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熱間帯鋼圧延設備のワークロール研削用オンラインロールグラインダの開発

ORG研削のねらい

図1 ORG研削のねらい

ORGの研削原理図

図2 ORGの研削原理図

ORGの研削状況

図3 ORGの研削状況

圧延機内へ組込んだORG

図4 圧延機内へ組込んだORG

1.概要

 オンラインロールグラインダ(ORG)は,圧延機内にロール研削装置を設置して圧延操業中にワークロールの表面を修正研削することにより常に適正なロール形状を保持して,図1に示すようにワークロール摩耗による障害を解消し,圧延製品の品質向上と共にスケジュールフリー圧延やロール組替え周期の延長が可能となる等生産性の向上,省エネルギーの面からも効果が大きく,鉄鋼業界から高い関心と期待がよせられている新技術である.

 このようなニーズに応えるべく,当社独自の方式として“従動回転式カップ形砥石”によるORGを開発した.本ORGは,砥石を回転駆動しないでもロールの回転に“つれ回り”させて研削するユニークな研削方式で,研削能率,砥石寿命及び研削後のロール表面粗さなどORGとして必要な基本特性を満すと共に砥石の焼付き,目つぶれがなく安定した研削特性を有している.

 本装置は,既に日本鋼管(株)京浜製鉄所や韓国・浦項綜合製鉄(株)光陽製鉄所熱間帯鋼圧延設備の仕上げ圧延機に導入され期待どおりの性能を発揮している.

2.ORGの研削原理

 図2にORGの研削原理を示す.

 砥石の形状は,カップ形でこの回転軸をロール面法線に対して所要の微少角αだけ傾斜させ,さらに砥石の回転軸をロール軸に対して所定のオフセットHだけずらして取付けた点が機構上の特徴である.

 このような相対位置関係の下で,カップ形砥石をロール表面に押付けると,傾斜角αのためロールの回転速度VRに応じてカップ形砥石が従動回転する.この時ロールと砥石は線接触するが,オフセットHのために任意の接触点におけるロールの速度ベクトルVRと砥石の速度ベクトルVGが異なり相対速度VSが発生する.この相対速度VSにより研削が行われる.

 図2の右上に相対速度VSの理論計算結果を示す.接触線上の各点においてVSが発生しており,しかも,その方向と大きさが接触位置により異なるのが特徴である.

3.ORGの特長

 前述のように,複雑な駆動装置がなくても砥石が従動回転することにより研削できるのが最大の特長であり,コンパクトでシンプルな研削装置が実現でき種々の圧延機への設置が可能となった.さらに研削特性として次のような特長がある.

 (1)砥石接触線上の各点の研削方向が同一でないので,砥石がロール軸方向に移動した時,順次異なった方向に研削され(クロスハッチ),高い研削能が得られる.

 (2)砥石が回転し,常に接触線が移り変わりながら研削するので砥石の焼付きや目づまりが生じにくい.

 (3)(1)(2)により安定した研削が維持できるので粒度の細かい砥石が採用でき,良好なロール表面粗さに研削できると共に砥石の寿命を長くできる.

4.ORGの構造

 図3は,ORGによりロールの全長を研削している状況を示す写真で,全砥石ともにロールに“つれ回り”しながら安定して研削している.

 図4にORGを圧延機に設置した状況を示す.ORGは,圧延機の入側に設置し,上ロール用はワイパフレーム,下ロール用はサイドガイドに装着されており,各々ワイパおよびサイドガイドと共に,ロール組替え時に退避する.

 一台のORGには,複数個(6~8個)の砥石ホルダがケーシングに内装されており,各砥石ホルダは油圧シリンダにより個々に前後進する.ケーシングの下部にオシレーション用油圧シリンダがあり,ガイドシャフトで支持されたケーシングがロール軸方向にオシレートする.これらORG装置を搭載したサポートフレームはスクリュージャッキを介して油圧モータにより上下に昇降させることにより,オフセット量Hが一定になるようにロール径やロールギャップ変化に追従して設定される.

5.結び

 本ORGは,砥石の回転が従動であることから,一般の研削盤と比ベて回転速度が低く,そのために研削性能も低下することが懸念されたが,本研削原理の特徴である砥石のオフセットにより発生するクロスハッチ効果により優れた研削特性を得ることができた.

 このORGを熱間帯鋼圧延設備に導入した結果,今まで圧延操業を制約していたワークロールの摩耗や肌荒れが解消され,圧延スケジュールの制約緩和と共に製品品質が向上するなど大きな成果を上げることができた.今後は熱間圧延設備に限らず,冷問圧延機さらには圧延機以外のロールなどへの適用拡大が期待される.

 本研究の成果に対して、日本機械学会は、1991年、安積富夫(三菱重工業(株))、柳謙一(同左)、塚本頴彦(同左)、三登良紀(同左)、林寛治(同左)に日本機械学会賞(技術賞)を贈った。

文献

[1] 山本国雄、林寛治、江川庸夫、後藤崇之、塚本頴彦、「オンラインロールグラインダの開発」、三菱重工技報、第25巻, 第4号, pp.352-356, 1988.
[2] Kunio Yamamoto, Kanji Hayashi, Hidehiko Tsukamoto, Tsuneo Egawa, Takayuki Goto, "Deveropment of the On-line Roll Grinder", MHI Technical Review, Vol.26, No.1, pp.41-46, 1989.
[3] 綾野利朗、中井明信、宮井康之、川崎隆正、岸治、林寛治、「熱延仕上げオンラインロールグラインダの基礎特性」、材料とプロセス、第3巻, 第5号, p.1449, 1990.
[4] Akio Kuroda, Kanji Hayashi, Toshiro Ayano, "Deveropment of on-line roll grinder", Iron and Steel Engineer, Vol.70, No.3, pp.38-43, 1993.

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キーワード

圧延設備、オンラインロールグラインダ、ワークロール、カップ形砥石、クロスハッチ
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