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走行風を利用した冷却方式を用いた新幹線用主変換装置(ブロアレスCI)の開発

強制風冷方式模式図

図1 強制風冷方式模式図

強制風冷方式主変換装置概略図

図2 強制風冷方式主変換装置概略図

強制風冷方式主変換装置断面模式図

図3 強制風冷方式主変換装置断面模式図

走行風冷却方式模式図

図4 走行風冷却方式模式図

ブロアレスCI概略図

図5 ブロアレスCI概略図

ブロアレスCI断面模式図

図6 ブロアレスCI断面模式図

ブロアレスCI外観

図7 ブロアレスCI外観

1.概要

 主変換装置とは,架線からの交流電力を直流に変換する装置(コンバータ)と,直流から主電動機を駆動させるための三相交流に変換する装置(インバータ)を一体とした,車両の力行,回生を制御する電力変換装置である.

 新幹線用主変換装置は,機器容量が大きく半導体素子のスイッチング時の発熱を効率良く冷却する必要があり,一方,機器質量や床下艤装スペース等の制約も大きいことから,主変換装置の冷却方式としては,装置に電動送風機を搭載し,冷却フィンを直接冷却する強制風冷方式が,装置の小型・軽量化及び信頼性確保に最も有効な手段であった.

 主変換装置の軽量化,さらなる信頼性向上を目指して,東海旅客鉄道株式会社(以下,JR 東海)が主導・中心となり,主変換装置製作メーカー4 社と共同で,走行風を利用した冷却方式を用いた新幹線用主変換装置(以下,ブロアレスCI)の研究・開発を進め,平成19 年7 月から営業開始したN700 系の量産車にブロアレスCI を採用し,実用化を果たした.

2.技術の内容

 従来の新幹線用の主変換装置は,図1 のように代替フロンの冷媒を真空で封入した冷却器に大容量の半導体素子を取り付け,半導体素子がスイッチングする際に発生した熱が冷却器に伝わることで,冷却器に封入された冷媒が気化することにより半導体素子が冷却される.気化した冷媒は主変換装置内の風洞部に設置された冷却器上部に移動し,主変換装置に搭載された電動送風機から風洞内に安定的に供給される冷却風により,冷却器凝縮部で熱交換され再び液化し,冷却器受熱部に戻る強制風冷方式が採用されていた.新幹線用の主変換装置は大容量で半導体素子の発熱量が大きいため,在来線のような走行風冷却方式の採用は困難と考えられてきた.一方,強制風冷却方式では電動送風機,風洞などの冷却系が装置の大部分を占め(図2図3 参照),小型・軽量化には限界があった.近年の半導体素子の低損失化による発熱量低減の好機を捉え,この度,新幹線用主変換装置において以下に述べる画期的な冷却方式を開発した.

 今回開発したブロアレスCI は,半導体素子をアルミニウムの金属製冷却フィンに取り付け,冷却フィンを主変換装置の外部に配置し,新幹線の走行風を直接冷却フィンに当てることで,半導体素子から発生した素子の発熱損失を熱交換する方式である(図4 参照).但し,冷却フィンをただ底面に設置すると車両限界に抵触し,他の部品の構成上装置が成立しなくなる.そこで,主変換装置底面にスロープをつけ,列車の走行風を最大限活用でき,かつ装置高さにも影響がでない構成とした(図5図6図7 参照).

3.まとめ

 ブロアレスCI は,強制風冷方式の装置と比較して,1 台当たり約220kg(14%)の軽量化を実現した.また,装置の構造簡素化による信頼性向上や,代替フロンを用いない冷媒レス方式による地球環境負荷軽減など,多くの効果が期待できる.

 本研究の成果に対して、日本機械学会は、2010年、福島隆文(東海旅客鉄道(株))、梅田克也((株)東芝)、田中健((株)日立製作所)、亀田卓(三菱電機(株))、神田淳(富士電機システムズ(株))に「日本機械学会賞(技術)」を贈った。

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キーワード

新幹線、電力変換装置、走行風冷却方式、冷却ファン、電気機械、熱流動、地球環境
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