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準マイクロ波帯陸上移動伝搬特性の解明

東京都内における伝搬損失測定コース

図1 東京都内における伝搬損失測定コース

伝搬損失周波数特性

図2 伝搬損失周波数特性

中央値変動の標準偏差周波数特性

図3 中央値変動の標準偏差周波数特性

 移動通信は、近年社会経済活動の情報化の進展と著しい無線通信技術の発達により、警察・消防・電気等の公共業務をはじめ、自動車電話、MCAシステム、簡易業務等幅広い分野において飛躍的な発展を遂げ、その無線局数は1989年(平成元年)末で約450万局と膨大な数に達している。このような状況において、最近の移動通信に対する周波数の需給状況は特に大都市において逼迫の度を増しており、新しい移動通信用の周波数帯として準マイクロ波帯(1~3GHz)の開発・利用を早期に図ることが不可欠な状況になっていた。

 郵政省では、「電波資源開発利用に関する調査研究会」の下に「準マイクロ波帯開発部会」を設置し、次世代の新たな移動通信用周波数帯の開発を推進してきた。

 猿渡岱爾氏、中嶋信生氏、田中慶次氏は、将来の準マイクロ波帯移動通信システムの実用化に当たって必要となるあらゆる伝搬特性を把握するため、多くの機関が郵政省の計画に参加し実験実施とまとめに協力したが、それらの各機関の中心的役割を演じ、伝搬特性を総合的に集大成した。

 実験には、1.5GHz、2.2GHz、または2.3GHz、および2.6GHzの3周波数帯を使用した。伝搬特性は次の四つに整理される;電界強度特性、多重路伝搬特性、符号誤り率特性、ならびに雑音特性。

 電界強度特性では、サービスエリア決定に必要となる基地局と移動局間の距離に応じた伝搬損失特性を明らかにしている。半径20~30kmのサービスエリアを一つの基地局で対応する方式設計のために、アンテナを高くした場合の伝搬特性を取得したが、この外に、将来の小セル設計のために、アンテナを低く設置した場合の伝搬特性も明らかにしている。測定は都内や京都市で行われた。図1は都内で測定した際の走行コース例を示したものである。実験結果より、図2図3に示すように伝搬損失および中央値変動標準偏差の周波数特性が明らかとなった。

 多重路伝搬特性は、今後のディジタル伝送方式に欠かせないデータで、送信点から受信点までの伝搬路のインパルス応答を地域環境(大都市や中小都市ならびに山に囲まれた都市)と関連させて明らかにした。このデータは、伝送可能なデータ速度の目安や等化器の設計に利用される。符号誤り率特性は、以上の伝搬特性と変復調方式、伝送速度、周囲環境、とのかかわり合いを調査したもので、各種のフェージング対策技術の性能調査も含まれている。雑音特性は、準マイクロ波帯で移動通信サービスを開始した場合にうける外来雑音の妨害の程度を事前に調査しておくためのものである。

 これらの取得データや明らかにされた特性は、既に郵政省の電気通信技術審議会で、将来の移動通信の技術基準策定に利用されている。その一環として、準マイクロ波帯MCAシステムが実用化され、次世代のディジタル自動車電話システムでも1.5GHz帯を利用することが決定されている。更に、成果は国際無線通信諮問委員会(CCIR)へも提出されており、「将来の公衆陸上移動通信方式」の開発・技術基準作りに寄与している。

 以上のように、陸上移動通信にとってまだ未開拓の新周波数帯である「準マイクロ波帯」の研究開発にいち早く取り組み、その特性を世界に先駆けて明らかにしたことは、陸上移動通信分野の進歩に大きく寄与するところとなった。

 この技術に対して、電子情報通信学会は、1991年、猿渡岱爾氏、中嶋信生氏、田中慶次氏に業績賞を贈った。


文献

[1] 岩間、水野、関澤、猿渡、準マイクロ波帯都市内伝搬特性(京都市街)、1988年、昭和63信学春全大、B-27
[2] 守山、柳光、猿渡、準マイクロ波帯都市内伝搬特性(京都市街)、1988年、昭和63信学春全大、B-26
[3] 岩間、守山、柳光、準マイクロ波帯陸上移動伝搬特性-平面大地特性-、1988年、昭和63信学秋全大、B-8
[4] 守山、岩間、関澤、柳光、準マイクロ波帯都市内伝搬特性-東京都区内 第三報-、1989年、1989信学春全大、B-9
[5] 小園、田口、市街地における準マイクロ波帯伝搬損失特性、1987年、信学論(B)、J70-B, 10, pp.1249-1250
[6] 小園、田口、市街地の路上におかれた低基地局アンテナによる伝搬特性、1989年、信学論(B-II)、J70-B-II, 1, pp.34-41
[7] 水野、猿渡、守山、岩間、柳光、関澤、市街地および山岳地域における陸上移動伝搬遅延プロファイルの測定、1987年、信学技報、AP87-77、pp.19-24

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キーワード

移動通信、伝搬特性、準マイクロ波帯、アンテナ・伝播、無線伝送
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