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空冷小形ガス吸収冷温水機の開発

水冷形と空冷形のシステム比較

図1 水冷形と空冷形のシステム比較

4パス直交向流空冷吸収器の構成

図2 4パス直交向流空冷吸収器の構成

吸収器の溶液温度変化

図3 吸収器の溶液温度変化

吸収器の溶液濃度変化

図4 吸収器の溶液濃度変化

空冷化のキーポイント

図5 空冷化のキーポイント

空冷吸収冷温水器の性能

図6 空冷吸収冷温水器の性能

空冷小形ガス吸収冷温水器外観

図7 空冷小形ガス吸収冷温水器外観

1.概要

 吸収冷温水機は,非フロン冷媒の水を使用し,電力がほとんど要らない空気調和用熱源機器として期待されている.とくに,成績係数が高い二重効用機は,従来,すべてが水冷形であり,冷却水を一切使用しないようにする空冷化が大きな課題であった.

 空冷化のキーポイントは吸収器の空冷化にあり,従来の水冷形吸収器をそのまま空冷化すると,吸収温度が上昇して吸収剤の臭化リチウムが結晶化し,サイクルが成りたたなくなることから空冷化は極めて困難といわれていた.これらの困難性を克服するために,吸収管と冷却空気との熱交換方法を4パス直交向流方式とし,吸収管の管内はらせん溝付き,空冷フィンは山形ストリップフィンにし,吸収器と凝縮器を適正に配置するなどの諸施策により,水冷吸収器と同程度の性能の空冷吸収器ができ,水冷媒の空冷二重効用吸収冷温水機を世界で初めて実用化した.

2.技術の内容

 (1) 空冷形と水冷形のシステム比較  空冷システムでは,水冷形での冷却塔および冷却水配管が不要になる(図1).

 (2) 吸収器の空冷化の困難性  冷却側の熱伝達率が水から空気に代わると約1/100に低下し,冷却水を使用する場合は入口温度が32°Cで出口が37°Cだったのに,冷却空気を使用すると入口温度は35°Cで出口43°Cと6°C高温になる.このため吸収温度が上昇し,吸収剤の臭化リチウムが結晶化してサイクルが成り立たなくなる.これが空冷化の最大の難点であった.

 (3) 吸収器空冷化の困難性の克服

 a.吸収器の新構成の確立  従来の水冷吸収器は管外吸収,管内冷却方式が採られているのに対し,垂直管の管内吸収形の吸収管と,管外の空冷フィンとよりなる方式を考案し採用した(図2).

 b.伝熱面の性能改善

 ⅰ.吸収管管内熱伝達率  流下する吸収容液の流れを撹乱させて伝熱と物質移動を促進させ,あわせて伝熱面積と気液接触面積の増大を図るように,垂直吸収管内をらせん溝付きとして管内熱伝達率は30%向上した.

 ⅱ.空冷フィン  フィン表面における空気流の境界層の発達を防止して伝熱性能を向上させるために山形ストリップフィンを開発し,さらに,山形部の頂角角度を変えて風路抵抗を変化させる方法を考案し,熱伝達率は平板フィンに比して2.5倍以上に向上した.

 c.吸収溶液と冷却空気との新熱交換方式の構築

 ⅰ.熱交換方式  吸収器出口の溶液温度を冷却空気出口温度より低温にするために吸収管の配列に工夫を加えた直交向流方式で実現する見通しを得た.

 ⅱ.吸収管の配列  吸収管の配列を,冷却空気の風下から風上に直列4パスにすることにより,直交向流熱交換することを確認した.さらに,それぞれの吸収管での吸収量を確保するために,全吸収管の下部にレシーバとポンプを設置し,さらにそれぞれのレシーバ間にオーバフロー部と連通管を設ける方法を考案し,吸収性能の確保と制御性の向上が実現した(図2図3図4).

 d.空冷吸収器の配置方法の確立  冷却空気の温度勾配を考慮して,冷却空気の流れ方向に対して直列に伝熱管群を5列設けた.そこで,風下から3列分を吸収管の1パス目から3パス目までに使用し,4列目と5列目を吸収管の4パス目に用いた.また,凝縮器の凝縮管は4列目と5列目とに吸収管の4パス目と並列に設置した(図5).

 以上の諸施策により,冷却空気温度が入口35°C,出口43°Cの場合,吸収器入口60°Cの吸収溶液が出口で40°Cまで冷却でき,水冷冷温水機と同程度の性能の吸収器ができ,これを応用して空冷吸収冷温水機が実現できた(図6図7).

3.まとめ

 従来から実現困難といわれていた空冷二重効用吸収冷凍サイクルを世界で初めて実現した.

 脱フロン時代,省電力時代対応の冷凍,空調,加熱機器としてのインパクトは大きく,今後,開発,普及が加速されると考える.

 本研究の成果に対して、日本機械学会は、1991年、早山徹((株)日立製作所)、内ケ崎儀一郎(同左)、吉田昌司(東京ガス(株))、森友三郎(大阪ガス(株))、木村淳一(東邦ガス(株))に日本機械学会賞(技術賞)を贈った。

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キーワード

空気調和、熱源機器、吸収冷凍サイクル、吸収冷温水機、空冷化、4パス直交向流熱交換方式
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