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住宅における雷被害調査手法の確立と高度情報社会の雷害対策手法の開発

機器使用区分別被害割合の推移

図1 機器使用区分別被害割合の推移

被害発生率の推移

図2 被害発生率の推移

雷サージによるビデオ電源回路部のIC基板の損傷

写真1 雷サージによるビデオ電源回路部のIC基板の損傷

 電力会社や通信事業会社を除くと、雷害の調査が、統計的に意味のある形でなされたことはほとんどなく、電子化とネットワーク化が進む一般住宅の雷害様相の把握は困難であった。開発者らは、一般住宅を対象に、家電機器の雷害様相とその原因を明らかにするための、信頼性のある統計的な調査手法を考案して、家電機器ごとの被害数を統計的に求めた。さらに、実際に被害を各戸毎に調査して、雷サージの住宅への侵入様相と、家電機器ごとの被害の特徴などを明らかにした。

 予備的に実施された1980年代後半からの調査を含めた4次にわたる調査結果により、1990年前半まではテレビの被害が50%を占めること、通信機器が高度化してきた1990年代後半では、電話機などの被害の顕在化、さらに2000年代ではパソコン被害の急増など、高度情報化社会の進展に伴い被害様相が変化していることを明らかにした。これらの調査をもとに、効果的な雷害対策手法の提案を行い、実験室での雷サージ試験などにより、その効果を実証するとともに、電気学会調査専門委員会などの活動を通して、広く社会に対策手法を普及させた。

 信頼できるモニターを確保して、一般住宅を対象とした統計的に意味のある形での家電製品の雷被害調査を可能とした。この調査により、近年では1年間の雷被害率が平均2%(1年間に100軒に2軒が家電製品の被害を受ける)と急増していること、またテレビ、高機能電話機、パソコンの被害などの全被害にたいする割合がこの20年間で大きく変化してきたことなどを明らかにした。

 本調査は以下の点できわめて革新的なそして重要な調査である。
(1) 家電製品など一般住宅での雷被害のデータを得ることに初めて成功。
(2) 近年の家電製品や電話機などの電子化とネットワーク化が、雷害を増加させていることを指摘。
(3) 雷サージの侵入経路を明らかにし、住宅の雷害対策手法の方向性を決定した。
 また、開発者らは実験や解析を自ら実施して、対策手法の有効性を明らかにしている。さらに、開発者らが、委員長、幹事を務めた、電気学会「高度情報化社会の雷害問題調査専門委員会」における活動を通して、この分野の問題の普及に努めた。雷リスクマネジメントの重要性が国内外で叫ばれているなかで、開発者らが、高度情報社会の雷害対策手法の確立に果たした貢献は大きい。


 本研究の成果に対して、電気学会は、2010年、細川武(元日本電子工業会)、横山茂((財)電力中央研究所)、渡邉信公(職業能力開発総合大学校)、岡林親志((株)サンコーシヤ)、坂江摩己(九州電力(株))に電気学会振興賞(進歩賞)を贈った。

文献

[1] 高度情報社会の雷害問題調査専門委員会(委員長:横山 茂、幹事:渡邊 信公、岡林 親志)、高度情報社会の雷害問題の実情と研究課題、電気学会技術報告第902号,2002
[2] 細川 武、横山 茂、横田 勤、家屋内侵入雷サージによる被害様相の考察、電気学会論文誌B Vol. 125, No. 2, pp. 221-226,2005
[3] A. Tan, S. Koga, N. J. Nilesh, S. Yokoyama, T. Hosokawa, K. Sawabe, T. Yoshioka,and M. Soeda、Investigation of Overvoltage Phenomena due to Lightning Surge in Low Voltage Wiring、電気学会論文誌B Vol.125, No.10, pp. 988-993,2005
[4] 日本雷保護システム工業会(監修 委員会委員長:横山 茂)、雷害対策設計ガイド、JLPA日本雷保護システム工業会,2007
[5] 細川 武、横山 茂、副田 正裕、家電機器の雷被害様相の変遷と今後の課題、電気学会論文誌B Vol.129, No.8, pp. 1033-1038,2009
[6] T. Hosokawa, S. Yokoyama, and T. Yokota、Study of Damages on Home Electric Appliances due to Lightning、IEEJ Transactions on Power and Energy, Vol. 125, No. 2, pp. 221-226,2005
[7] T. Hosokawa, S. Yokoyama, and M. Soeda、Aspect of Home Electric Appliances Damages due to Lightning and Future Problem、IEEJ Transactions on Power and Energy, Vol. 129, No. 8, pp. 1033-1038,2009

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1988年4月~1992年12月
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1996年6月~1999年6月
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世の中の出来事

2010
東北新幹線が全線開業する。
2010
上海万博が開催される。

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キーワード

高電圧、電磁環境、電気機器、配電、情報家電、雷、雷害、高度情報社会、住宅、被害調査
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