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自立運転に無瞬断移行可能な複数分散型電源を含む都市型マイクログリッドの実用化

都市型マイクログリッドの設備構成

図1 都市型マイクログリッドの設備構成

分散型電源の出力応答特性

図2 分散型電源の出力応答特性

統合カスケード制御のブロック図

図3 統合カスケード制御のブロック図

 温暖化ガスの排出削減に寄与することを目的として、太陽光発電を含む複数の分散型電源と蓄電装置をネットワーク化して電力供給するマイクログリッドが提唱されている。開発者らは個別建物や都市再開発等、都市部に適用するマイクログリッド実用化を目的に、太陽光発電に加えてガスエンジンコージェネレーション発電機、蓄電装置からなるマイクログリッド(600KW級)を構築し、2006年(平成18年)7月から実用運転している。

 実用運転では、各電癌が有する応答速度に応じて電源を順序付けて、順番に、分担する周波数帯域を変動補償する「総合カスケード制御」と呼ぶ複数分散型電源制御技術を開発・適用し、負荷追従運転を実現した。連系運転時における構内受電点での潮流一定制御の精度は、3分同時同量誤差1.6%以内である。

 この統合カスケード制御を自立運転にも適用すると共に、連系から自立への制御モード切替をシームレスに行うことで、移行時も含めて商用系統の管理基準に適合した高い品質の電力供給を維持しながら、必要な時に随時、自立運転に無瞬断移行できる安定供給システムとしてのマイクログリッドの開発、実用化に成功した。

 開発者らは、太陽光発電やガスエンジン発電機などの既に商用化された数多くの電力需要化に設置されている発電システムを構成電源とし、ニッケル水素電池と電気二重層キャパシタについて負荷変動補償制御の開発を行い、個別建物にも適用可能な都市型マイクログリッドを開発した。二年間にわたる運用の結果、一次エネルギー消費量、CO2排出量ともに10%余の削減効果(全電力システム比)が示された。

 当該マイクログリッドの特徴は、商用系統の管理基準に適合した電力品質を維持しながら、無瞬断で自立運転に移行でき、再び連系復帰できることである。2008年(平成20年)4月までに実施した計52回の自立運転(移行時を含む約13時間)の電力品質評価の結果、周波数変動をEN50160規格で99.9%の割合で50±0.2Hzの範囲に収めている。電圧変動はIT機器の米国電源規格であるITTカーブを100%満足している。この成果を実設備で具現化し、国内外から130件以上、計1030人余の見学者に応対している。

 万一の停電時のバックアップ電源、瞬時電圧低下対策の機能を実証し、分散型電源の新たな価値を示したことは大きな進歩である。

 電気学会は、この成果を称えて、馬場旬平氏(東京大学)、沼田茂生氏(清水建設(株))、伊藤孝充氏((株)明電舎)、進藤裕司氏(川崎重工業(株))に、2009年、電気学会振興賞(進歩賞)を贈呈した。


文献

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