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永久磁石リラクタンスモータの開発と量産化

PRMモータの断面

図1 PRMモータの断面

PRMモータの効率特性

図2 PRMモータの効率特性

 ハイブリッド自動車(HEV)や電気自動車(EV)では、エンジン一体ないし唯一の駆動源となるモータが走行性能、燃費を決定することになり実用化のためには最も重要な部品である。今回開発、量産化したモータは回転子の磁気抵抗の高い部分に電機子電流による無効な磁束を相殺する永久磁石を配置し、磁気異方性が強い構造にし、有効な磁束を高めることで高出力と高効率を可能とした。この結果、自動車としての走行性能、燃費向上を両立したHEVやEV用に適したリラクタンストルク活用の新型モータとなっており、小型・高出力(従来の約1.5~2倍)、高効率(最高効率97%、従来より2~5%向上)、広い可変速運転範囲(従来の1.5倍)を実現している。

 本モータは、世界初のハイブリッドSUV(多目的スポーツ車)に適用され、2004年(平成16年)から年産二万台規模で製品・量産化(出力65kW-最高回転数13500rpm)されるとともに2007年(平成19年)から小型HEVトラック用モータとしても量産されている。HEV、EV、FCEV用として世界最高レベルの性能を有する新型モータとなっている。

 自動車用モータの実用化は、モータそのものの性能向上、電源(インバータ)を含む動力特性の向上、モータ製造技術の向上が相まってなされるものである。本モータを量産するに当たって、モータ特性の向上に関しては上述した項目に加え、試作時に電磁的原因で発生した二直径節(波数K=4)振動による騒音の原因解明と対策、また、インバータ・制御技術では車体のバウンドによる車輪空転時のトルク急変時等の車載特有の状況での高速度・高精度制御技術、さらに製造技術では産業用モータよりスロットの銅線占積率が大きく、油直接冷却を適用する本モータの絶縁技術を確立する必要があった。開発者らは、固定子鉄心に加わる電磁力の解析と振動騒音分析により固定子の固有振動数と共振する電磁力の回避と抑制する技術の確立、通常のモータと異なり磁極軸が運転状態により大きく変わる本モータを車載用モータとして、高速度・高精度に制御するインバータ・制御技術の開発、連続耐久試験の実施と産業用モータに比べ生産量が一桁多くなる本モータの量産設計、絶縁技術、製造技術の確立を推進し、本モータの開発、量産化に大きく貢献した。


 本研究の成果に対して、電気学会は、2009年、新政憲((株)東芝)、望月資康((株)東芝)、花井隆(東芝産業機器製造(株))に電気学会振興賞(進歩賞)を贈った。

文献

[1] 新 政憲,堺 和人、自動車用永久磁石リラクタンスモータの開発、電気学会誌 Vol.128,No.4,pp.231-234,2008
[2] M.Arata,N.Takahashi,K.Sasaki,K.Hagiwara, and T.Araki、Large Torque and High Efficiency Permanent Magnet Reluctance Motor for A Hybrid Truck、Proc.EVS22,D5,2006
[3] 堺 和人,高橋則雄,霜村英二,新 政憲,中沢洋介,田島敏伸、可変速特性に優れた電気自動車用永久磁石式リラクタンスモータの開発、 電気学会論文誌D Vol.123,No.6,pp.681-688,2003
[4]K.Sakai,T.Hattori,N.Takahashi,M.Arata, and T. Tajima、High efficiency and high performance motor for energy saving in systems、IEEE Proc. PES. Winter Meeting, Vol.3, pp. 1413 - 1418,2001

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キーワード

回転機、交通・道路、自動車技術、リラクタンストルク、可変速運転、高効率、永久磁石
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