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レーザトルクセンサを用いた発電プラントの性能診断技術

改良型コンバインドサイクル火力発電プラント

図1 改良型コンバインドサイクル火力発電プラント

レーザトルクセンサ

図2 レーザトルクセンサ

出力信号(上:タービン側ch、下:発電機側ch)

図3 出力信号(上:タービン側ch、下:発電機側ch)

原子力発電所における試験結果

図4 原子力発電所における試験結果

1. はじめに

 現在,コンバインドサイクル火力発電プラントや原子力発電プラントは,電力供給の主力になっており,その性能診断は,燃料節減に通じるため非常に重視されている.例えば,図1 に示すように蒸気タービンとガスタービンが一軸で連結される場合,各タービンの性能診断は,これまで入出熱法によって行われていた.しかし,入出熱法では,解析に必要な高温流体の流量および温度の正確な把握が困難なため,10%程度の誤差があると推定されている.

 そこで,トルクセンサを用いてタービン単体ごとの出力を直接計測できれば,診断精度の大幅な向上が可能となることに着目し,その診断手法を考案した.しかし,実際には,ひずみゲージや磁気式に代表される従来の接触型では,①大幅な設備改造(低剛性部品の装着等)を要する,②精度が十分でない,③高速回転機への対応が困難,等の制約のため,発電プラントへの適用は困難であった.

2. 技術の内容

 これらの問題を根本的に解決すべく,従来にないレーザトルクセンサを考案した(図2).本手法では,出力伝達軸に反射板を貼付し,微小集光径(約5μm)のレーザ光を照射することにより,非接触で軸ねじれを計測する.しかし,発電プラントの出力伝達軸の軸ねじれ角は,0.1deg 程度と微小量であり,単にレーザを用いただけでは精度が不十分であった.そこで,この課題に対し,本技術では,軸ねじれ,すなわち,出力信号チャンネル間の遅れ時間(図3)を相関処理手法によって100ナノ秒オーダの精度で算出することにより,計測精度0.5%以内(工場検定値)を実現している.

 しかしながら,商用の発電プラントにおける実証試験においては,出力伝達軸の微小偏心等,微小量計測ゆえに従来ではあまり問題にならなかった幾つかの誤差要因が明らかになった.これらの誤差要因は,実証試験を重ね,対策の考案,センサの改良によって取り除かれている.

 原子力発電所において蒸気タービン全体の出力を計測した試験結果を図4 に示す.計測値は,発電機出力と一致する結果となり,本技術の実用性を検証することができた.

3. まとめ

 本技術は,コンバインドサイクル火力発電プラント,改良型コンバインドサイクル火力発電プラント,原子力発電所においてそれぞれ実用化に成功する等,電力産業において実用化が進められている.また,電力産業のみならず,自動車等のエンジンやモータの開発などトルク計測を必要とする分野での活用にも有効と考えられ,産業全体からも幅広い関心が寄せられている.

 本研究の成果に対して、日本機械学会は、2007年、梅沢修一(東京電力(株))、黒田英彦((株)東芝)に日本機械学会賞(技術)を贈った。

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トルクセンサ、レーザートルクセンサ、蒸気タービン、ガスタービン、コンバインドサイクル、診断技術、センサ
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