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油空圧式アクティブサスペンションと4WSの総合制御システムの開発・実用化

アクティブサスペンション+4WS('89セリカ)

図1 アクティブサスペンション+4WS('89セリカ)

姿勢制御の効果

図2 姿勢制御の効果

総合制御の効果(ロールの過渡特性)

図3 総合制御の効果(ロールの過渡特性)

総合制御の効果(舵の効き特性)

図4 総合制御の効果(舵の効き特性)

1.概要

 近年,自動車の高速化,高性能化,高級化に伴いより高次元の操縦性・安定性と同時に,より一層の低振動,低騒音,乗り心地の良さが求められてきた.これらの相反する要求性能の両立をはかるため,電子制御サスペンションの導入が盛んに行われるようになってきた.中でもアクティブサスペンションは,サスペンション性能を大きく向上させる可能性をもつため.古くから研究開発が進められてきたが,消費動力,コスト,信頼性等の課題があり,1987年F-1のレースカー(ロータス社)に使用されたにとどまっている.

 1989年セリカに搭載した「トヨタアクティブコントロールサスペンション」(図1)は,これらの問題解決を図り,開発・実用化されたもので,車速感応形のデュアルモード4WS(4輪操舵)と組合せて総合的に制御することにより,車両の運動性能と乗心地を大きく向上させている.

2.技術の内容

 油空圧式アクティブサスペンションと4WSの総合制御システムは,走行状態を各種センサで感知し,リニア圧力制御弁により各輪の懸架用油圧シリンダ内の油圧と油量をアクティブに制御し,操縦性・安定性と乗り心地を高次元に両立させることを目的としたアクティブサスペンションシステムと,車速感応形4WSを組み合わせたシステムで,以下の機能をもつ.

 (1)車両姿勢制御  加速,制動,旋回時の車両前後左右方向に働く加速度,および操舵角速度・車速に応じた制御により,車両姿勢を一定に保ち,操縦性・安定性を向上させる(図2).

 (2)車高制御  積載状態の変化があっても常に設定の車高(3水準)になるように制御する(一定車高)また80km/h以上では車高を下げ,高速走行安定性を向上させる(車速感応).

 (3)乗り心地制御  車両のばね上およびばね下に働く力に対して周波数領域に応じて制御をわけ,消費動力の低減とソフトでフラットな乗り心地を確保する.

 a.低周波数領域(ばね上共振点付近:1~2Hz) 路面の影響で発生するバウンシング,ピッチング等の車両上下方向の変位を車高変位速度検知によるダンパ制御により制振させる.

 b.中周波数領域(7Hz以下) 路面の凹凸によって発生するシリンダ内部の圧力変化を,リニア圧力制御弁が感知し,メカニカルサーボ機構によりシリンダ内の圧力を制御(圧カ一定)し,ばね上に入る入力荷重を抑える.

 c.高周波数領域(7Hz以上) リニア圧力制御弁の応答が追従できなくなる7Hz以上の路面入力に対しては,ガスばねと減衰力弁等によるパッシブな系で制振させる.

 (4)操縦性・安定性制御  直進から旋回に移る過渡状態は,リヤのロール剛性を高めることで車両の回頭性を向上させる.さらに旋回途中では,フロントのロール剛性を高め,路面やアクセルON/OFFによる外乱入力に対しても車両の挙動を安定させる.

 (5)4WSシステムとの総合制御  さらに回頭性の向上,ヨーの収束性の向上,直進時の安定性を向上させるため,4WSとの総合制御を行っている.アクティブサスペンションでロールを低減させるとロールアンダステアが使えず舵の効きがシャープになったり,ヨーの追従性の悪化が起きる.また4WSでヨーの応答性を向上させると,ヨーとロールの固有振動数が近接して,ロールの収束性が悪化することがある.そこで,それぞれのシステムのもつ優位性を引き上げるため,4WSと組合せ,4WSの制御状態に連動してアクティブサスペンションの操縦性・安定性制御を行うようにして,高次元の操縦性,安定性を実現している(図3図4).

 (6)4WS車速感応機能  車速が低い場合は,前輪と逆方向(逆位相)に後輪が切れ,回頭性,トレース性等を向上させる.また車速が高い場合は,同じ方向(同位相)に後輪が切れ,走行安定性を向上させる.

 (7)4WSデュアルモード機能  ドライバーのスイッチ切り替えにより,前輪の舵角に対する後輪の位相と舵角のマップで,二つのモード(ノーマルモード・スポーツモード)を選択できる.

 (8)4WS後退時キャンセル機能  後退時の自然なフィーリングや縦列駐車等の幅寄せをしやすくするため後退時のみ4WSをスイッチでキャンセルできる.

 本研究の成果に対して、日本機械学会は、1991年、木津龍平(トヨタ自動車(株))、川口裕(同左)、横矢雄二(同左)、大橋薫(同左)、大野博之(アイシン精機(株))に日本機械学会賞(技術賞)を贈った。

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キーワード

アクティブサスペンション、操縦性、安定性、乗り心地、4WSシステム
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