1. HOME
  2. 電気・情報関連(専門)
  3. 研究情報(登録番号1849)

大容量全含浸タービン発電機の開発・実用化

 火力発電設備の経済性や保守性に関するニーズに対応すべく、絶縁全体としての弱点や経年的な緩みや枯れが少ないなどの特長を有する全含浸絶縁を適用したタービン発電機(定格電圧16kV級まで)が市場に提供されている。近年、経済性や保守性が益々重要視されており、より大容量・高電圧の領域に全含浸絶縁を採用する必要が生じてきたため22kV級全含浸絶縁の開発を進めてきた。全含浸絶縁では鉄心・巻線間の隙間部に樹脂が充填されるため、コイル・鉄心間の熱抵抗を小さくでき、発電機の小型化を実現できる一方、熱膨張率・温度が異なる固定子鉄心・絶縁層が樹脂によって接着されるため、大容量・高電圧になるに従い絶縁層の熱的応力緩和の実現等が大きな課題となる。

 この度、これら絶縁技術上の課題を解決し、ベトナムHPJSC Hai Phong発電所向けに、22kV級全含浸タービン発電機(出力 372.2MVA、形式最大出力 450MVA、間接水素冷却)の実用化を達成した。本機は全含浸絶縁方式採用の発電機としては、国内製作品では最大容量・最大電圧機であるとともに世界的にみても最大容量クラスとなっている。

 全含浸絶縁は経年的な緩みや枯れが少ないなどの保守性の観点から、電動機や中小型の発電機に一般的に採用されている。また、鉄心・巻線間の隙間部に樹脂が充填されるため、単体製作の固定子絶縁方式に対しコイル・鉄心間の熱抵抗が小さくなり、絶縁の高電界化、高熱伝導化とともに、回転機の小型化を実現する技術の一つとなっている。一方、全含浸絶縁では、熱膨張率・温度が異なる固定子鉄心・絶縁層が樹脂によって接着されるため、大容量・高電圧になるに従い、絶縁層の熱的な応力緩和を実現することが困難になる。このため、熱応力緩和の不備による不具合事例も報告されている。また、全含浸絶縁では含浸から固定子完成まで絶縁に関する検査・試験を実施できないため、従来以上に材料が製造プロセスまでトータル的な絶縁品質管理が要求される。

 このような絶縁技術上の課題を解決し、全含浸絶縁適用の発電機としては国内製造作品では最大出力および最高電圧、且つ世界最大容量クラスとなる 22kV、450MVA(形式最大)間接水素冷却全含浸機は画期的な開発・実用化といえる。


 本研究の成果に対して、電気学会は、2009年、芳賀弘二(富士電機システムズ(株))、日和佐寛道(富士電機システムズ(株))、山崎 勝(富士電機システムズ(株))に電気学会振興賞(進歩賞)を贈った。

文献

[1] 中山昭伸,芳賀弘二,村岡政義、22kV全含浸絶縁固定子コイルの開発、電気学会第34回絶縁材料システムシンポジウム, H-4, pp. 224-227,2002
[2] A. Nakayama, K. Haga, and M. Muraoka、Development of generator stator coil with 22kV global VPI insulation、2004 IEEE CEIDP, pp. 224-227,2004
[3] 木村 誠,日和佐寛道,山崎 勝,他、全含浸絶水素冷却タービン発電機の完成、電気学会回転機研究会 RM-07-43,2007
[4] 芳賀弘二、22kV級全含浸絶縁技術、火力原子力発電 Vol.59, No.6, pp.542-546,2008

関連する研究を検索

分野のカテゴリ

電気・電力
(電気・電子材料)
電気・電力
(電気機器)

関連する出来事

データなし

世の中の出来事

2009
鳩山由紀夫(民主・社会・国民新連立)内閣が発足する。

Webページ

データなし

博物館等収蔵品

データなし

キーワード

誘電・絶縁材料、回転機
Page Top