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NC旋盤におけるビルトインモータ・タレットの開発

従来のミーリング機能付旋盤の刃物台

図1 従来のミーリング機能付旋盤の刃物台

ビルトインモータ・タレット

図2 ビルトインモータ・タレット

タレット内部構造

図3 タレット内部構造

Fig2705Std

図4 

1.概要

 NC旋盤のミーリング機能において,旋盤歴史上初の「ビルトインモータ・タレット」を開発.回転工具の駆動系の構造を簡素化して回転工具駆動用モータをタレット内に内蔵することにより,駆動力の伝達効率の向上と冷却油による熱遮断を可能とした.さらに工具ホルダまでも考慮した超剛性タレットを開発.小型マシニングセンタにも匹敵する切削性能・加工精度・回転速度・加工面品位を実現した.

2.技術の内容

 NC旋盤にミーリング機能を持たせた工作機械は以前から数多く存在する.しかし,これまでこのようなNC旋盤が装備していたミーリング機能はあくまで補助的なものであり,加工精度,切削能力,加工面品位などの点で決して満足できるものではなかった.このような状態を打開し,マシニングセンタにも匹敵する,本物のミーリング能力を持った旋盤を開発するために開発したのがビルトインモータ・タレットである.

 従来,ミーリング機能付きNC旋盤の駆動モータから回転工具までの動力伝達機構には,複数のギヤやタイミングベルトなどが使用されていた(図1参照).これら複数のギヤやベルト,それらを保持するために各所に配置したベアリングが回転することによって,温度上昇,振動,騒音を発生させていた.これらは熱変位,加工面品位,工具寿命,加工精度に悪影響を及ぼして問題発生の要因になるとともに,回転工具の高速化を達成できない障害になっていた.

 これらの問題を解決するため,弊社はNC旋盤のミーリング駆動機構としてビルトインモータ・タレットを開発した.これは回転工具のいちばん近いところに駆動用のモータを配置して駆動伝達系を極限まで簡素化するものであり,具体的には回転工具駆動用モータをDDSモータとし,これをタレット内に内蔵する構造とした(図2参照).この構造の採用によって,不要な伝達系部品をなくして動力伝達効率の向上が可能となり,ミーリング加工能力の向上,加工時の振動を低減することによる加工面品位の向上を実現した.また,ミーリング工具の最高回転数を従来機種の4000 min-1から6000 min-1へと高速化した.回転工具駆動用モータを含めた駆動ユニット全体の外部にオイルジャケットを配置し,これに冷却オイルを循環させることによって完全に熱遮断することを可能とした(図3参照).これにより,熱影響を従来機と比較して15分の一まで低減することができた.さらに工具ホルダについても,拘束面の幅を広くすると共に,工具刃先とホルダ締結部の距離を短くすることで工具側の剛性も大幅に向上させた.また,カービックカップリングにヒントを得て開発した位置決めキーを採用し(図4(a)(b)参照),繰り返し着脱精度を向上させた.これらの効果により,フェースミルでφ80mm,タッピング能力はM20が対応可能という40番テーパのマシニングセンタに肉薄するミーリング加工能力を持つと共に,加工精度・回転速度・加工面品位についても著しい改善を実現した.

3.まとめ

 今回開発した「ビルトインモータ・タレット」は,2004年に発表した「高剛性・高精度CNC旋盤NLシリーズ」のミーリング仕様機に標準搭載し,「NLシリーズ」の受注における約7割以上がミーリング仕様機となっている.

 本研究の成果に対して、日本機械学会は、2005年、森 雅彦((株)森精機製作所)、平元一之((株)森精機製作所)、松本光司((株)森精機製作所)、酒井茂次((株)森精機製作所)、石黒春樹((株)森精機製作所)に日本機械学会賞(技術)を贈った。

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NC旋盤、ミーリング機能、ビルトインモータ・タレット、加工面品位、DDSモータ、熱伝導、機械加工、工作機械、動力伝達
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