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CO2冷媒給湯器圧縮機駆動用位置センサレスブラシレスACモータの開発と実用化

 圧縮機駆動用モータ制御では一般に、設置環境から位置センサレス制御が必要不可欠で、開発対象のCO2給湯器では、安価・高効率に加え、機種展開性や高圧冷媒圧送のための安定駆動が要求される。これら要求に対し、簡単な制御回路、低級マイコンで実装可能な電流極性検出のみによる位置センサレス制御法を開発した。特長は、モデルベースの位置センサレス制御法で問題となるモデル化誤算やモデル化不能な不確定因子の影響を受けず、広範囲で高効率安定駆動を可能とする点である。一方、モデルベースではないために理論的な設計保証が難しく、実験による膨大な動作確認作業を要し、機種展開性に難を有していた。この問題に対し、負荷変動など動的操作条件下でモータ自信が安定操作を保障する自律安定動作機構を理論的に明らかにし、要求動的性格に対して安定動作を保障するモータ機器定数の設計指針確立をもって設計保障を容易にした。(株)デンソー、東京電力(株)、(財)電力中央研究所の共同開発で2001年(平成13年)より製品化されたCO2給湯器(製品名:エコキュート、累計約30万台生産)の機種・生産数の増大に伴い、2006年度(平成18年度)モデルより本開発技術が製品に適用されている。

 CO2冷媒は高エネルギー効率で加熱能力に優れ、フロン系冷媒の給湯温度60度に対し、零下20度でも90度の給湯を可能とする。この場合、圧縮機駆動用モータは、より高温下でフロン系に対して10倍の冷媒圧力(約100気圧)を実現しなければならない。求められる広い温度—運転範囲で大きく変動する機器定数の下、安定な位置センサレス駆動が重要となる。本研究開発は、要求性能と適用する位置センサレス制御、モータ設計とを統一的に捉え、理論的にモータ安定駆動を設計保障するための新しい設計戦略を確立し、より実用に近い立場での解析手法を併せて示している。与えられたモータ、その機器定数モデルに基づく位置センサレス制御器設計といった従来設計戦略に対し、産業界での製品設計戦略を大きく革新させた研究成果である。本開発技術は、家庭用CO2給湯器の2006年度(平成18年度)モデルから製品実装され、以降累計台数が11万台、現在月産1万台と環境・エネルギー問題に貢献している。今後、ハイブリッド車用エアコンの電動コンプレッサや電動ファン・ポンプなど様々な製品に容易に展開可能であり、将来性の高い技術である。


 本研究の成果に対して、電気学会は、2009年、松井信行(名古屋工業大学)、小坂卓(名古屋工業大学)、青木康明((株)デンソー)に電気学会振興賞(進歩賞)を贈った。

文献

[1] T. Kosaka, F. Tanahashi, N. Matsui, and M. Fujitsuna、Current Zero Cross Detection-Based Position Sensorless Control of Synchronous Reluctance Motors、Conference Record of the 2002 IEEE Industry Applications Conference 37th Annual meeting,2002
[2] 棚橋文紀,小坂 卓,松井信行,藤綱雅巳、始動を含むSynRMの位置センサレス制御、電気学会回転機研究会資料,2002
[3] T. Kosaka, T. Takahashi, M. Fujitsuna and N. Matsui、Current Polarity Detection-Based Simple Position Sensorless Drive of IPMSM for AC Compressor in HEV、Conference Record of the 2004 IEEE Industry Applications Conference 39th Annual meeting,2004
[4] 後藤誘紀朗,小坂 卓,松井信行,藤綱雅巳、用途指向形位置センサレスブラシレスACモータ設計の一考察、電気学会研究会資料. RM, 回転機研究会 2005(57), 15-20, 2005-06-29,2005

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