機の基本機構を図4に,従来の転造加工機との違いを図5に示す.

 図4において,①油圧シリンダが上昇すると,②カムリングが回転し,③カムが移動すると,④ダイスホルダが支点を中心にワークに向って寄り,回転している転造ダイスをワークに押し付け転造を開始する.

 この転造加工機の特徴は,次のとおりである.

・管材の転造加工(塑性加工)に適している.
・機構がコンパクトでシンプルである.
・微妙なコントロールができるため精密加工が可能.

 (2)使用例 管用テーパ転造ねじ加工用として,前記の適用例に,定置式が使用されているが,都市ガス,建築設備用としてポータブル式の実用化も進められている.また,薄肉管材に加工ができることと,精密な塑性加工ができることから,丈夫で軽い自動車部品を作る工作機械として,あるいは精密な電気部品を作る機械等として,活躍する分野を拡げている.

 本研究の成果に対して、日本機械学会は、1992年、石澤應彦((株)渡辺工業)、渡辺隆(同左)、関根康男(同左)、柴田良治(同左)、池田康郎(同左)に日本機械学会賞(技術賞)を贈った。

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キーワード

空気配管、ねじ結合、転造加工、管用テーパ転造ねじ、管用ねじ転造加工機、気密性、機械的強度
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