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新幹線電車用走行風冷却主変換装置の開発と実用化

 新幹線の駆動用主変換装置は、機器容量が大きく半導体素子のスイッチング時の発熱を効率良く冷却する必要があり、一方、機器質量や床下艤装スペース等の制約も大きいことから、主変換装置の冷却方式としては、装置に電動送風機を搭載し、冷却フィンを直接冷却する強制風冷方式が最も有効な手段であったが、装置内に電動送風機を配置することから小型軽量化の妨げになっていた。

 今回開発した新幹線電車用走行風冷却主変換装置は、IGBT素子の低損失化と共に、装置底面にスロープを設け、冷却フィンを装置底面に直接配置し、新幹線の走行風で冷却することで、従来、新幹線では困難とされていた走行風冷却方式を可能とし、N700系新幹線で実用化され、従来方式の強制風冷却方式と比較して、量産装置1台あたり約220kg(14%)の軽量化を達成した。尚、本方式は、冷却器に冷却用冷媒を使用しないことから、信頼性向上・環境負荷軽減にも寄与している。

 新幹線の主回路システムの中枢を担う主変換装置に於いて、新幹線の社会的影響の観点から在来線以上の高信頼性が装置に要求される。それ故、主変換装置に使用される半導体素子の熱損失や冷却器の冷却性能から、常に安定的な冷却風を冷却器に供給する必要があり、装置内に電動送風機を搭載する強制風冷却方式が採用され、従来、列車走行風を利用した冷却方式は不可能と考えられてきた。その為、速度の観点から小型・軽量化が要求される新幹線向け電機品の目的に限界が生じていた。

 今回、新幹線として初めてとなる走行風冷却方式の主変換装置の開発を進め、約8年間の開発期間を経て実用化し、2008年(平成19年)7月から営業開始したN700系量産車に適用した。

 以上のとおり、新幹線電車用走行風冷却主変換装置を開発・実用化したことは、電気工学に関する様々な知見により、日本の新幹線技術及び鉄道車両用駆動システムをさらに発展させた。


 本研究の成果に対して、電気学会は、2010年、福島隆文(東海旅客鉄道(株))、牧野友由((株)東芝)、薮内正隆(三菱電機(株))、田中健((株)日立製作所)、神田淳(富士電機システムズ(株))に電気学会振興賞(進歩賞)を贈った。

文献

[1] 萩原善泰、福島隆文、新幹線電車走行風冷却方式主変換装置の開発、JREA. Vol.48, No.10,pp.45-48、2005
[2] 菊野、福島隆文、福田、岡安、亀田、新幹線電車用走行風冷却主変換装置の開発、J-Rail2001, 12, 2001
[3] T. Fukushima, and Y. Hagiwara、A Study on optimization of cooling system of PWM power converter of Shinkansen high-speed train、STECH 2003, 350-353、2003
[4] 山本裕次、福島隆文、走行風冷却主変換装置のN700系新幹線電車への適用、JREA, 52(5)、2009
[5] 福島隆文、加藤宏和、新幹線用主変換装置の走行風冷却化の研究、R&m全国「車両と機械」研究発表会, 2009. 2 17(7), 36-39、2009

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