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水素火炎・水素ガス可視化技術の開発

水素火炎可視化装置

図1 水素火炎可視化装置

水素ガス可視化装置

図2 水素ガス可視化装置

水素ガス濃度遠隔計測装置

図3 水素ガス濃度遠隔計測装置

 無色透明である水素火炎および水素ガスの可視化技術を開発し、実用に適した試作機を製作した。水素火炎は無色透明であり、屋外環境において着火の有無を判断するのが難しい。本研究では水素火炎中のOHによる発光を選択的に画像化することにより水素火炎を可視化する技術を開発し、携帯可能な小型装置を試作した。また、背景光の影響を抑制するために2波長を用いた差分画像計測について実験的検討を行い、太陽光およびその反射光の影響を除去した。一方、水素ガスは近紫外域から近赤外域にかけて吸収帯を持たず、従来の光学的ガス検知手法である吸収分光法が適用できないため、本研究ではラマン散乱効果を利用した水素ガス可視化技術を開発した。また、ガスの背後に反射体が存在する場合においても適用可能な反ストークスラマン散乱法についても実験的検討を行い、2ml/minと極めて少量の水素ガス漏洩の可視化に成功した。さらに、大気中窒素と水素ガスからのラマン散乱光を同時計測することにより、信号強度の比から水素ガスの遠隔濃度計測に成功し、重量10kgで、幅47cm、奥行60cm、高さ30cmのコンパクトな試作機を開発した。

 低炭素化社会の実現に向け、クリーンなエネルギーとして水素エネルギーが注目されている。水素を扱う施設では、漏洩などの万が一のトラブルに備えた安全対策が必要不可欠である。水素火炎や水素ガスの検出は、それぞれ、紫外光・赤外光を検出する方式、接触型の水素センサーを用いる方法などがある。しかし、太陽の反射光による誤動作、低い検出感度、設置位置の影響などの課題がある。開発者は、水素火炎の検出と発生箇所の特定や、水素漏洩箇所の特定や水素濃度の検出をいずれも遠隔で実施できる技術を確立し、コンパクトな試作機を開発した。本技術は先端的なものであり、査読論文が複数刊行されていることから分るように新規性・有用性が学術的に認められている。また、開発した水素火炎可視化技術は、着火した場合の消火作業など防災に役立ち、水素ガス可視化技術は、燃料電池や水素製造・供給施設における漏洩箇所特定など、設備の保全に役立つ。近い将来、水素エネルギーの導入に伴い、関連施設の安全対策は重要となることが見込まれ、これらの技術の活用が期待できる。

 電気学会は、この成果を称えて、福地哲生氏((財)電力中央研究所)、二宮英樹氏、市川幸司氏((株)四国総合研究所)に、2010年、電気学術振興賞(進歩賞)を贈呈した。


文献

[1] 福地哲生,二宮英樹、OH発光の差分画像計測による水素火炎の可視化、2007年、電気学会論文誌C, Vol.127, No.5, pp.692-698
[2] H. Ninomiya, S. Yaeshima, K. Ichikawa, T. Fukuchi、Raman lidar system for hydrogen gas detection、2007年、Optical Engineering, Vol. 46, No. 9, 094301
[3] 福地哲生,二宮英樹、反ストークスラマン散乱を用いた水素ガスの漏洩検知、2008年、電気学会論文誌C, Vol.128, No.7, pp.1191-1196
[4] 二宮英樹,朝日一平,杉本幸代,島本有造、ラマン散乱効果を利用した水素ガス濃度遠隔計測技術の開発、2009年、電気学会論文誌C, Vol.129, No.7, pp.1181-1185
[5] 二宮英樹、水素ガスの空間濃度分布遠隔測定装置の開発、2009年、燃料電池, Vol.8, No.4, pp.97-102
[6] 二宮英樹、水素ガス濃度遠隔計測技術の開発、2009年、電気現場技術, Vol.48, No.561, pp.33-37
[7] 朝日一平,二宮英樹,杉本幸代、低出力レーザによる水素ガス濃度遠隔計測、2010年、電気学会論文誌C, Vol.130, No.7, pp.1145-1150
[8] T. Fukuchi and H. Ninomiya、Visualization of Hydrogen Flame by Differential Imaging of OH Emission、2007年、IEEJ Transactions on Electronics, Information and Systems, Vol. 127, No. 5, pp. 692-698.
[9] H. Ninomiya, S. Yaeshima, K. Ichikawa, and T. Fukuchi、Rama lidar system for hydrogen gas detection、2007年、Optical Engineering, Vol. 46, No. 9, 094301
[10] T. Fukuchi and H. Ninomiya、Leak Detection of Hydrogen Gas Using Anti-Stokes Raman Scattering、2008年、IEEJ Transactions on Electronics, Information and Systems, Vol. 128, No. 7, pp. 1192-1196.
[11] H. Ninomiya, I. Asahi, S. Sugimoto, and Y. Shimamoto、Development of Remote Sensing Technology for Hydrogen Gas Concentration Measurement Using Raman Scattering Effect、2009年、IEEJ Transactions on Electronics, Information and Systems, Vol.129, No.7, pp.1181-1185.
[12] H. Ninomiya、Development of Remote Sensing System for Hydrogen Gas Concentration Distribution Measurement、2009年、The Journal of Fuel Cell Technology, Vol.8, No.4, pp.97-102.
[13] H. Ninomiya、Development of Technology for Remote Detection of Hydrogen Gas Concentration、2009年、Denki Genba Gijutsu, Vol.48, No.561, pp.33-37.
[14] I.. Asahi, H. Ninomiya, and S. Sugimoto、Remote Sensing of Hydrogen Concentration by Low Power Laser、2010年、IEEJ Transactions on Electronics, Information and Systems, Vol.130, No.7, PP.1145-1150.

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