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世界最大容量670MVA高効率水素間接冷却発電機の完成

固定子コイルの断面構造と熱伝導

図1 固定子コイルの断面構造と熱伝導

水素間接冷却方式の通風回路と回転子コイルの構造

図2 水素間接冷却方式の通風回路と回転子コイルの構造

670MVAタービン発電機

写真1 670MVAタービン発電機

 火力、原子力発電所等で使用されるタービン発電機では、機内の冷却のため、大容量機には水や水素を冷媒とした固定子直接冷却が採用されてきたが、コイル内に冷媒流路を設けるため導体面積が減少し損失が増加する上、冷媒をコイル内部に流すための装置が必要で構造も複雑になり、水冷却の場合は、冷却水処理装置、配管等の補機が必要で、設備、設置面積での制約もある。一方、水素ガスで固定子コイルを外部から冷却する固定子水素間接冷却方式は、より簡素な構造により設備の簡略化、工期短縮、保守性向上に加え、高効率化が図れるが、従来500MVA級までの適用に留まっていた。

 そこで、大電流化に対応した設計最適化、各種損失低減、通風冷却強化、コイル絶縁部の熱伝達向上等の技術を開発し、この度、関西電力(株)舞鶴発電所第2号 900MWクロスコンパウンド機へ固定子水素間接冷却方式を適用、製作し、2009年(平成21年)2月に出荷した。特に、一次発電機は水素間接冷却発電機として世界最大容量の670MVAであり、工場試験の結果、規約効率は、一次、二次発電機共に99.1%以上(当社水直接冷却機比0.2ポイント向上)と世界最高レベルを記録した。

 地球温暖化や資源枯涸など環境への取組が活発となる中で発電プラント高効率化がこれまで以上に求められており、特にプラントの単機容量増大傾向から大容量発電機の効率向上が急務である。このような背景の下、効率的に有利である固定子コイル間接冷却方式を大容量化することが強く望まれていたが、水素間接冷却方式は固定子コイルを絶縁の外側から冷却するので、コイル内に冷媒を導入して導体を冷却する直接冷却方式に比較して冷却性能が低く、大容量機への適用が困難とされてきた。

 今回、大容量化のために徹底的に発電機損失を低減する各種技術を開発し、間接冷却で世界最大容量を達成するとともに、発電効率においても世界最高クラスである効率99.1%を達成した。一次発電機・二次発電機にて記録したトータル900MWの発電機効率向上は、CO2排出量14千トン/年、燃料使用料4.7千トン/年の削減に相当し(当該発電ベース)、環境負荷低減、省資源・省エネルギー化に大きく貢献するものである。


 本研究の成果に対して、電気学会は、2010年、藤田真史((株)東芝)、垣内幹雄((株)東芝)、冨木広明((株)東芝)に電気学会振興賞(進歩賞)を贈った。

文献

[1] 藤田真史,垣内幹雄,冨木広明,上田隆司,谷山賀浩,幡野浩,長倉謙,中村英之、世界最大容量670MVA高効率水素間接冷却発電機の完成、電気学会回転機研究会資料 RM-10-143, pp.55 -59,2009
[2] 冨木広明,山川政幸,垣内幹雄,長倉 謙,郡司雄一郎,中山真哉、舞鶴発電所2号機向け670MVA水素間接冷却発電機、平成21年度火力原子力発電大会論文集,「火力原子力発電」別冊,pp.134-138, 2010年2月発刊
[3]k.Nagakura,T.Otaka,M.Kakiuchi,Y.Gunji,S.Nakayama,D.Murata,Y.Kabata,and H.Hatano、Development of the world's Largest Hydrogen Indirectly Cooled Turbine Generator、ICEMS2009, DS1G5-6, 2009
[4]藤田真史,上田隆司,徳増 正,長倉 謙,垣内幹雄,大高 徹、大容量タービン発電機の固定子鉄心端部構造物の損失解析、電気学会回転機研究会資料 RM-08-117、2008

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キーワード

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